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アパート空室率悪化 それでも賃貸アパートが増えているわけは?

JIJICO / 2016年10月28日 9時0分

アパート空室率悪化 それでも賃貸アパートが増えているわけは?

アパート空室率悪化 それでも賃貸アパートが増えているわけは?

相続対策と低金利が後押しする賃貸アパート建築ラッシュ

賃貸アパート建築が増加傾向にあります。
人口減が進む中で、なぜそのような現象が起きているのでしょうか?
いくつかの要因が考えられますが、その一つとして相続問題があります。
各メディアを見るとビッグワードとして『相続』が欠かせません。
東京オリンピックには団塊の世代の大半が70歳になる、相続税の基礎控除が下がったから今まで相続税対象外の方も相続税の対象となる、などの記事は毎日のように目にしますし、セミナーでも相続をテーマにしたものが数多く開催されています。
そして、相続対策の一環として賃貸アパートの建築があるのです。
相続する土地に借金をして賃貸アパートを建て、相続税の支払いを免れるという手法です。相続人は賃貸収入から借入金の支払いを引いた分が収入になるというものです。

もう一方として、『低金利』があります。
株価も大きく上昇しない、国債も低金利であれば運用する資金は必然と不動産に向いやすくなります。
実際に最近の不動産トレンドは非常に活況を呈しており、かつ銀行の貸し出しも不動産にかなり傾倒しているのが実情です。
相続対策として賃貸アパートを建てようとする人にとっては絶好のタイミングとも言えます。
併せてこの波に乗ろうと既存のアパート・マンションメーカー、建設会社などが多数参加し、業界は非常に加熱している状況になっています。

無計画なアパート建設で空室率悪化に悩まされることに

これらが、賃貸アパートが増えている大きな理由です。
しかし、建築ラッシュの一方で需要と供給のバランスが崩れつつあることも事実です。
実際に現在の賃貸マンションの市場はエリアによっては供給過多により、飽和状態のエリアもあります。

そのような場合、従来から賃貸マンション・アパート経営を業者に任せっぱなしにしている方や、予算が無くほったらかしにしている方は今後注意が必要となります。
なぜなら、今後の日本は長期トレンドとして人口減少となるために入居者数は限られてきます。
その限られたパイを増え続ける賃貸アパート間で奪い合っているに過ぎないからです。
そして、入居者は管理や環境の良い場所を好んで居住し続けるので、その辺りがしっかりとした物件であれば長期的に居住してもらえますが、そうでなければ空室率に悩まされることになります。
これからは一層物件の立地や環境、管理が重視されてくるようになるでしょう。

賃貸アパートを経営するにあたっては、建設会社などから家賃保証などの提示を受けているから大丈夫、と考える向きもありますが、例えば2年ごとの契約更新の際に借り上げ賃料を下げられたりすることはよくあることで、ここでトラブルになるケースというのが非常に多いのです。

アパートを建てる側も不動産の知識を身につけることが重要

今後長期的なトレンドとして日本は人口減少の道を進みますが、全てのエリアが減少というわけではありません。
減少するエリアがあれば増加するエリアもあり、エリア選定が必要となります。
しかし、一番重要なポイントはアパートを建てる・買う方自身が不動産の知識を身につけることです。
もしくは家主側に立ってくれる不動産会社に常にフォローしてもらうことが重要です。

例えば、当社のような不動産コンサルティング会社に中立な立場で投資の可否について意見を求めることも一つです。
当然費用はかかりますが、今後失敗して資金が流出し、資産まで投売りすることを考えればそれほど高いものではありません。
実際に相談を受け、お客様の投資判断を行い、投資を止めたケースもたくさんあります。
一方で、いくつかの条件をクリアすれば投資のGOサインを出したケースもあります。
不動産は変数が非常に多いので、優秀なコンサルタントか信頼できる方に相談して進めると失敗をゼロにはできませんが、失敗を抑えることは可能です。

不動産は世間ではボロ儲けのイメージがあるかもしれませんが、それはほんの一部で本来は安定的な収入を得るもしくは景気に大きく左右されずに資産を守るためのものとして位置づけて頂ければと思います。

(今西 頼久/不動産コンサルタント)

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