うつ病が男性よりも女性に多い理由 ではどのようにすれば防げるのか
JIJICO / 2016年7月29日 15時0分
うつ病が男性よりも女性に多い理由 ではどのようにすれば防げるのか
女性のうつ病の出現率は男性の2倍
うつ病についての統計では、国の違いを超えて女性は男性の2倍という結果が出ています。女性だけで言うと、4人に1人はうつになるといわれています。
それでは、うつ病の出現率についての明らかな男女差はどこからきているのでしょうか。
その理由についてはいろいろな説明がありますが、一般的には次の4点が挙げられています。
(1)女性ホルモンの影響
(2)出産の影響
(3)女性がよりストレスを受けやすい社会環境(仕事プラス家事の負担など)
(4)男性優位社会での性差別による「条件づけられた孤立・無力感」
女性にうつが多い理由の一つとして「女性ホルモンの影響」が挙げられているのも、「月経前不快気分障害」という女性特有の診断名があることからも十分考えられます。
ただし、女性ホルモンの影響が実際どの程度うつ病の発現に関係しているかについては議論があり、余り関係はないとする研究結果もあります。
次にやはり女性特有である「出産の影響」も指摘されているのは、いわゆる「産後うつ病」からも十分考えられます。
しかしながら、女性ホルモン及び出産といった女性特有の生理的要因よりも女性がストレスを受けやすい社会環境や性差別といった環境的・心理的要因の影響が大きいという研究者もいます。
女性のうつ病を減らす対応策
このように女性にうつが多い原因についてはいくつかの説明がありますが、いづれにせよ女性にうつが多いということ自体は統計的にはっきりしているので、その対応策を考えるのは重要です。
その際、ホルモンや出産といった生理的要因の影響については簡単には変化は困難と考えられるので、環境的・心理的要因から対応を考えるのがいいと思います。
まず環境的要因ですが、女性がよりストレスを受けやすい社会環境(女性が男性に比べて家事・子育てなどでより多くの役割を担わされている)については、基本的にはそのような社会の態勢を変えるしかないといえます。
言い換えれば、女性個人の努力に帰するのではなく社会全体の課題ととらえる視点、そして真の男女平等に向けての施策や運動が必要といえます。
次に「孤立感・無力感」といった心理的要因ですが、これも女性への各種の差別が存在する男性優位社会といった社会の体制抜きにしては語れず、まずその変革が必要といえます。
女性個人でもすぐにできる心理的対応策(「めげにくさ」を強める)について
ただ目前の対応策としては、心理的な「めげにくさ(resilience)」を強めることがいいと思います。
具体的には、いま置かれている女性の「逆境」を盾にとっていわば開き直り、それを逆に積極的に利用することです。
(1) 何はともあれ、困難や失敗に遭いながらも今現にここに存在していること自体に自信を持つ(ある学者は、これを「survivor’s pride」と言っています)。
(2) 積極的に他に「援助・助け」を求める。
つまり、問題を自分だけで抱え込まず、いろいろな社会資源(友達や相談機関など)を積極的に利用することです。
実は女性はこの他に援助を求める行動を既に実践していると考えられます。
その理由は、女性の自殺率の低さです。国内外の自殺統計は、一様に女性の自殺者数が男性の半分以下となっています。一方、自殺の原因の大きなものとしてうつ病が挙げられています。
言い換えれば、女性は男性に比べて圧倒的にうつ病になりやすいのに、自殺に至ることは少ない。
一方、男性は女性に比べてうつ病になることは少ないのに、自殺に至る率は高い。
このいわば逆転し矛盾した現象に対しての一つの説明は、「心の悩みを持った時に助けや援助を求める男女の行動の差」、です。
つまり、何か悩みを持った時に女性は気軽に他の人に相談するのに比べ、男性は悩みを持っても自分だけで抱え解決しようとするからではないか、ということです。
つまり、心の問題を持った時に「援助を求める」のは重要な生きるためのすべ(スキル)だということです。
(村田 晃/心理学博士・臨床心理士)
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