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リアル「孤独のグルメ」が増える心理学的理由

JIJICO / 2016年11月6日 15時0分

リアル「孤独のグルメ」が増える心理学的理由

リアル「孤独のグルメ」が増える心理学的理由

広がるおひとりさまブーム

「おひとりさまブーム」というネーミングがいつしか普通になった昨今ですが、「ひとりカラオケ」「ひとり焼肉」など通常何人かで楽しむものを自分のペースで楽しみたいという若者を中心に、様々な広がりを見せています。
「ひとりディズニーランド」「ひとりウェディング」などというものもあり、カラオケもひとりカラオケ専用の店舗までできていますね。
これらは、「ひとり」というものが孤独でネガティブなイメージではなく、むしろ誰かに気を使うことなくマイペースに楽しむという趣旨で作られています。
そういった人々の動向に企業もブームに沿ったビジネスを展開しています。
なぜ、このような現象が流行っているのでしょう?

自我を持って生きる中で他者との関係が煩わしくなることも

心理学者フロイトは人間という生き物が、「本能が破壊されている。」と称しています。

・自然界の動物は、自分の身体に合った食べ物しか食べません。
・自然界の動物は、異性を選ぶポイントは明確です。
・自然界の動物は、自分の子孫を残すことに命を賭します。
・自然界の動物は、体を壊すほど(肥満になるほど)食べません。
・自然界の動物は、繁殖期が決まっています。

これらは人間に当てはまりません。
すると必要になるのがコントロールするための「自我」です。
自分が何者かというのは、ひとりでは成り立ちません。
故に他者が必要になり社会性を持ちます。
しかし、自我と自我の「私はこう」という主張の中で、他者が煩わしくなってしまうのです。
このような理由により、「他者が必要⇔他者が煩わしい」を繰り返す習性が人にはあります。

生活が便利になり自由になることが人を孤立させる

現代は、様々な生き方や自由が法律に触れない限り許されています。
高度成長期を経て私たちの生活の便利さは留まることを知りません。

昭和の時代には、車は一家に一台。居間にテレビが一台。電話は有線で一台。一般家庭ではこういったことが普通でした。
ところが今はどうでしょう?
家族という小さな社会でも別々の生活パターンが許され、車、テレビ、電話もひとり一台の時代です。
他者とつながる必要性がどんどん無くなってきているのです。

ある意味消費社会にとっては、人間は孤立したほうが、都合がいいということを心理学者フロムは危惧していました。
スマホやインターネットは便利ですが、それに対する影響として人と人の生身の距離感は圧倒的に遠くなっていますよね。

愛するということを忘れてしまっている人が多いのでは

愛するということは、大切なのにもかかわらず学校では習いません。
しかし、愛することに反し、人との間に波風を立たせないことや、集団から逸脱しないこと、声を上げたもの勝ち的な不条理などは、大人になるまでに何となく知ってゆきます。
心理学者フロムは、人間は愛するということは技術であり、備わっている能力ではなく、高めていく努力を必要とするものであるということを約60年前に著書に記しました。

現代社会では、あらゆるものが与えられることに慣れてしまっています。
「受け身」が心に沁みついているのです。
受け身は不満を生み、心を疲れさせます。
ゆえに人といることが煩わしくなっているのです。
筋肉だって使わなければ衰えるように、心の能力も使わなければ衰えます。
おひとりさまなどという言葉に慣れず人と人の間に生まれる絆を育む努力をしましょう。

(青柳 雅也/心理カウンセラー)

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