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ブラック企業対策法案、効果は期待できる?

JIJICO / 2015年3月21日 13時0分

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ブラック企業対策法案、効果は期待できる?

ハローワーク、ブラック企業の新卒求人を拒めるように

現在の法律では、ハローワークは求人の申し込み内容が違法でない限り、原則、すべての申し込みを受理することになっていますが、来年3月から残業代未払いなど違法行為を繰り返す企業の新卒求人を一定期間、拒むことができるようになります。

また、就職活動中の学生が希望した場合、過去3年間の離職者数、有給休暇の取得状況、残業時間の実績など職場の情報を提供することを企業に義務づけています。このほか、優良な企業と若者とを積極的にマッチングさせるため、若者の採用や育成に積極的であったり、離職率が低いなど一定の水準を満たした中小企業を優良企業として認定する制度を設立します。

2013年度、全国のハローワークに寄せられた求人票に関する苦情は9,380件に上り、苦情の約4割が求人内容と実際の労働条件の食い違いによるものでした。すでに就職している相談者が多いため、企業側への聞き取り調査を拒否するケースは2,532件(約27%)とあります。そのためでしょうか、就職をして3年以内に離職する割合は、大卒で約3割、高卒で約4割と高くなっています。

実際に拒否される求人は非常に限られたものに

残念ながら、今のところブラック企業の求人拒否は、ハローワーク求人に限ったものであり、若者求職者の大半が利用する民間の就職サイトなどには適用されません。また、ハローワークで求人拒否とする対象企業についても、繰り返し是正指導を受けた場合や、男女雇用機会均等法・育児介護休業法に違反して公表された場合など、違法企業とみなす基準が限定的です。これでは実際に問題があっても、明るみに出なければ是正勧告を受けることもなく、求人を受理されてしまうでしょう。求人拒否の一定期間も、6か月を経過する日までとされており、長期間ではありません。そのため、実際に拒否される求人は非常に限られたものになります。

職場の情報提供の義務についても、若者求職者からのすべての項目について開示するのではなく、省令で列挙された項目のうち、企業側が適切であると認めた項目を選択し提供すれば良いとされています。例えば、学生が離職率について情報提供を求めても、企業が開示したくないと判断し、過去3年の男女入社比率を提供すれば義務をはたしたことになるのです。学生側からすれば、知りたい内容を手に入れることができないばかりか「こんな質問をしたら採用の選考から外されてしまうのではないか」という不安もあるのではないでしょうか。

また、優良企業の認定制度についても、一部の企業だけを認定するものとなるため、学生が応募をする際の大まかな目安にはなっても、すべての判断基準になるわけではないでしょう。

社会全体が関心を持ち、考えること自体に意味がある

現状では、まだまだブラック企業対策として完全とは言えませんが、このように法案が議決され、若者求職者、企業、学校関係者など、社会全体が関心を持ち、考えること自体にはとても意味があるように思います。学生のブラック企業への警戒心が強くなれば、応募者が集まらず、企業側も労務管理を見直すようになるかもしれません。

若者がミスマッチな求人に悩むことなく、入社後も次世代を担うべき存在として大いに活躍できる社会を作る第一歩になるようにと願います。

(大東 恵子/社会保険労務士)

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