新入社員の3割が3年以内に辞める状況が30年も続くのはなぜ?
JIJICO / 2017年5月15日 9時0分
新入社員の3割が3年以内に辞める状況が30年も続くのはなぜ?
30年間にわたり新入社員の3割が3年以内に離職
日本では厚生労働省が昭和62年より、「新規学校卒業就職者の就職離職状況」を公表しています。
最近の発表によると、大学卒業者の30%以上が、「新入社員として入社後、3年以内に離職している」ことが分かります。
実はここ30年間変わらない傾向にあるのです。
背景には何があるのか、考えてまいりしょう。
新入社員の離職の理由
経済状況は、この30年間でも大きく変動を遂げています。
バブル経済から、平成の失われた10年へ…といった変動期では、自ずと就職活動も厳しいものとなっていました。
厳しい関門をくぐり抜け、就職できたのにもかかわらず、そのような時期でも新入社員の一定数は離職するということがあったということです。
それに加え、この30年の間には経済のグローバル化も伴い、正社員採用枠の変動が起こりました。
その影響でキャリア採用の浸透や転職への抵抗感が減ったこと、転職自体もしやすくなったこと等が、新入社員の一定数離職の背景にありましょう。
ここで、よく言われる「最近の若者には辛抱が足りない」「昔と違って、根性がない」という文言の如く、本当に若者だけの問題なのかは、捉えるべき切り口でしょう。
平成生まれの若年者が、離職した理由として挙げるものには、「仕事が自分に合わない、つまらない」「賃金や労働時間等の条件が良くない」というものが筆頭に来ます。この、「仕事が合わない、つまらない」と感じてしまうには、やりがいを持てず、先を見据えたキャリアデザインが形成しにくいということに繋がっています。
これらが新入社員の離職につながるとすると、「企業側」にも何らかの考えるべき切り口があるはずです。
企業側の問題
日本においては、若年社員の育成は、「新卒一括採用」で雇用し、OJTや研修などを介して、それぞれの企業に合った人材として育て上げる、ということが主流でした。
ただ、「失われた10年」で各企業は雇用調整をせざるを得ず、そのしわ寄せは新卒採用抑制へと向かい、フリーターや非正規労働者を多く生み出すことになりました。
そうなると、若年社員に近い年代層が薄くなり、かつ時同じくして、団塊の世代がリタイア。
若年層の社員教育をする層の無さが、社員としてのそこからのキャリアデザインがしにくくなった要因の一つと言われます。
更には、成果主義という評価基準も導入され、より「ここで頑張っていこう」というよりは、「若いからこそのチャンスを活かせるうちに、辞めてしまおう」という思考になったのではないでしょうか。
自分自身のキャリア形成を考えるポイント
そもそも自分自身のキャリアを考えるポイントには、大きく分けて3つあると言われています。
① 入るとき②継続を考えるとき③辞めたとき、です。
離職はまさに直接的には③だと思われますが、①と②も関連しています。
この3つの要所要所での、若年者及び企業のあり方を、見直していく必要があります。
① 入るとき、就職活動時から、学生はより“企業研究”を行うこと。
離職率はもとより、企業の経営方針や社風、口コミ評価等の情報収集は念入りに行いましょう。
もちろん、企業サイドも、自社の“情報開示”に務める必要があります。
②では、若年社員は、ただ辞めることだけを考えるのではなく、③の辞めたあとのことも考えた上で、如何に社内で生きていくのかを再考する必要があります。
企業側は、メンター制度等も導入し、若い人材育成に力を入れ、継続して働いてもらえる環境づくりが必要です。
③の辞めたあと、というのは、実質、転職を意味する側面もあります。熟考を重ねた上でのものなら、意味があります。
最近では、“第二新卒で転職”という採用枠組みも出てきていますので、そこからのキャリアデザインをどうしていくのか、が重要となりますね。
長きに渡る3割の離職率が続く有り様は踏まえた上で、採用する側もされる側も、それぞれが取り組むべきことを見つめ直すきっかけになると良いのではないでしょうか。
(角野 裕美/キャリアコンサルタント)
この記事に関連するニュース
-
〈12/11(水)開催〉 ジェイックカンファレンス2024『組織開発の効果を最大化する12の視点』
PR TIMES / 2024年11月25日 12時45分
-
弱者男性を生み出す一因は、「新卒一括採用」という日本独自の仕組みにあった。一度失敗したら復活できない残酷な現実
集英社オンライン / 2024年11月12日 17時0分
-
2025年卒の採用充足率は約7割、「4割以上の企業」が2026年卒の採用活動を早めると調査で明かされる
マイナビニュース / 2024年11月12日 6時32分
-
新卒の離職率上昇で転職エージェント会社が爆増「アドバイザーが新卒だった」「企業のマージン目当て」の悪徳業者も…
集英社オンライン / 2024年11月11日 11時0分
-
なにも理解できません…年収850万円の51歳団塊ジュニア父、Z世代息子の就職祝いにブランド時計を贈り男泣き。一転、半年後「退職代行を使って辞めた」にフリーズ【FPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月5日 7時15分
ランキング
-
1自然界最強「ミノムシの糸」を製品化、スポーツ用品や自動車に活用へ…興和「化学繊維に代わる存在に」
読売新聞 / 2024年11月25日 10時50分
-
2「京急」「京成」に照準定めた旧村上ファンドの思惑 2006年の「阪急・阪神合併」の再現を想起
東洋経済オンライン / 2024年11月25日 7時50分
-
3"退職代行"を使われた上司「信用ダウン」の悲劇 多いのは営業、職場に与える「3つの影響」とは
東洋経済オンライン / 2024年11月25日 8時30分
-
4日経平均株価が再度上昇するのはいつになるのか すでに「日柄調整という悪材料」は織り込んだ
東洋経済オンライン / 2024年11月25日 9時30分
-
5「寿命半分」を掲げた電車、登場30年超で〝再就職〟できる秘訣は? JR東日本209系、置き換え用車両も判明 【鉄道なにコレ!?】第68回
47NEWS / 2024年11月25日 10時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください