マクドナルドの新ハンバーガー名募集キャンペーンにおける販促効果
JIJICO / 2016年2月22日 15時0分
マクドナルドの新ハンバーガー名募集キャンペーンにおける販促効果
新ハンバーガーキャンペーンを開始した背景
マクドナルドが日本に初上陸したのは1971年(昭和46年)ですから、もう45年も経つんですね。一号店は銀座三越のすぐ脇で、私も当時行った記憶があります。ハンバーガーなんていう食べ物は日本国民にとっては全く意識のない時代でしたが、その後あれよあれよという間にハンバーガーを日本人の国民食にまで押し上げたのはマクドナルドの功績がいちばん大きいでしょう。
さて、そのマクドナルドがここに来て新ハンバーガーのネーミングキャンペーンを開始しました。
まず、今回の背景には当然、一昨年の「期限切れナゲット」「異物混入」問題に端を発したお客さん離れ、赤字転落から不採算店の閉店といった経営不振があります。また、ようやく今年1月には33カ月ぶりに黒字に回復した、この流れを止めずにさらに拍車をかけたい、という意図がマクドナルドにはあると思います。ですからマクドナルド側からすれば、今回のキャンペーンは「起死回生」や「逆転満塁ホームラン」という狙いも恐らくあるでしょう。つまり、本キャンペーンが成功するかどうかは、今後の日本におけるマクドナルドのポジショニングを占う上で重要な指標となる、と私は予想します。
今回のキャンペーンがもたらす効果
では、今までになかった新たな取り組みであるこのキャンペーンがマーケティング的にどんな効果をもたらすのか、私なりに考察します。
ポイントは3つです。
①通常よりも実食者を増加させる
②消費者参加型にすることでマックへの親近感を湧かせる
③新たな顧客層の開拓につながる可能性
①については、応募しようとする人は90%以上の人が一度は食べるのではないでしょうか。TVCMなど広告や写真だけではやはりなかなか名前を付ける発想が浮かばない、となるとお店に行って実際に食べてみる・・味は?旨い?普通?見た目は?などその人なりにネーミングするヒントを探すためです。ゆえに実食者が増えその分売上に貢献すると思われます。しかし、問題は「あまり旨くない」「どうも写真と違う」(笑)という感想を持つ人も可能性としては出て来る、という点。こういう人たちは多分しばらくはマックに行かないでしょう。リスクも多少はあるわけです。
②このネーミング応募には相当数の方が応募するでしょう。実際には、なんと応募総数5,016,926件(HPより・募集終了時)とありました。一人で何件も応募出来るので応募人数はこの数字よりも少なくなりますが、それでもかなり多くの人たちが応募しました。賞金も多額(140万円)という理由もありますね。ただ、自分の考えた名前が採用されるとは皆さんあまり思ってないでしょう。でもそれでいいんです。お店に行く~食べる~名前を考える~応募する~友達と話題にする~発表を待つ・・といった一連の流れを経験する人は、マクドナルド(あるいはこのハンバーガー)に対する接触時間がこれまでより格段に増え、結果マクドナルドへの親近感が湧きます。こういったものをザイアンス効果と呼びますが、本キャンペーンにはこの効果が充分にあると思います。
③マクドナルドの主要顧客は、ファミリー層や中高大学生、主婦層ですが、今回のネーミング応募ではビジネスパーソンの方も多少取り込んだ可能性があります。特に広告会社や販促会社など広告業界に携わる方々・業界人は食指が動いたのではないでしょうか?だとすれば「マックカフェ」を普段から利用している人とは違うビジネスパーソン層を今後開拓するかもしれません。
キャンペーン効果で私も実食!
ということで、正確には本キャンペーンの効果測定がなされた後の話にはなりますが、これら三点においてある程度の良いデータや高評価があれば「名前募集バーガーキャンペーン」は成功した、と言えるでしょう。
実は、かくいう私も一件だけですが応募しました!もちろん実食しまして「なかなか旨いほうかな」という感想。これまでのマックのハンバーガーとは一味違います。確かにバンズ(パンのところ)が柔らかく、何よりも焦がし醤油風味ソースがおいしい。でも写真のボリューム感はないです(笑)。
*万万が一私のネーミング案が採用されたら本サイト上で発表いたします。ないとは思いますが・・発表は2月22日(今日)です*
(石川 一彦/広告プロデューサー)
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