天皇陛下 生前退位をどう考えるか
JIJICO / 2016年8月17日 15時0分
天皇陛下 生前退位をどう考えるか
天皇陛下が生前退位のご意向を表明
8月8日、天皇陛下が天皇としての象徴のあり方や公務に関し、お気持ちをビデオメッセージにて表明されました。
その中で、明言は避けられましたが、天皇としての地位を生前に退位することができる制度の創設を望まれているようなお言葉がありました。こういった天皇陛下の生前退位について、どのような問題があるか、考えていきたいと思います。
生前退位はできない?!
現在のルールに則る限り、天皇が生前に退位することはできません。
それは、「皇室典範」という皇位の継承について定められたルールに、生前退位に関する規定が無いからです(※なお、ここでは紙面の都合上、「ルールが無ければ辞められないのか?」という議論は避けました。)。
したがって、生前退位を行うためには、国会の議決によりこの皇室典範を改正しなければいけません。
それは、政府与党が皇室典範の改正を支持しなければならないことを意味します。
元号はどうなる?!
仮に、天皇の生前退位が認められるようになった場合、元号が変わるということになります。
元号法という法律では、「元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。」とありますから、天皇が生前退位され、現皇太子が天皇となれば、皇位を継承したということになりますので、元号が改まるということになるでしょう。
呼称について
明治以降、これまで生前退位がなされた例がありませんので、現天皇が退位された後、どういった呼び名にするのか、という点も気になります。
過去にはこういった場合、大上天皇(上皇)と呼ばれたりしておりましたが、現行皇室典範に生前退位の規定が無い以上、この点に関する取り決めはありません。
また、現皇太子殿下が天皇となった場合、皇太子殿下には今のところ男子のお子様がおられないため、「皇太子」という地位の方がいなくなります。
皇位継承順位でいえば、秋篠宮殿下が第1順位となりますが、「皇太弟さま」といった呼び名になるのでしょうか。
皇室典範改正の際には、こういった点についても議論されるかもしれません。
今の天皇誕生日はどうなる?!
昭和天皇の誕生日であった4月29日は現在、昭和の日として祝日となっておりますが、現天皇誕生日である12月23日は退位後祝日となるのでしょうか。
そうだとすれば、国民の祝日に関する法律についても併せて改正する必要が生じるでしょう。
最後に
このたびの天皇陛下のご発言につき、皆様はどのようにお考えになられましたでしょうか。
これに関し、立派な思想やイデオロギーは持ち合わせておりませんが、個人的には天皇陛下のご意向を叶えてあげればいいのではないかと思います。
やはり、年齢のことを思うと、多忙な公務をこなされるのはお気の毒に思います。
場合によっては摂政がおけるとはいっても、現行上、皇室典範では、「精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができないとき」に摂政がおけると規定されているにすぎず、「高齢」による場合は想定されていません。
もちろん、国会議員をはじめとする有識者による議論が必要なことは言うまでもありませんが、天皇の皇位継承について考える時が来ているのではないかと思います。
(河野 晃/弁護士)
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