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飲酒で顔が赤くなる人はがんなどの疾病リスクが高い

JIJICO / 2017年2月8日 11時0分

飲酒で顔が赤くなる人はがんなどの疾病リスクが高い

飲酒で顔が赤くなる人はがんなどの疾病リスクが高い

日本人にお酒に弱い人が多いワケ

日本人の約半数はアルコールの分解産物である有害なアルデヒドを分解するアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の中でアセトアルデヒドが低濃度の時に働く「ALDH2」の活性が生まれつき弱いか欠けています。
このタイプではアルコール分解産物である有害なアセトアルデヒドを速やかに分解できないため、少量のアルコールでも悪酔いしやすい、つまりお酒に「弱い」体質になります。
お酒に「強い」「弱い」は遺伝による生まれつきの体質からくるものですから、両親ともお酒に弱い人は強くなろうという無理な努力をするよりも、自分の体質を認識し(周りの人にも知ってもらい)、体質に応じた飲み方を守っていくことが大切です。

なぜ飲酒で顔が赤くなるのか

日本人を含む東アジア人のおよそ半数が飲酒により顔が赤くなるのはアルコールが分解されてできるアセトアルデヒドの毒性によって「顔が赤くなる:フラッシング」が起こりやすい体質をもっているためと言われています。
このアルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドによって、いわゆる酔った状態になり、顔が赤くなったり、頭痛を引き起こしたりします。
飲酒により顔が赤くなる人をフラッシャー、赤くならない人をノンフラッシャーと呼びます。

飲酒で顔が赤くなる人はがんなどの疾病リスクが高い

アセトアルデヒドというのは毒性が強く、がんも引き起こしやすく、フラッシャーの方は食道がんになるリスクが、そうでない人の10倍近く高くなるといわれています。
日常的に飲酒をする人、中でもコップ1杯のビールで顔が赤くなってしまう人は、食道・咽頭がんのリスクが他人よりも高いとされ、1日当たり2合以上の大量飲酒グループでフラッシャーの方の食道がんのリスクはノンフラッシャーに比べ3.4倍高いと報告されています。
さらに喫煙ががんのリスクをさらに高め、フラッシャーの方が飲酒と喫煙をすると、飲酒も喫煙もしない人に比べ、食道がんになるリスクが最大190倍も高くなるという報告もあります。
さらにフラッシャーの方は、週に4ドリンク以上飲むと、アルコールによる高血圧症になるリスクが高まりますし、心臓病・脳卒中などの心血管疾患のリスクが高まるとも言われています。

残念ながらアルデヒド脱水素酵素の多い少ないは遺伝子レベルで決まっており、アルコールを多く飲めば酵素が増えるというものではありません。
コップ1杯のビールでも顔が赤くなってしまうフラッシャーの方はお酒の量を控えて、飲み過ぎないようにすること、これにつきるようです。

(佐藤 浩明/消化器内科専門医)

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