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政府が後押しする「ゆう活」一般企業でスタンダードになるための課題

JIJICO / 2015年7月15日 18時0分

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政府が後押しする「ゆう活」一般企業でスタンダードになるための課題

夕方以降のプライベートタイムを充実させる「ゆう活」

少し前までは「朝活」という言葉をよく耳にしたのに、最近では「ゆう活」の文字がメディアに登場しています。「ゆう活」とは、出社時間を早くするといったような朝方勤務を推奨し、その分退社時間を早めて夕方以降のプライベートタイムを充実させようという取り組みです。もはや日本人の代名詞となっている長時間勤務という労働慣行を改革し、あせて、労働者の余暇を充実させることで個人消費をアップさせることが狙いです。

政府は今、国家公務員を対象に積極的にこの「ゆう活」を進めており、地方自治体でも導入するところが出てきています。ゆくゆくは一般企業にまで広げたいと考えているようです。

勤務制度を作ることと従業員のタスク管理をすることが必要

一般企業が「ゆう活」を導入する際に立ちふさがる問題について考えてみましょう。まず、朝方勤務をした従業員には、確実にその分夕方早く退社できる保証を与える、つまり会社がきちんとした「ゆう活」勤務制度を作ることと従業員のタスク管理をすることが必要となります。

そうでなくとも、コストカットなどで慢性的人手不足に陥っている職場が多い中にあっては、「朝早く来たからその分夕方早く帰る」となかなか言えるものではありません。会社にきっちりした制度などがなければ、「朝1~2時間早く出社しても、家に帰れる時間はどうせ変わらないから労働時間が増えるだけ」といったように、長時間労働を助長させてしまう恐れがあるからです。

また、自社ビルを所有するような比較的大きな企業の場合では、全ての部署やさまざまな勤務形態の従業員(正社員・契約社員・パートアルバイトなど)への取り扱いを統一しておかなければ、結果的に会社の活動時間が長くなり、その分、水道光熱費や通信費といったランニングコストが大きくなってしまうデメリットもあるので注意が必要です。実際、大阪府は光熱費の負担増問題から「ゆう活」導入を見送ったようです。

「ゆう活」が今後のスタンダードになることを期待

前項のようなことに加えて、取引先や顧客の理解を得ることも必要となってきます。自社の活動時間と相手方のそれとにズレが生じるため、先方の理解を得られないとスムーズな取引ができなくなる恐れがあります。いずれにせよ、一般企業が「ゆう活」を取り入れる場合には、全社挙げて計画的に取り組まなければならないでしょう。

「ゆう活」で働く人のプライベートにゆとりができ、余暇が充実し、家族と団らんできる時間が増えることは、個人的には良いことだと思います。一般企業へ広まるには、まだまだたくさんの壁がありそうですが、国家公務員から始まったこの「ゆう活」という働き方が、いい意味で今後のスタンダードとなることに期待します。

(大竹 光明/社会保険労務士)

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