小池塾に応募殺到 政府与党「百合子新党」を警戒
JIJICO / 2016年11月2日 14時0分
小池塾に応募殺到 政府与党「百合子新党」を警戒
小池百合子知事が政治塾を開講
東京都の小池百合子知事が、自身の政治塾となる「希望の塾」(以下、「小池塾」)を開講しました。
4000人以上の応募があったということです。
小池塾では、10月から来年の3月まで全6回の講義を行う予定とのこと。
こうした小池氏の動きに対して、政府与党からは警戒の声が根強いとの報道もあります。
今回の小池塾の狙いはどのようなものなのでしょうか。
政治塾というのはどういうものか?
そもそも政治塾とは、政治家の養成を目的とする私塾のことです。
有名なのは、現パナソニックの創業者である松下幸之助氏によって設立された松下政経塾。次代の国家指導者を育成すべく私費を投じて設立されました。
入塾者は数年に亘り塾内の寮で集団生活を送りながら研修を受け、また様々な実践活動をします。
卒塾生の半数近くは実際に政治の道に進んでおり、これまで50名以上の国会議員を輩出しています。首長や地方議員を含めるとさらに数は増えます。
また、最近の政治塾では、当時大阪市長だった橋下徹氏が立ち上げた維新政治塾が記憶に新しいところです。
大阪都構想などの大阪維新の会の政策に賛同することが参加条件。
当初3000人以上の応募があり、最終的に約900名が入塾しました。
開校後の衆議院議員総選挙では、日本維新の会の公募合格者の多くを維新政治塾の塾生が占めました。
小池塾の当面の目的は都議会議員の候補者確保
さて、前述のとおり、政治塾の目的は政治家の養成です。
そのため、小池氏が卒塾生を将来の政治の担い手として考えていることは当然です。
小池塾の公式サイトにも、「政治家を志望される方向けに、個別のサポートも検討しております」と明示されています。
また、公式サイトによれば、講義内容は、「都政改革」、「地方自治制度」など。応募資格は、「東京大改革の理念」に賛同する人となっています。
そのため、小池塾の当面の大きな目的は、都議会議員を中心とする東京都の地方議員の候補者確保とみられます。
また、冒頭ご紹介したとおり、小池塾の講義は来年3月まで。
来年夏には東京都議選がありますので、卒塾生をまずは都議選に送り込もうとする狙いがうかがえます
小池氏が都政改革を十分に実現できるか、その大きなメルクマールは、都議会の協力を得られるかどうか。
都議会に自らの都政改革に賛同する小池塾の卒塾生を多数送り込みたいと考えるのは自然なことです。
また、こうした動きをみせることで、現在の都議会で中心勢力となっている東京都議会自民党への牽制にもなります。
小池氏がその後小池塾を小池新党にまで発展させるのか。
また卒塾生の勢力を国政にまで積極的に広げていくのか。
このあたりは現時点では何とも言えません。
前述のとおり、都政改革など自らの政策を実現しようとする小池氏が、同志を集め、彼らを議会に送り込み、議会内での自らの政策への賛同勢力を高めようとすること自体は、何ら批判されるべきものではありません。
しかし、問題は、その同志らの政治家としての質になります。
小池塾の評価は今後の卒塾者の言動や活躍次第
維新政治塾でもその出身の国会議員が、2015年に大阪維新の会と維新の党から除名される出来事がありました。
今回の小池塾は、基本的に2時間程度の講義を6回受けるというプログラム。
これで塾生として政策提言ができる素地を養うとしていますが、先の松下政経塾のような、寮での集団生活をしながら数年に亘り研鑽を積む人生育成プログラムと比べると、その違いは歴然としています。
本当に小池塾が掲げる人材育成計画で、真の政治家、真の政策同志を政界に輩出することができるのか。
今後の卒塾生の言動や活躍如何によっては、小池塾は、単なる付け焼刃の人集め、資金集め、あるいは自民党や都議会への牽制のための方策に過ぎなかったといった批判は避けられません。
小池塾の真価が問われるのはこれからです。
(永野 海/弁護士)
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