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揶揄される「意識高い系」に秘められた潜在能力

JIJICO / 2015年7月18日 13時0分

揶揄される「意識高い系」に秘められた潜在能力

揶揄される「意識高い系」に秘められた潜在能力

「意識高い系」が脚光を浴びている真相

「意識高い系」。俗に「意識の高さ」を伺わせる言動をする傾向が強い人を揶揄した呼び方だとされていますが、職場においてもそうした特徴がある人が増えていると話題になっています。とはいえ、40歳や50歳にもなれば、本当に意識が高い人は転職や独立の道を選び、会社からいなくなります。また、肩書き分の実力を認められていることから、少なくとも「意識高い系」の上司はいないでしょう。

すると、「意識高い系」が出現しやすいのは、新卒から2~3年目までと言えそうです。私はここ20年間、さまざまな会社で新人研修の講師を務めています。その経験から思い起こせば、毎年、「意識高い系」の新人を目にしてきました。昭和の頃の新入社員といえば、こうした「意識高い系」が多く、「新人類」や「宇宙人」などと名付けられていました。

逆に最近では、自己PRをあまりせず、そつなく仕事をこなす新人が増えています。つまり、比率の問題であって、「意識高い系」の人が少なくなったために目立っているのです。案外、このあたりが「意識高い系」と呼ばれる人が脚光を浴びている真相ではないでしょうか。

自分を認めてもらうための自己アピールの方向性が間違っている

「意識高い系」の人は、必要以上に自分を誇張している人間ゆえ、さまざまな経歴を盛り(過剰演出)ます。そのうち、自己暗示にかかってしまい、自分はすごい人間なのだと思い込んでしまいます。ところが、社内ではなかなか実績が上げられません。やる気も行動力もありますが、地に足が付いていない。思い込みにより、高速で空回りしてしまうからです。

社内での実績が上がらないため、その自己顕示欲は社外へと向かいます。朝活や夜の勉強会、異業種交流会や懇親会にも参加します。そうして高めた意識を社内に持ち込み、勉強会で聞きかじったことを口にし、名刺交換しただけで業界の著名人と友だちなどと、壮大なことを主張します。

そうした現実感のない痛々しい言動により、結果的に社内からは浮いてしまうのです。同僚の視点からすれば、「意識高い系」の人は、自分を認めてもらうための自己アピールの方向性が間違っているということになります。

10年後の「意識高い系」に期待

社内の仕事で役立てば認められるにもかかわらず、自分を上に見せるために他人(同僚)を見下す。そして、思惑通りに進まなければ、周りの人が足を引っ張って失敗したのだといいがちです。こんなところが、「意識高い系」の暗黒面です。一方で、もし実力のある人がサポート役に回るか、自身が実力を身に付ければ、良い方向に大化けする可能性があります。

著名な例として考えれば、スティーブ・ジョブズこそ「意識高い系」だったのでしょう。アップル社の最初のPCは、共同設立者であるステファン・ゲーリー・ウォズニアックの実力によって開発されました。結果、とんとん拍子に会社は成長しますが、当のジョブズは「意識高い系」の言動が災いし、普通の会社を望む出資者たちにアップル社から追放されてしまいます。

ジョブズの去った後、普通の会社になったアップルは苦境に陥ります。後の話はご存じの通りでしょう。現在は、ユーザーの多様化により、普通の会社は差別化がしづらくなっています。「意識高い系」は、その大言壮語によって、こうした現状を打ち破るカギになるかもしれません。会社もそうした思惑があり、採用したはずです。今は苦笑いされているとしても、10年後の「意識高い系」に期待しましょう。

(木村 尚義/経営コンサルタント)

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