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稲田氏発言の波紋収まらず。問題が大きくなったポイントとは?

JIJICO / 2017年7月12日 12時0分

稲田氏発言の波紋収まらず。問題が大きくなったポイントとは?

稲田氏発言の波紋収まらず。問題が大きくなったポイントとは?

問題となった稲田氏の発言内容とは


稲田朋美防衛大臣の発言が波紋を呼んでいます。発言は6月27日夜のこと、東京都議会議員選挙の自民党候補を応援する集会での演説です。なんと、稲田大臣は「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としても(特定の自民党候補者の支援を)お願いしたい」などと訴えたのです。

防衛大臣は「国家機関」ですから、選挙にあたっては「中立」が求められます。稲田朋美氏個人の資格において、あるいは一自民党員として、特定候補者の応援をすることはもちろん構わないのですが、「国家機関」としての選挙応援は「禁じ手」です。例えば、安倍晋三首相が選挙の応援演説をする場合、あくまで「自民党総裁」としての立場で行い、けっして「総理大臣として」などとは言いません。いかにも形式的な感は否めませんが、公人と私人の立場をうまく使い分けるのが常識です。こんなことは、誰もが知っているべき「選挙のイロハ」なのです。

稲田発言は前代未聞の違憲発言にあたる

今回の「稲田発言」は、「防衛省」及び「自衛隊」を統括する権限を持つ「防衛大臣」として、しかも「国家組織をあげて」特定候補者を応援しようとするものであり、「国家機関による選挙介入」にあたることは明らかです。
これは、選挙に対する極めて不当な干渉であり、選挙の公正を著しく害するばかりか、それ以上に、日本国憲法の根幹をなす三大原理の一つ「国民主権原理」を否定し、これをないがしろにするものであることが大きな問題です。

その意味で、今回の「稲田発言」はとんでもない前代未聞の「違憲発言」なのです。報道では「自衛隊の政治利用」「公務員(国務大臣)としての地位利用」などと取り沙汰されていますが、そんな些末な問題ではありません。憲法を尊重し擁護する義務を負う国務大臣が、みずから「国民主権原理」を否定し、ないがしろにする発言をした点にもっとスポットがあてられるべきです。

発言の背景におごりがあったのではないか

その後、稲田大臣は、「誤解を招きかねない発言があった」として発言の一部を撤回しましたが、いったいどのような「誤解」を招いたのかについては明らかにしていません。稲田大臣は弁護士ですから、憲法を理解していなかったとの言い訳は通じないと思います。私は、むしろ今回の発言は稲田大臣の「おごり」から出たホンネではなかったかと考えています。

これは、「稲田発言」を後ろから読むとよくわかります。すなわち、「私のお願いは、自民党としてだけではなく、防衛大臣として、つまりは防衛省・自衛隊(のトップ)としてのお願いです」というのが、稲田大臣の言いたかったことなのです。最後にようやく「自民党としても」と言っていますから、この部分は「付け足し」に過ぎません。自分は日本の防衛大臣であり、その配下には防衛省そして自衛隊が控えているんだゾ、という「万能感」が稲田大臣の口を滑らせたのでしょう。「万能感」と言うのは、「自分は何でも出来る特別な存在」と思い込む状態を指す心理学用語です。

まさに、稲田防衛大臣の「頭の中」には、「安倍一強政権」の中枢にあって、数の力で何でもやってのけられる、そもそも憲法秩序すら気にする必要がない、との思いが渦巻いているのでしょう。
おそろしいまでの「おごり」です。

私たち国民が今の政府に交付してしまった「白紙委任状」は、私たち国民の予測(授権の範囲)を超えて、どんどん独り歩きしてしまっていると言っても過言ではありません。

(藤本 尚道/弁護士)

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