長時間労働の是正に向けて注目される「勤務間インターバル制度」
JIJICO / 2017年1月23日 15時0分
長時間労働の是正に向けて注目される「勤務間インターバル制度」
勤務間インターバル制度とは
勤務間インターバル制度というものをご存知でしょうか。
最近、長時間労働の是正や適正なワークライフバランス確保のために注目されているルールです。
従業員が終業してから(残業も含む)次に出社して仕事を開始するまでに、決められた一定時間、インターバルを挟まなければならないというものです。
例えば、残業で深夜0時まで働いたとして、インターバルが10時間と決められている場合、翌日の出社は午前10時で構いません。
会社の始業が9時と定められていても、10時出社でオッケーですし、遅早欠勤控除もされません。
残業代アップより効果的
これまで、長時間労働の抑止策として検討されてきたのが、残業や休日労働に対する賃金の割増率をアップさせることでした。
もちろん残業代を多く支払わなければならいことは、企業にとって負担となるので一定の効果はあります。
しかし、逆に考えれば、割増賃金さえきちんと支払っていれば、法で定められた限度までは従業員の労働時間を増やすことも許されてしまうということになってしまいます。
勤務間インターバル制度は、終業から次の始業まで確実に労働から解放される時間を設定するため、結果的に勤務時間の上限が定まることになります。
今の勤務制度のように、どれだけ遅くまで残業しても、翌朝何事もなかったように労働時間がリセットされ、仕事が始まってしまうようなことはありません。
そのため、この制度は長時間労働を改善するための具体的な手段として期待されているのです。
日本での状況
勤務間インターバル制度は、すでにEU加盟国では義務化されています。
近年、日本でもこの制度に注目が集まり、一部の大手企業などでは制度導入するところが見られるようになってきました。
特に、その仕事の性質上、労働時間が長くなりがちなIT・情報関連事業で、このインターバル制度を導入する企業が増えているようです。
この制度が日本で定着するためには、一人の従業員が長時間労働で支えてきた仕事をどう他へ配分するか、当たり前のように享受してきた便利なサービスが本当に必要なものなのかなど、仕事やサービスのあり方自体への再検討が必要です。
また、現状に則した労働関連法の整備、企業内の就業規則をはじめとする社内環境の見直し、社員教育による意識改革など課題もたくさんあります。
しかし、少子高齢化により働く人が減少する中にあって、よりよい就業環境を作ることは、人材確保・定着のために必須の取り組みでしょう。
まだまだ日本では知名度が低いですし導入事例も少ない制度ですが、今後ますます取り入れられていく働き方ではないかと考えます。
今後の動きに注目していきたい制度です。
(大竹 光明/社会保険労務士)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
職場が「固定残業制」ですが、残業するだけ「損」なので毎日定時で帰ってます。「残業ゼロ」でも残業代は支払われますよね?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月30日 2時10分
-
体調不良で休んだので、翌日は「1時間早く」出社しました。自己判断でも「残業」扱いになりますか? 上司からはとくに何も言われていません…
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月28日 4時40分
-
新卒ですが「定時5分前」に出社ってギリギリですか? 先輩に「もっと早く来たほうがいい」と言われたのですが、間に合えば問題ないのではないでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月13日 4時30分
-
在宅勤務ですが「仕事中に家事や子どもの世話をしてる」と、残業代なしと言われました。そもそも上司が夜の20時に「明日の朝までに」と資料作成を頼んでくるからなのですが、こんなこと許されるんですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月4日 4時40分
-
よく遅刻するのに、ときどき残業している人がいます。こういう場合にも「残業代」や「割増賃金」が出るのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月4日 2時20分
ランキング
-
1Googleの「約束破り」が示す検索市場の"危うさ" ヤフーへの技術提供制限で公取委が初の処分
東洋経済オンライン / 2024年5月2日 7時20分
-
2米スターバックス、3年ぶりの減収…中東での不買運動や北米の節約志向が重荷
読売新聞 / 2024年5月1日 22時24分
-
3GWの平均予算は「2万7857円」 過ごし方の3位「買い物」、2位「外食に行く」…「海外旅行」は1%
まいどなニュース / 2024年5月2日 7時50分
-
4円下落、一時158円台に迫る 介入観測後も円安止まらず
共同通信 / 2024年5月1日 18時30分
-
5観光業で働く人のためにも「GWは廃止すべき」 こう提言しても、何も変わらなかった理由
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月1日 6時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください