新成人マルチ商法の標的 18歳引き下げで被害拡大?
JIJICO / 2016年11月27日 15時0分
新成人マルチ商法の標的 18歳引き下げで被害拡大?
選挙年齢に合わせ成年年齢も18歳に引き下げることを議論
我が国の現在の民法は,年齢20歳をもって成年とする旨を定め(4条),未成年者の法律行為については,基本的に親権者等の法定代理人の同意を得なければならず,同意を得ないでした法律行為は取り消すことができる(いわゆる「未成年者取消権」)ものと定めています(5条1項,2項)。
平成27年6月の公職選挙法改正により,選挙年齢が18歳に引き下げられたことに伴い,民法の成年年齢もこれに合わせて引き下げる方向での議論が進んでいるようです。
成年年齢18歳に引き下げでマルチ商法の被害が拡大する?
民法の成年年齢を18歳に引き下げ,これによって18歳や19歳の若年者が上記の未成年者取消権を喪失することになった場合,これらの者が悪徳業者のターゲットとされて不当に高額な契約をさせられたり,マルチ商法等の被害が高校内で広まる恐れがあるといった指摘が出ています。
国民生活センターに寄せられる相談件数を調べてみると,「20歳~22歳」の1歳あたりの平均相談件数が,「18~19歳」のそれの1.37~1.89倍となっており,特にマルチ商法の相談件数は約12.3倍となっていることなど,20歳を境にして明らかに相談件数が増加していることがその論拠となっているようですが,こうしたことから,民法の成年年齢引下げに対する慎重論もまだまだ根強いといえます。
経験値の乏しい新成人が被害に遭わないための対策が必要
そうはいっても,成年年齢を引き下げようが引き下げまいが,経験値の乏しい新成人がマルチ商法等による被害に遭わないようにするための対策が必要であることに変わりありません。
この点については,今のところ即効性のある対策を打ち出せていない状況です。
悪質商法は,次々と手口を変え,インターネットやSNSを駆使するなど巧妙化していきますので,もともとインターネットやSNSに馴れ親しんでいる若者において被害に遭いやすい土壌があるともいえます。
法制審議会が採択した「民法の成年年齢引下げについての最終報告書」では,契約の成立や取消等に関する法教育の充実,クーリングオフ制度等消費者保護教育の充実など,いわゆる「消費者関係教育の充実」が掲げられております。
確かに,このような法教育はまだまだ国民一般に広く浸透しているとは言い難い状況ではありますが,新成人が被害に遭わないようにするためには,やはり成人に達する前からの教育が必要でしょうから,学校教育の中に法教育を積極的に採り入れていくなど,地道な努力をしていくほかないのではないでしょうか。
(田沢 剛/弁護士)
この記事に関連するニュース
-
少年少女「相次ぐ見せしめ」の舞台裏…北朝鮮に秘密の思想統制法
デイリーNKジャパン / 2024年11月26日 4時43分
-
子どもの思想を取り締まる北朝鮮の「未成年者犯罪防止法」
デイリーNKジャパン / 2024年11月25日 11時33分
-
中国でグッズブームの低年齢化、子どもが詐欺被害に―中国メディア
Record China / 2024年11月16日 20時0分
-
公共訴訟の専門家集団「LEDGE」、本格始動にあたり500万円を目標に初のクラウドファンディングを実施
PR TIMES / 2024年11月15日 1時15分
-
大学向け出張授業「日常で使える金融教育+FWB(ファイナンシャル・ウェルビーイング)診断」提供開始
PR TIMES / 2024年10月29日 17時45分
ランキング
-
1生稲晃子氏の靖国参拝報道、共同通信が訂正し謝罪…韓国の「佐渡島の金山」追悼式典参加見送りに影響か
読売新聞 / 2024年11月25日 21時46分
-
2能登地震で不明の男性か 土砂崩れ現場で「人のようなもの」発見 石川・輪島市
日テレNEWS NNN / 2024年11月25日 20時18分
-
3「クマ駆除要請の拒否を認める」北海道猟友会 全道71支部に通知
HTB北海道ニュース / 2024年11月25日 18時31分
-
4大阪メトロの座席で尻にやけど…原因は「アルカリ性洗浄剤」 警察は液体が座席に付着した経緯を捜査
MBSニュース / 2024年11月25日 18時0分
-
5<独自>ビザなし訪日客に事前審査、不法滞在者〝居座り〟防ぐ 補正予算案で調査費計上へ
産経ニュース / 2024年11月25日 21時34分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください