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小・中学生のスマホ依存から国語力を守るには

JIJICO / 2016年6月24日 15時0分

小・中学生のスマホ依存から国語力を守るには

小・中学生のスマホ依存から国語力を守るには

秋田県のスマホ断ちキャンプがニュースに

小・中学生の7割近くが携帯電話かスマートフォンを持っており、何かと弊害も指摘される中、秋田県では「スマホ断ちキャンプ」が開催されたというニュースがありました。

SNSでの仲間/仲間外れのような問題、出会い系の危険性に加えて夜更かしの害などは、つとに取り沙汰されるところですが、国を挙げてICT教育を強化している現在ですから、ここでは「スマホ依存」が学習面、とくに国語力にもたらす悪影響について、見ていきたいと思います。

国語力低下につながるスマホゲーム

私の塾でも、中学生のほぼ全員、小学校高学年の生徒も半数強が、携帯電話を持っています。中3生あたりはみんなスマホです。
ふだん観察していると、やはり在塾時間中(授業前や休み時間)にスマホを操作している時の内容は、SNSかゲームに決まっています。いずれも「国語力」を低下させるという観点からは、百害あって一利なしと言えるものです。

とくにその弊害の大きい、ゲームについて考えます。
子どもたちがやっているのを見ると、次から次に場面が展開し、障害や課題をクリアしていくというのが、基本的な仕組みのようです。
問題は、「次から次に、間断なく、向こうから課題が押し寄せる」ことにあると、私は考えています。
お仕着せの、与えられた課題に条件反射的に反応して行くことの繰り返しからは、決して「読解力」は生まれません。
むしろ、身についているものさえ害されると思われます。

なぜなら、押し寄せる課題への条件反射を繰り返す時間の中では、「立ち止まって、考える」いとまがないからです。
「読解力」が必要とされる場面、すなわち文章を読む時に、文章や言葉は、それ自体は何も語ってくれません。
書かれていることをただ字面通りに音声としてとらえるだけでは、棒読みと同じで、言葉や文章の意味するところを正しく読みとることはできないのです。
自ら疑問を持ち、考え、文中から答えを見つける。さらには自分自身の着眼から、独自の見解にたどりつく。
こうしたことの繰り返しで、「読解力」は育まれます。
ゲームの「反射の繰り返し」とは対極にあることが、おわかりいただけるでしょうか。

塾の休み時間は10分です。
そのわずかな時間のことごとくに、必死にスマホにかじりついている様子を見ると、ついこんなことを思ってしまいます。「こんなのを四六時中やっていたら、文章を読む力はなくなるよなあ。」

ゲームのいま一つの弊害は、「刺激」だと言ってもいいでしょう。
読む力さえあれば限りない刺激に満ちている「文章」を、機械的な刺激に慣らされた脳は正しく読みとれず、刺激のない、退屈なものととらえている、こんな仮説も成り立つのではないでしょうか。
何とももったいないことです。

子どものスマホ依存対策は「家庭のしばり」

では、スマホの弊害の面から子どもたちを守るためには、どうしたらよいのでしょうか。
「スマホ断ちキャンプ」は興味深い試みです。
が、同様の取り組みが増えても、皆が参加できるわけではありません。
スマホそのものに依存しない環境をつくるためにはやはり、時間を決める、夜は親が預かるなど、家庭が一定のしばりを設けるのが一番でしょう。

そして「国語力」の面で言えば、大切なのは「音読」です。
自由時間に「本を読め」と言っても、本とゲーム、どちらを取るかははじめから決まっています。
「国語の勉強」である時間に、音読をして、読むことの楽しさ、言葉の魅力を知ることこそが、「言葉の前にたたずみ、考える」ことの入り口であり、子どもが本来持っている国語の力を引き出すことのできる、最善の方法なのです。

(小田原 漂情/塾教師、歌人・小説家)

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