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身近なところにも潜む「洗脳」の恐怖

JIJICO / 2015年4月2日 18時0分

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身近なところにも潜む「洗脳」の恐怖

どんな人が洗脳されてしまうのか?

1995年3月20日、東京の地下鉄で宗教団体「オウム真理教」が、神経ガスのサリンを使った同時多発テロを起こしました。死者10名以上を含む多数の被害者を出し、日本のみならず世界に大きな衝撃を与えた事件です。被害者はPTSDによる精神的な苦痛が続くなど、今でも後遺症に悩まされています。亡くなった被害者の家族は、深い悲しみとやり場のない怒りを抱えたまま、事件発生から20年が経過しました。

現在になっても強烈な印象が残ったままのこの事件は、カルト教団の恐ろしさ、洗脳と修行の奇行、宗教施設の様子などがフォーカスされ、当時は大きな衝撃を受けました。信者はうなぎのぼりに増え、海外に支部もあったほどです。では、どんな人が新興宗教に心酔し、洗脳されてしまうのでしょうか。

「心の隙間」につけこまれる

マズローの五段階欲求のうち、人は「生理的欲求=食べる、飲む、寝る」「安全欲求=家がある、健康を維持できる空気や水」から欲求を満たそうとします。しかし、先進国である日本において、これら衣食住に満たされない人はごく少数派です。

普通に満たされることは、生きる上で欲求に成りにくいといえます。ところが、次の欲求段階である「社会欲求(愛の欲求)=集団に属す、家族を作る、友達や恋人の存在」「承認欲求=他者から認められたい、尊敬、尊重されたい」になると話は変わります。日本人にとって、「生きる」うえで最も求められるのは、この2つではないでしょうか。「誰かに認められたい」「誰かと一緒にいたい」。ここにこそ、「心の隙間」ができてしまうのです。

「洗脳」は案外、身近なところに潜んでいる

前述の「心の隙間」に付け込むのが、「洗脳」です。洗脳とは、以下の要素から成り立っていると定義できます。

1.集団による長い時間を過ごす
2.共感的姿勢から、人格否定をする
3.優しくしたり、厳しくしたりを繰り返す
4.閉鎖的環境に隔離し、集団の考えを刷り込む

洗脳によって支えを得て、しかも、そこに霊的なものや神秘的な要素が加わります。そういったものはある意味「何でもアリ」の状態になり、自分自身に不満や弱さがあれば、それを解決する答えが見つけられると思い込んでしまいます。

私たちの日常には、こうした「心の隙間」に付け込む新興宗教やネットワークビジネス、詐欺などが隣り合わせで存在しています。振り返ってみて下さい。今まで「自分は大丈夫」だと思っていたとしても、いつの間にか「モノ信仰」「情報信仰」に陥っていないでしょうか。報道で目にするような事件だけでなく、「洗脳」は案外、身近なところに潜んでいるかもしれません。

(青柳 雅也/心理カウンセラー)

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