子どもの学業不振…親子の絆が特効薬
JIJICO / 2017年4月21日 13時0分
子どもの学業不振…親子の絆が特効薬
この時期、子どもが直面していること
学年が変わり、クラスの仲間や担任の先生が変わって、子どもたちは変化についていくのに必死になる時期ですね。学習内容もレベルアップして真新しい教科書に期待と不安をいっぱい抱えているかもしれません。同時に、親にとっても新学期・新年度が重なって忙しく、心の余裕を保ちにくくなる時期でもあります。すると、我が子を見て、「テレビやゲームばかりやっている」「ちっとも勉強してくれない」と、イライラしやすくなったりします。
しかし、ご存じの通り、それをそのままぶつけても、子どもの成績は上がりません。それだけでなく、必要以上に追い込めば心の傷をつくってしまう可能性もはらんでいます。実は厚生労働省の調べによれば子どもの自殺の原因のひとつは学業不振によるものとされています。では、親はただニコニコ黙って見守るしかないのでしょうか?
子どもの成績は「親の成績表」ではない
まずは、親が子どもの成績についてあれこれ言いたくなる時の心境を、冷静にひも解いてみましょう。実際には単純な怒りよりも、期待と不安が原動力になっていることが多いのではないでしょうか?
どの親も子どもに対して愛情一杯で、子どもを転ばせたくないのと、無意識に親自身も安心したいから、つい色々と口を出してしまいます。特にお母さんは教育熱心であるがゆえに、子どもの成績が上がらないことに対して自分自身を責めたりします。
しかし、子どもの成績が下がっても、それは「親としての成績」ではありません。なので安心してください。逆に学校での成績が全て満点だったとして、その子が生きることに無気力になったり、本来の学ぶ楽しさを知らずに生きていくことになったら、その方が悲しいですよね。
また、親から見て一番の理想は「何も言わなくても子どもが自発的に考え、必要な勉強をして、自主的に成績を伸ばそうとすること」ではありませんか?その上で大事なことは、親子でも全く別の人格であること、我が子の人格を認めて将来をサポートすることです。それは、子どもの将来に期待するなということではありません。学校教育の観点から評価されない子どもが、まったく違う観点で評価すると抜群に能力を発揮するということはよくあります。学力・コミュニュケーション能力・体力・集中力など、人間はひとりひとりすべてが違うのです。その子自身と向き合ってあげることが大切です。
それから、今と昔では時代が違います。当然、環境もまったく異なっています。ですから、今の時代を子どもと一緒に学んでいただきたいと、私は保護者によく伝えます。「私が子どものころはこうしたのに…」という言葉は、実はもう成功の根拠にはならないんですね。なので私は「子どもも成長すると同時に、親もともに成長しましょう」と伝えるようにしています。親の成長が止まってしまえば子どもはそこを見抜きます。親という圧力で推し進めても、溝が広がるだけです。
対処していくには?解決の展望
親の見ている姿が子どものすべてではありません。親が自分の尺度と照らし合わせ、自分自身の目で見て安心できるかどうか、という点からすべてを判断しないようにしてみましょう。
仮に「勉強しなさい」と叱ることで思い通りに子どもが机に向かったとしても、親が「よしよし」と思っている間に、ノートに親に対しての不平不満、辛辣な言葉を書き連ねている子だっているのです。逆に、うちの子は勉強してないと親が話し、子ども本人に聴いてみると、その子は親が寝てから勉強していると言うこともあります。また、親がなんでも先走り言葉をかけるのでなく、子ども自身に考えさせ、その答えをじっと待つことで、子どもは自主的に考える力を身につけていきます。
そして、テストの点が前回より1点でも上がったら、その事実をめちゃくちゃ褒めてあげ、「1点上がったね!次何点取りたい?!」と問いかけ、子どもが言った点数に対して、「じゃあそのためにどうしようか?」と子どもに考えさせていくことが大事です。そうすると子どもは親が「ひとりの人として扱ってくれている」ことを理解し、自分から動くようになるのです。
話してみることで気持ちは軽くなる
相談に来られる方々は「接し方がわからないだけ」です。そのやり方がわかるとお母さん自身も楽になります。子どもの将来を思うからこそ、わからないことが多すぎて不安になってしまうんですね。でも、一人で抱え込む必要はありません。わからないなら、知ればいいだけなのですから。
カウンセリングと言うと医療的なイメージをまだまだ持たれる方が多いかもしれませんが、極端な話、私は「お茶を飲みに来て」なんて相談者に話すこともあります。それくらい、気軽なお母さんのサポートとして捉えていただければよいと思います。
専門家に話してみることで、本来は味わわないで済むイライラ、モヤモヤを取り除き、気持ちが軽くなった自分をイメージしてみて下さい。きっと笑顔になりますよ。子どもも、お母さんにはいつでもニコニコ笑っていて欲しいはずです。
(大崎 清美/心理カウンセラー)
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