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親知らずを抜くべき3つの理由

JIJICO / 2017年8月28日 7時30分

親知らずを抜くべき3つの理由

親知らずを抜くべき3つの理由

抜歯を勧めるのは悪い歯医者?

「親知らずが見つかったら、抜歯を勧められる」というイメージはないでしょうか?

患者さんの中には「すぐに歯を抜く歯医者=悪い歯医者」、「歯を抜かない歯医者=良い歯医者」のように思われている方がいらっしゃいますが、実は抜歯する際には適応基準があり、私たちは「歯を抜く以外に選択肢がない場合」や「抜歯する以外に症状の改善が図れない場合」の最終手段として抜歯をおススメすることになります。

抜歯は保険診療の場合、治療費用が低く設定されており、手間がかかる割に儲かる治療ではないため、歯科医としても、患者さんのお気持ちと同様に抜歯はできれば避けたいのが本音だろうと思います。

もちろん「できるだけ歯を残す」ことが大切なのは言うまでもありません。しかし、親知らずの抜歯についてはある程度必然性があり、できるだけ早期に抜歯した方が患者さんのメリットになることが多いです。親知らずを抜かなければならない3つの理由についてご紹介していきましょう。

そもそも親知らずとは?

親知らずとは、永久歯の中で一番最後に生えてくる歯のことです。人によっては一生映えることのないままの場合もあります。

なぜ親知らずが厄介な存在かというと、現代人は硬い食べ物をだんだん食べなくなり顎(あご)が小さくなってきています。歯のサイズは昔の人と変わりませんから、顎が小さくなると一番最後に生えてくる親知らずのためのスペースが不足します。

すると、歯肉から斜めに出てきて、半分埋まったような中途半端な生え方になってしまうことが多く、歯磨きしにくい上に不潔になり易い環境になってしまいがちです。食べかすが手前の歯との間や親知らずの周囲の歯ぐきに入り込み、常に不潔なバイ菌の溜まり場になってしまいます。

親知らずを抜くべき3つの理由とは?

親知らずを抜歯すべき大きな理由は3つあります。それは、上で述べたとおり「まっすぐ生えていないことが多い」という点に起因します。

1. 口内炎になったり噛み合わせに悪影響を与える

歯が曲がって生えていると「上手く噛み合わない」、あるいは舌や頬に当たって口内炎になってしまう場合があります。また、咬み合わせた時に他の歯と変な当たり方や接触をすることで噛み合わせに影響を与え、あごの動かし方が変わるために顎関節症になってしまう場合があります。

2. 気をつけていても虫歯になりやすい

一番奥なので歯みがきが行き届かずに、汚れが溜まりやすいため、すぐに虫歯になります。無理に修復治療を行っても、十分に清掃できずに結局は再発虫歯になってしまうケースが多いのです。担当歯科医も治療の際によく見えないからか、あるいは治療器具が届きにくいために不完全な修復処置がなされているケースも見かけます。

3. 「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」になる

親知らずの周囲がちゃんと磨けずにいつも歯垢がベッタリだと、手前の奥歯と一緒に歯周病が進んだり、親知らずに沿って歯肉の中にバイ菌が入り込んで、周囲の歯肉が化膿している状態=智歯周囲炎になります。

特に疲れが溜まったり、睡眠不足になった時などの体力低下状態になると、突然派手に腫れてくることがあります。歯肉から膿が出てきて強い口臭を伴うことも少なくありません。うずく感じや痛みが出たら、早めに歯科医院を受診しましょう。

親知らずの抜歯は口腔外科?

一般的に上の親知らずの抜歯は容易なことが多く、下の親知らずは、生え方や埋まり具合、歯根の形状により抜歯自体が非常に困難な場合があります。ケースによっては周囲の骨を削らないと抜歯できないこともあり、処置に1時間以上を要することも珍しくはありません。

このため、多くの開業歯科医は親知らずの抜歯を敬遠しがちです。歯科医師によっては苦手意識があったり、患者さんが多い診療所では、なかなか処置のために長時間を確保できない事情もあるようです。その場合は近隣の病院歯科や口腔外科を紹介されるかもしれません。いずれにしても抜歯の前に応急処置が必要な場合もあるため、早めにかかりつけ歯科にご相談いただければと思います。

(飯田 裕/医学博士・歯科医)

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