女性を後押し?国会でマタハラを防止するための法整備を検討
JIJICO / 2015年7月11日 13時0分
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女性を後押し?国会でマタハラを防止するための法整備を検討
2016年の通常国会でマタハラを防止するための法整備を検討
マタニティハラスメント(マタハラ)が社会的な問題となっています。もともと、妊娠・出産を契機として女性に不利益を及ぼすことは均等法で禁じられていますが、この問題に火をつけたのは、妊娠・出産を理由に降格となった事案である平成26年10月23日の最高裁判決です。
下級審では「会社は検討をし、裁量の範囲内で対応した」として、女性労働者の請求を棄却しましたが、最高裁は「人事裁量権の問題ではなく、均等法9条3項の不利益禁止の問題」として見解を述べ、高裁に差し戻しています。
安倍首相の掲げる「女性の輝く社会」の実現に直結するテーマでもあり、最高裁の判断をベースに妊娠・出産を理由とする不利益取扱いに関して、解釈通達をリーフレットにして発表しているほど強い影響があることがうかがえます。そして今、2016年の通常国会で法整備を検討する方針が打ち出されています。着目すべきは、いかにしてマタハラ防止を法制化するかです。
一般のパワハラ行為に準じた判断も必要に
現行均等法の不利益取扱い禁止は、解雇・雇止めなど雇用契約の解除、降格、賃金・賞与の減額、不利益な配置、昇進・昇格の不当な評価、就業環境を害するなど広く企業側の行為を禁止する内容となっています。
しかし、マタハラもハラスメントの一類型である以上、企業に不利益行為を留まらせるには、均等法9条3項のみでは弱いようです。たとえば「出産休暇後に復職したら、上司が無視するようになった」「業務量を減らしてきた」「指示命令がない」「侮辱的なことを言われるようになった」という数字や身分・肩書には現れないハラスメント行為が行われることもあります。このような行為の場合は、契機が妊娠・出産というだけですから、一般のパワハラ行為に準じた判断も必要となってくるところです。
現行均等法11条には、セクハラの予防と事後の迅速・適切な対応について具体的な対策を実施することが義務になっています。
労働局などの行政も同条違反について相談に応じ、助言・指導・勧告、しいては調停による解決へと援助を行う体制が整備されています。これは、セクハラに関して、企業の事前措置と事後対応の義務が明文化されていることによるものです。これらを踏まえると、マタハラもハラスメントであり、企業側の義務づけだけではなく、働く女性が、企業側の行為に対して防止を含めた「義務違反」の根拠を声にできる法整備が望ましいと言えます。
セクハラに起因する問題に関して企業が講ずべき措置が道しるべに
マタハラは、テクニック的には、減給、降格、不当な人事評価や配転などに置き換えられがちですが、大きくは、セクハラと同様、職場環境の問題と言えます。その意味では、セクハラに関する事前措置と事後対応を義務付けている、現行均等法11条及びセクハラに起因する問題に関して企業が講ずべき措置についての指針の考え方は、一つの道標になると思われます。
これを踏まえますと、労働条件の不利益については、上記の最高裁判決が言及しているように、業務上の必要性、自由な意思に基づく合意、合理的な理由、説明責任などの点を参考に解釈されるような位置づけが求められます。加えて、適切な対応のための体制整備など、必要な措置を講じることを義務化することなどが、マタハラ防止につながると考えられます。国会審議に期待したいと思います。
(亀岡 亜己雄/社会保険労務士)
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