受験生を持つ親がやるべきことやってはいけないこと
JIJICO / 2016年10月10日 9時0分
受験生を持つ親がやるべきことやってはいけないこと
受験は子どもがするもの親は良き応援団であるべき
受験はお子さんがするもの、親は良き応援団であることが大切なことです。
つまり、何といっても親が受験生になってはいけないということです。
受験期になると特に「ああなってほしい」「こうなってほしい」という親の気持ちが増してきます。
そして模擬試験の点数に一喜一憂してしまいます。
特に点数は親が見る前に子供は既に見ています。
少なからずその点数に対して子供なりに落ち込んでいることを親は忘れてはならないのです。
点数が取れないときに「ああしなさい」「こうしなさい」とつい言いたくなりますが、子供にとって耳障りなだけです。
そして「こうなったらいいのに」この「のに」が出てきたら要注意です。
子供にとって口うるさく聞こえるだけですから。
受験生の子どもの話をまず全て聞くことが大切
ではどうしたらいいのか。
子供が落ち込んでいるなあと感じたら話を聞いてやることが第一です。
それがたとえ言い訳じみたことであっても話を聞ききることをお勧めしています。
話を聞く際も「そうなの、それで」と相手が話しやすい環境を作る意識が大切です。
取った点数は消えるわけではありません。
これを次の試験、入試試験に生かしていけばいいのですから。
そうして話を聴き切ったときお子さんの顔を見てください。
スッキリしたいい顔になっています。
そうして「何をしたらいいと思う?」と聞いてあげると自分からあれこれと話が出てきます。
これはコーチングの手法ですが、家庭で話を聞く際に意識して使ってみてください。
以前、子供の中学入試から一緒に勉強をしてあれこれと指示をされてきたお母さんがいました。
中学の勉強もそうでした。
塾での面接もお子さんに話を振っているはずがいつの間にかお母さんがお話を横からとって話をされていました。
お子さんはいつの間にか黙って下を向いていました。
中学から高校への進級が危ういということで塾にやってこられました。
私どもの保護者セミナーにもよくこられていました。
その時、先輩の保護者様の体験談がありました。
お子さんの話を聞くこと、聴ききることを私どもではお伝えしていたのですが、この「そう、それで」を合いの手にして話を聞くことが良いことをお知りになり早速実践されました。
そうしたところテレビのクイズ番組の話をお子さんが二時間も話されたそうです。
そうしてお子さんが話し終えたとき「おかあさん、ありがとう。なんだかスッキリしたよ」と話されたそうです。
それからお母さんは「勉強のことは塾に任せ、自分は子供の健康管理だけしよう」と思ったそうです。
それからお子さんは急激に伸び見事第一志望に合格されました。
他人は自分の思ったようにはなりませんね。
我が子とて同じことです。逆に「こうしなさい」というと反発が出てくることはご存知ですね。
相手が変わらないのなら自分が変わるしかありません。
相手に優しくしてもらいたいなら自分から人に優しくする。
相手に話を聞いてもらいたければまず自分が話を聞く。
お子さんとのことも同じです。
受験生はとかく自分を追い詰めがちですから、話をしっかり聴いてあげることをお薦めしています。
子どもの出来る部分を認めるところから始める
次にテストの答案を見たら×から指摘しないことです。
子供は既に自分の間違えを見ていますから再度指摘されると嫌がります。
ではどうしたらいいのでしょうか?
そうです。○から見るのです。全部×で絵はありません。
「ここもあっていたのね。この分野はよく取れているじゃない」と出来ているところを指摘してみてください。
そうすると子供の方から出来ていなかったところを言うようになります。
そして何をしなければならないのかも言えるようになればしめたものです。
社会が苦手な中学生がいました。
得意な数学をはじめ他の科目は80点以上をとっていましたが、社会だけは40点前後。
「先生、社会は40点しか取れないんですよ」と隣にお子さんがいるところで言われました。
そのような言動は子どもに苦手意識を更に植えつけるだけです。
「40点しか取れなかった」のではないのです。「40点はとれた」のです。
そうなのです。
やれているところがあるのです。
ですから、まずはやれていること、出来ているところを「認めること」が大切なのです。
認めて褒めることが大切です。
根拠のない褒めは相手に届きません。
具体的に出来たことを認めて褒めることを意識してみてください。
お母さんの取り組みが始まりました。
歴史が苦手なその生徒が一生懸命覚えている姿を認めて褒めるようにしたところ、入試では社会の点数が一番良かったのです。
私の塾の講師に東大の講師がいました。
彼女は運動神経が鈍く、バレーボールの時は一人球拾いをし、水泳も一人浮き輪が必要な状態だったそうです。
しかし彼女は劣等感をもったことはなかったといいます。
小さい頃から人一倍時間のかかる子供だったらしいのですがお母さんは「自分のペースでいいんだよ」と言い続けたそうです。
例えば絵日記を書くのに2,3時間かかったとしても「よくかけたね。頑張ったねえ」と褒めてくれたそうです。
何事にもそうだったらしく、行動が遅いことできないことに対しても怒られなかったそうです。
「自分のペースでいいんだよ」と全てを受け止めてくれたそうです。
そして人と比較せず、出来たことは必ず認めて育てられたと話してくれました。
大人でも認められ、褒められたら嬉しいものです。
お母様が作られた料理を例えば「この塩加減絶妙だね。おいしいね」などと言われたらどうですか?また作りたくなりませんか。
ましてや子供は認めてもらいたがっているのです。
何もないことはありません。
探してでも認めてください。
家で認められると外でも認められます。
家はひとつの社会ですから。
社会で認められるということは合格を意味しますね。
「出来ていること」を認められると今からしようとすることに対して「出来るかもしれない」という気持ちになるのです。
つまり「プラス思考」にすることがポイントです。
「できる」という気持ちにさせることが大切なのです。
最後に、よろしければ著書になりますが「我が子が合格するために親ができること、してはいけないこと」(現代書林)に詳しく書きましたので参考にして頂ければ幸いです。
(阿部 泰志/学習塾塾長)
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