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広がりを見せつつある限定正社員、その是非は?

JIJICO / 2017年7月9日 9時0分

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広がりを見せつつある限定正社員、その是非は?

限定正社員制度が増えている理由


限定正社員の雇用、限定正社員制度の導入などを行っている企業が増えています。限定正社員が増加の一途をたどっている背景には、昨今の人材不足があると言われています。人材不足については、少子化に原因があると従前より問題視されていますが、最近の就労状況をみますと、雇用されない働き方を模索する就労者が増えていることなども少なからず影響しているものと思われます。

こうした状況下で企業が必要な人材を確保するための戦略の一つが限定正社員制度になっています。パートや派遣社員は、有期雇用であるがゆえに、労働者はいつ契約が終了するか不透明で不安をかかえながら働かなければならない、というデメリットがあります。

また、企業側も臨時性の点から、合法的に雇用契約の解除ができるということで、この雇用形態を選択してきたのですが、これからはより応募者を集めやすくするためという観点から正社員になることを案内している現状があります。
しかしながら、ほとんどの場合、非正規雇用労働者を限定正社員化する雇用のようです。これまでも、ユニクロ、スターバックスコーヒージャパン、オリエンタルランド、グルメ杵屋等が実践しています。

限定正社員制度の形態とメリット・デメリット

限定正社員制度は一様ではありませんが、典型的なものとして職種限定、勤務地限定、勤務時間限定などがあります。

職種限定は、キャリア形成が必要な高度な専門的職種においてメリットがあり、勤務地限定は、転勤が難しい人材や無期転換雇用のステップアップでの活用においてメリットがあり、勤務時間限定は、育児・介護の事情をかかえる人材、業務配分や長時間労働防止を重視する手段としてメリットがあると考えられます。

文字通り多様な正社員制度であり、雇用する労働者のほうもワークライスバランスの点でメリットがあるとされています。一方で企業側の労務管理が複雑化するなどのデメリットになる可能性もあります。

雇用する際の法的な留意点

限定正社員制度は、採用以前、採用時、採用後のステージで企業側の適切な対応が求められます。

採用前の求人段階では、限定正社員でも職種・勤務地・勤務時間など何を限定する募集かを明確にし、不信感のない誠実な求人であることを通知する必要があります。採用時には、労働条件や働き方について明確に通知し、応募者が自己決定しやすくする必要があります。

採用後ですが、一部には、限定した勤務形態が存在しなくなれば解雇できるとの話もささやかれているところもあります。限定正社員だからと解雇しやすくなるルールにはなっていないこと、解雇回避が要請されることに変わりはないこと、雇用維持の努力が求められる可能性のあることなどを踏まえ、限定正社員にすれば決して解雇できるわけではないことに注意する必要があります。もっとも、労働問題の分野では、限定正社員が普及する以前より、配置転換が合理的なものではないことの事実として、職種や勤務地を限定した採用だったとの主張がなされてきた経緯があります。その状況に鑑みますと、勤務地に加え職種や勤務時間の限定もあり、トラブルが生じやすくなると言えます。

以上の諸点を踏まえますと、メリット・デメリット双方が存在するがゆえに、労働者や企業は、それぞれの立場や状況、目標等から是非を検討する必要があると考えます。

(亀岡 亜己雄/社会保険労務士)

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