地価はまだ上がるのか?キーワードは「外国人」と「地方都市」と「小学校」
JIJICO / 2017年4月3日 9時0分
地価はまだ上がるのか?キーワードは「外国人」と「地方都市」と「小学校」
地価はまだ上がるのか?出遅れて爆安気配の日本の不動産
先日、土地の値段の定点観測と言うべき地価公示価格が公表されました。
今後も地価は上がるのか?どんな場所が上がっているのか?今後の日本の景気のため、将来の資産形成のため、3つのキーワードを挙げて説明しましょう。
今、日本の不動産は世界的に見れば「かなり安い」いや、「相当安い」と言えます。
バブル景気後の「失われた20年」と言われる長いトンネルを抜ける中で、日本の不動産価格は数分の1に下落しました。
同時にモノの価格はどんどん下がり、今でもデフレ感覚が抜けきらない日本ですが、世界の趨勢は違います。
1997年以降の住宅価格の国際推移では、世界の不動産が値上がりを続ける中、日本が右肩下がりとなっており、国際的にも際立って低い水準と言えます。
逆に言えば、日本の不動産は「超お買い得」なのです。
今回の地価公示でも、大阪の商業地の上昇が目立ち、売買の現場、たとえば京都では日本人がとても買えないような価格で町屋が買われていくのは、国際的に名前が知られ、外国からの観光ルートになっている場所だという背景があるのです。
最近の円安傾向も相まって、外国人から見れば、自国の不動産より日本が「爆安」に見えるのです。
地方都市はお買い得?
今回の地価公示の特徴の2番目は、地価上昇が順調に地方に波及しつつあることです。
国土交通省から公表された各都市の最高地価を比較すると、東京の一人勝ち、その他の都市は誤差みたいになりますが、地価の上昇率に注目すると、最初に東京で起きた地価上昇は順調にその他の都市に波及しています。
不動産の購入資金は、東京以外の地方都市に流れつつあるのです。
東京で高値掴みするくらいなら、割安な大阪、名古屋を買い、それでも高いと思えば札幌、仙台、広島、福岡・・・といった都市に順に波及するのです。
同じ現象は30年前のバブル景気、10年前のリーマンショック前でも見られました。
目下、金融緩和政策による史上空前の低金利・金余り現象が続く限り、地価上昇の波は、さらに小さな地方都市にも波及することでしょう。
地方の小学校周辺が人気スポットに
一方地方では、人口減少の影響もあって、全般的に地価は下落傾向です。
そんな地方でも局所的に地価が上昇している場所があります。
小学校の近くの住宅団地です。
アメリカでは、治安、教育環境がよい場所が好まれ、資産価格も維持されます。
それと同様、治安のよい日本でも、小学校に近い場所は、そこだけ土地購入意欲が高く地価が上昇する現象が見られるのです。
理由はこうです。
新入学の小学低学年でも無理なく歩いて通える場所なら、共働き夫婦も安心して子供を通わせられます。
加えてその市町を代表するような小学校は、地元でちょっとしたステータス感もあります。
購入するのは地方で共働き世帯。
年収1000万以上なら4000万円のローンも十分組めます。
30代、夫婦揃って大卒公務員と言ったところなら、「マイホームも子供の将来ための教育を第一に」考えるのです。
いかがでしょうか、デフレから脱却しかけている日本経済ですが、今後も地価の動向からは目が離せませんね。
(中山 聡/一級建築士・不動産鑑定士)
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