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「うつ」への無理解を乗り越えるために大切なこと

JIJICO / 2017年10月8日 7時30分

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「うつ」への無理解を乗り越えるために大切なこと

「うつ」は認知度は高いが、本当の意味での理解には程遠い

脳の病気とされる「うつ」が、どのような病気で、どういった症状があるのかは近年ではよく知られるようになりました。ところが、うつ病は見た目にはわからないため、その人がうつ病なのかどうか周囲の人間はなかなか気づくことはできません。また、うつ病だとわかっていても、一見すると「ただ元気がなく無気力なだけ」に見えたり、躁鬱状態の躁状態(ハイになっている状態)だけを見て「なんだ、意外と元気なんじゃないのか」と思い込むことで、つい感情的に接したり、励ましたりして元気づけようとしてしまうこともあるかもしれません。

また、うつはどれほど説明してもなかなか実感を伴って理解されにくい病気でもあります。おそらく、発生原因がストレスなど心因的なものであり、ストレスは誰しも多少なりとも持っているために、「大げさだ」「それくらい耐えられるだろう(自分だって耐えているのだから)」と考えてしまうからでしょう。

見た目にはわからず、なかなか理解されにくいという特徴は、うつ病の人をさらに苦しめ、主治医など医療従事者にまで心ない言葉をかけられたり、本当に苦しんでいるのに本気で取り合ってもらえないということまであるようです。そうした対応によって、よけいに改善を困難にさせているのが現状です。

しかし、うつは脳の病気ですから、根性論や気合で何とかなるものではありません。がんや糖尿病など身体的な病気と同じく、理屈で克服できるような病気ではないのです。決して悪気があるわけではないにせよ、周り人間のこの部分への理解や周知が進まなければやはりうつ病の回復は困難でしょう。

うつ病に限らず、未体験者がその病気の辛さを理解できないのは当たり前

しかし、現在はこれだけうつ病に関する知識があふれ理解が進んだとはいえ、病理の深い部分はまだまだ理解が進んでいないと言えます。医療従事者でさえ未だに手探り状態なのですから、現段階では、うつ病の理解を一般の人に求めるのがそもそも無理難題だと考えた方がよさそうです。

うつ病の本人にしても、ただ「あなたはうつ病です」と診断されただけで、具体的に自分の身に起こっていることや、その原因を自分自身でも理解できない状態にあるのではないでしょうか?自分でもいまひとつわかってないものを、他人に説明したり理解するのが難しいのは当然ですよね。

ですから、うつになってしまったご本人は、まずは周りの人の無理解に対して過度に落胆しないことが肝心だと言えます。相手の無理解を責め始めると、どんどん傷つき、自分自身を追い詰めることになります。でも、周囲の人たちが理解できずにいるのは、あなたを傷つけようとしているとか、やさしくないからではなく、自分がかかったことのない病気だから辛さを知らないだけなのです。たとえば、あなたが糖尿病や心臓病になったことがないのに、その辛さを本当には理解できないのと同じですね。「相手はうつを経験していないから、知らないんだ」くらいに思っておきましょう。

ただ、周りの人は、たとえ本当には理解できなかったとしても、「周囲の支えがうつ病の改善には欠かせない」ということを覚えておいてください。

周囲に理解者がいなくても一人で抱え込まない方法

周りの人に理解してもらうことを諦めるのだとすれば、ただ孤独に治療に励むしかないのかと言えばそうではありません。身体的な病気でもそうですが、一人で困難に立ち向かったり乗り越えようとしても苦労しますから、苦しみや抱えている負担を全部一人で担おうとしないことが大切です。

そのためには、同じ悩みを抱える人、それから、少しでもこの病気を理解してくれる人とだけ関わりを持つようにすれば良いんですね。身近な人全員に理解してもらおうとせず、少しでも理解してくれようとしている人とだけ関係を続けていけば良いでしょう。

私がお勧めしたいのは、うつ病の人同士でコミュニティーを作り、そこで悩みを打ち明けて共有することです。

自分と同じ悩みを抱える人と共有すると負担は分散されます。このような悩みの共有作業を続けていけば、やがてうつの症状も軽くなり、心に段々余裕が出てきて、考え方にも余裕が出てきますから、よりうつ病の改善に繋がりやすくなります。

直接知った人同士でコミュニティーを作らなくても、インターネットのポータルサイトやSNSなどを介してコミュニティーを作っても良いと思います。

そして、このように他人の無理解は至極当然なんだということを踏まえた上で、それでもやはり社会的な周知と理解を進めていけるよう、まずは医療従事者が心ない態度で接しないように気をつけなければなりません。また、各家庭や企業も含めて社会全体で取り組んでいく必要があると思っています。

(宮本 章太郎/心理カウンセラー)

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