若い世代に人気を集める中古住宅市場!活況の背景と物件選びのポイント
JIJICO / 2015年12月15日 10時0分
若い世代に人気を集める中古住宅市場!活況の背景と物件選びのポイント
住宅購入において中古住宅の購入希望者が増加
内閣府が実施した「住生活に関する世論調査」によると、住宅を購入するにあたって新築を希望する割合が73%となり、前回調査(平成16年)より9.2ポイント減少している一方で、中古住宅を希望する割合が9.9%と前回調査の3.4%に比べ約3倍になっています。中古住宅の購入希望は20~40歳代で10%を超えており、とりわけ20歳代は16%と他年代よりも多くなっています。
中古住宅を希望する理由は「手が届きやすい」「資金計画に無理がない」「中古住宅にも外観や内装がきれいなものがある」「実際の住宅を確認してから購入できる」など、現実的な理由が上位を占めています。では、なぜ現在、中古住宅の購入希望者が増加しているのでしょうか。それには購入する際の外部要因が、以下のように変化していることが理由として考えられます。
中古住宅を購入する環境は今後さらに整備されていく
・住宅購入層の年金取得に対する不安が、定年退職時までに住宅ローンの返済を終わらせたいという意識を生み、借入額の少ない中古住宅を選択するようになった。
・中古住宅購入の住宅ローンが償還期間、融資額ともに緩和され利用しやすくなった。
・新築取得に偏重していた優遇税制が、中古住宅取得にも拡充されてきた。
・リフォーム商材と技術の進歩、あるいはリノベーションという選択などによって中古住宅を自分好みにカスタマイズすることが可能になってきた。
・20~30歳代の若い世代に新築よりも築年数の古い建物へ興味を示す人が現れ始めた。
・中古住宅の状態を診断するホームインスペクションが日本でも普及し始めた。
・空き家の増加により、立地の良い中古住宅が流通市場に出やすくなってきた。
これらの要因は市場性に任せたものだけではなく、国土交通省の中古住宅流通を活性化させるための施策によるものもあり、その効果が徐々に出始めているとも考えられます。新築住宅を例年並みに建設していくと社会問題化している空き家問題がさらに深刻化することが確実視されているため、中古住宅を購入する環境は今後、益々整備されていくでしょう。
中古住宅を選ぶ際の注意すべきポイント
では、中古住宅を選ぶ際にどんなポイントを押さえておけば良いでしょうか。まず、物件の立地や周辺の住環境、自然災害のリスク、公共交通機関の利便性などは言うまでもないポイントです。中古住宅はどうしても建物の欠陥や不具合の有無、あるいは耐用年数について関心が向いてしまいますが、戸建の中古住宅においては土地(敷地)についても十分に注意しておく必要があります。
新築当時の建築に関する制限法が改正されていることがあり、建替えや大規模改修をしようとしても不可能になるケースがあります。また、建物については前所有者や心ないリフォーム業者によって強度や耐久性に悪影響を及ぼす改築がなされている場合も少なくありません。中古マンションにおいては管理組合の運営状況、修繕積立金と修繕計画との整合性も調査すべきポイントです。
さらに、売買契約においても注意するポイントがあります。中古住宅は売主が個人の場合が多く、瑕疵担保責任や手付金額の制限などの買主を保護する条文が削除されている場合があります。契約後や引き渡し後のトラブルに巻き込まれないよう、契約内容を十分に把握しておくことが重要です。
一般消費者が良し悪しを判断することは困難
しかし、これらのポイントについて一般消費者がその良し悪しを判断することは非常に難しいため、売主や仲介業者となる不動産業者やその担当者の資質や能力を見極めることが重要になってきます。
売主や仲介する不動産業者に不安があるものの物件は気に入って購入したい場合などは、第三者の専門家を活用する方法があります。建物の診断については公認の団体に属し中立性と倫理観を保持したホームインスペクター(住宅診断士)に、土地の調査や売買契約などの取引内容については第三者の立場を保持した宅地建物取引士や上位資格の不動産コンサルティングマスターを利用するのが有効な手段です。
(森田 伸幸/不動産コンサルタント)
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