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GPSの目に見える便利さと陰に潜む危険とは

JIJICO / 2016年4月17日 9時0分

GPSの目に見える便利さと陰に潜む危険とは

GPSの目に見える便利さと陰に潜む危険とは

夢の技術GPSも使い方次第?

 みなさんは「便利」という言葉から何を想像するでしょうか。先日、GPSを使った「つきまとい」により、45歳の男が逮捕されました。男は、SNSで知り合った女子高生の自転車にGPSを取付け、行動を見張ったとされています。

「今、私はどこにいるのだろう?」みなさんも道に迷った経験があると思います。
そんな時、自分の居場所を教えてくれるのが「GPS(Global Positioning System )」です。
元々は米国の軍事技術ですが、カーナビをはじめ身近に感じられるようになりました。
今では携帯電話にも搭載され、誰でも利用できる「便利」なアイテムの1つです。

GPSは様々な分野に活かされ、タクシー会社の配車や緊急車両の位置把握、より早く駆けつけるための通報者位置確認にも役立っています。
また、昨今では地震予知に繋がる情報の取集手段としても注目されています。

GPSが防犯の分野で着目され始めたのは、大手警備会社が開発・運用開始した2001年からではないでしょうか。
当初、盗難車両を見つけるためのサービスでしかなかったものの、認知症患者の徘徊、子どもの連れ去りなど社会問題の深刻化とともに、その活用範囲が広まっています。
一時は、管理名目で「さぼり」や「浮気」の防止対策として注目された時代もありましたが、今では耳にすることが殆どありません。

私たちの便利は裏を返すと犯罪者にとっても便利なこと!

 GPSは、私たちの感じる「不便」や「不安」から発想が始まり、様々な利用方法が考案されてきました。
軍事目的だった技術が、目印の無い海や空での位置確認に始まり、船舶や航空機だけでなく、身近な車に搭載することで道案内をしてくれるようになりました。
そして、更なる進歩を遂げるために様々な分野で研究が進められています。

しかし、不便や不安を感じているのは良識人だけではありません。
犯罪を企み、実行する犯罪者にとっても必ずこの不便や不安は付きまとっているものです。
「犯罪者の不便や不安?そんなもの論外!」とおっしゃられる方が居るかも知れませんが「敵知らずして勝利なし」のことわざ通り、犯罪者の動向を知らずして「安全」を手にする事はできません。

また、様々な利用方法を発想できる「自由」も、善と悪の両者に味方すると言って過言ではないのです。
自身の欲求を満たす為だけに「便利」と「自由」を駆使して、実行するのが犯罪者です。
社会に広まる「便利」は、私たちに「豊かな暮らし」をもたらすと同時に「危険」ももたらしていると考えるべきです。

「ほっ」と一息。その前にやるべきこと

 日々の忙しさに四六時中背中を押され、一息つく時間もない時代です。
結論を急ぎすぎ、善悪の判断よりも都合を優先してしまう出来事も増えたように感じます。
そんな時代だからこそ求められる「便利」です。

GPSを利用したカーナビは、地図で探す煩わしさや探しながらの危険運転を減らして「安全」と「安心」を与えてくれます。
しかし、頼り過ぎれば地図を読めなくなりますし、ドライブをより快適にと更なる「ながら(危険)運転」を助長することにもつながります。

このように、安全と安心を超えた便利は、過信へ繫がり「危険」へと導くことが多いのです。
便利を追究することが技術の「進歩発展」を支えていますが、利用するのは私たち人です。
そして、技術の進歩発展がもたらす時間の使い方こそが、人の「知恵」ではないでしょうか。

余った時間で用事を増やし、更に便利を求めて用事を増やす。
それこそが「危険」を増やし、気づかなくなる原因です。
犯罪者は、私たちが考えている以上に「暇」です。暇が故に考える時間が豊富です。
次から次へと新しい手口を考え出し、私たちに襲い掛かろうと手ぐすねを引いて待っています。
そんな犯罪者から身を守る為には、何故忙しいのか?原点に立ち返って考える事が先決ではないでしょうか。

(神田 正範/防犯・防災コンサルタント)

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