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ビットコインの分裂と仮想通貨の今後

JIJICO / 2017年8月13日 8時30分

ビットコインの分裂と仮想通貨の今後

ビットコインの分裂と仮想通貨の今後

ビットコインが2つに分裂

8月1日、代表的な仮想通貨であるビットコイン(BTC)が分裂し、新たな仮想通貨ビットコインキャッシュ(BCC)が誕生しました。

ビットコインには中央集権的な管理者がおらず、取引履歴をブロックチェーンで管理します。近年、ビットコインの取引量が急増し、ブロックチェーンに記録して取引完了するまでの待ち時間が長引く、手数料が高騰する、等の弊害が出てきました。その改善策を巡ってビットコインのシステムを管理してきた開発者集団「コア」と、 ビットコインの取引を承認してブロックチェーンに組み込み、報酬を受け取る「マイナー」との対立が起きました。その結果、一部の「マイナー」がブロックチェーンを強制的に分岐して新通貨を発足させたのが今回の事象です。

仮想通貨は通貨なのか、商品なのか

ビットコインなどの仮想通貨とはどういうものでしょうか。今年から施行された改正資金決済法では、法定通貨ではないが、電子的に記録され、代金支払などに使用できる「財産的価値」と規定されました。つまり、商取引等の決済手段としての機能と、仮想通貨自体が価値を持つ商品としての機能を併せ持つということです。現時点では仮想通貨で商品やサービスを購入する人はあまり見かけませんが、商品としての仮想通貨の価格は高騰し続けており、投資商品として多くの資金が投入されています。

中央銀行の様な管理者がなく、法定通貨の様に国家の保証もない仮想通貨が高騰し続けるのは何故でしょうか。それは、仮想通貨が今のところ安全資産と見なされているからです。ドルや円などの法定通貨は国家の保証があるため、安全とされてきましたが、リーマンショックやギリシャ危機などで国家の信用が揺らぐと貨幣価値も下落しました。一方、仮想通貨の信用を支えるのはブロックチェーンなどのテクノロジーです。また、金融機関を介さずに相手先に直接送金することができ、手数料も格安です。国家の規制の及ばないところで価値が維持され、利便性も高いため、だぶついた資金が仮想通貨に流入し、その資産価値が上がり続けているのです。

仮想通貨に関する税制はどうでしょうか。仮想通貨は法的に支払手段と定められたため消費税法の適用除外対象となり、この7月から仮想通貨の売買に関わる消費税は非課税となりました。一方で仮想通貨は財産的価値を持つ商品なので、取引の結果獲得した利益に対しては所得税が適用されます。注意したいのは、仮想通貨の保有による含み益(含み損)は税金に関係せず、仮想通貨を売却した時点での利益が課税対象となることです。現在、あるいはこれから仮想通貨での投資を行う場合、都度の取引の記録が重要となります。

仮想通貨の今後

仮想通貨は投資先として注目される一方、ダーティーなイメージもあります。最近では仮想通貨の投資詐欺も増加しています。日本では仮想通貨の取引所は登録制であり、本人確認も必要ですが、海外では匿名取引が可能な取引所もあります。また、利用者同士が直接取引する相対取引も可能です。この特性からランサムウェアの身代金やマネーロンダリングに仮想通貨を利用することも多いようです。

上記の仮想通貨の悪用は今後撲滅されることを期待しますが、今回のビットコイン分裂は今後も起こり得るでしょうか。仮想通貨は管理者不在の通貨システムですが、様々な利害関係者が運営に携わると、それぞれのエゴから意見が対立することは避けられず、再度分裂騒ぎが起きる可能性があります。分裂騒ぎの頻発は利用者の離反を招きます。

ブロックチェーンなどのテクノロジー面が注目される仮想通貨ですが、その運営者がエゴや欲を抑えられないと、仮想通貨自体が内部崩壊するかもしれません。

(金子 清隆/ITコンサルタント セキュリティコンサルタント)

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