アリ社会に必要な働かないアリ そのメカニズムは人間社会にも通じる?
JIJICO / 2017年3月13日 14時0分
アリ社会に必要な働かないアリ そのメカニズムは人間社会にも通じる?
7割のアリはさぼっている?
働き者の代名詞「アリ」。
「彼はアリのように働いた。」というと悲壮感まで漂ってきます。
しかし、近年の研究で、アリは考えられているほど働き者ではないことがわかってきました。
大体、私たちが見ているアリは、餌を求めて地上を歩き回っている奴らばかりですが、圧倒的多数は僕らの見えない地下の巣内に潜んでいます。
そこで彼らは何をやっているのか・・・・研究者たちの地を這うような(いや、たとえではなく)観察の結果、地中では、最大、7割ものアリが何もせずに休んでいた事がわかったのです。
研究者にこの怠惰な姿を見られたアリたちは、バツの悪そうな顔をして仕事に戻った・・・・というのは冗談ですが、「弱肉強食」「弱いものは滅びる=鉄の掟自然淘汰」の自然界で、なんでこんなことが許されているのでしょうか。
継続的な観察でも、2割のアリたちは、ほとんど何も仕事をしない状態ですごしていたそうです。
働かないアリの存在意義
通常、自然界の生物は「無駄」なことはしません。
厳しい自然環境において、エネルギーロスが死活問題になるからです。
ですから、生物の行動には、きっと何か生存のための「意味」があるはずです。
アリも生物ですから、働き続けると「疲労」します。
その時休息を取らないと、人間と同じように「過労死」します。
均質なグループのなかで、もし、みんな同じように働き続けるとしたらどうなるでしょう。
働くアリたちは「疲労期」も同期してしまい、一斉に休息に入ってしまう可能性があるのです。
アリの巣内では、いろいろな仕事があります。
いつ敵が来て防戦しなければならないかわかりませんし、一時も休むことが出来ない「育児」の仕事もあります。
この時働き手がいないと巣が崩壊してしまう恐れがあるのです。
アリの巣内は、常に誰かが働き続けていなければならないのです。
しかし、さすがにアリ社会には「労働スケジュール表」などありません。
そこで、アリは、非常に巧妙なシステムでこの問題を回避しました。
遺伝的にわざとばらつきを持たせ、働き手のアリたちに個性を持たせたのです。
それぞれのアリたちは、周りの労働環境に応じて、働き始める時期が異なります。
いつも働く「腰の軽い」奴。
ただし、すぐ疲れるので休みはこまめに取ります。
仕事が大変になってくると、「よっしゃ、俺の出番だ!」と働き始める、なんとなく「頼りがいのある奴」。
最後の最後に土壇場に「切り札登場!」と出てくるヒーローみたいな奴、というように。
こうすると、「労働スケジュール表」などなくてもアリの社会は停止することなく回って行きます。
つまり、個々のアリで見ると「無駄」「エネルギーロス」と見える事でも、集合体としての「アリの巣」として考えるときわめて合理的なシステムと言えるのです。
アリ社会は人間社会にも通じる? 本当に働かないアリの存在
翻って人間の会社に当てはめて考えると、均質なエリートサラリーマンだけを集めた会社は、単純な「行け行け」状態だとめっぽう強いけど、いったん何かが起こるとエリート集団の弱さを露呈して、一気に崩れ落ちてしまう例をみなさん、嫌というほど見てきているでしょう。
虫の社会も、人間の社会も、こういうところは似ているのです。
さて、ここまでの話だと「個性は大事。働かないように見える奴も、実は重要な役割を担っている!」という、ある種の教訓譚で終わりですが、実はこの後に恐ろしい話があるのです。
ある種のアリの巣内において、本当に働かず、かつ、自分の子供だけを増やしていく「チーター」と呼ばれる「フリーライダー(タダ乗り野郎)」が侵入することがあります。
彼らは、まったく自分の事しか考えず、繁殖力だけは旺盛で、いつのまにか巣全体が「チーター」に変わってしまいます。
さて、そうなるとどうなるか。昔近くのコンビニに深夜勤務の茶髪のアルバイト青年が居ました。
素行良くなく、店の物を持ち帰りはあたりまえ。そのうえ、無知な店長を騙して、仲間をどんどんバイトに雇いはじめ、深夜、そのコンビニは不良バイトの饗宴の場と化してしまいました。
もちろん・・・そのコンビニはすぐに潰れましたよ。
結局、チーターに乗っ取られたアリの巣も同様に存続ができなくなり崩壊します。
巣を丸ごと消去することによってチーターの蔓延を防ぐ「自然の摂理」と言えなくもない事ですが。
で、人間界への教訓「個性は大事。働かないように見える奴も、実は重要な役割を担っている。けど、本物のフリーライダーも混じっている事もあるから注意してね。」チャンチャン。
(北川 実/理数専科塾塾長)
この記事に関連するニュース
-
アスファルトで事故死するカマキリ、犯人は寄生したハリガネムシ 「秋の悲劇」の謎解明
産経ニュース / 2024年12月20日 11時0分
-
「1日1万歩」を目指すのは間違っている…どれだけ忙しくても"シャキッ"と動ける人の効果的なウォーキング
プレジデントオンライン / 2024年12月20日 8時15分
-
「日本人は疲れてから休み、世界の一流は疲れる前に休む」休むために働くという欧米パワーエリートたちの休日の過ごし方とは
集英社オンライン / 2024年12月14日 11時0分
-
「がんばらなくていい」には要注意。元自衛官が「仕事は攻めた方が楽に働ける」と語るワケ
日刊SPA! / 2024年12月12日 8時48分
-
「仕事の劣等感」が一瞬で消える考え方。社会で生き残るキーワードは“劇団員”
日刊SPA! / 2024年12月5日 8時48分
ランキング
-
1『タイヤ館』新入社員が入社後わずか8か月“パワハラ”で自殺 両親は「パワハラを認め、謝罪してほしい」と運営会社を提訴
MBSニュース / 2024年12月26日 18時25分
-
2生理休暇中に海外旅行し懲戒免職処分、45歳女性教諭 夫とのけんか調査で虚偽発覚
産経ニュース / 2024年12月26日 16時46分
-
3寒さが大敵の「心筋梗塞」、防ぐための10箇条とは
ウェザーニュース / 2024年12月26日 14時0分
-
4JALサイバー攻撃 75便に欠航や遅れ 最大4時間の遅れも
毎日新聞 / 2024年12月26日 19時38分
-
5「カスハラ」対策を企業に義務付け 初めて定義を明確化 厚労省審議会が報告書取りまとめ
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年12月26日 16時58分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください