保護犬を迎えるという選択肢 殺処分ゼロのためにできること
JIJICO / 2017年11月1日 11時50分
保護犬を迎えるという選択肢 殺処分ゼロのためにできること
きょうは犬の日 「殺処分ゼロ」のために考えたいこと
「殺処分ゼロ」。この言葉が叫ばれるようになって久しいですが、これを実現するためには「乱繁殖ゼロ」すなわちショップでの生体販売をやめることが求められます。しかし、動物愛護後進国の日本ではこれを規制する法律はなく、政治に任せていては今後も実現しそうにありません。
でも、犬を迎えようとする人たちがショップで購入することがなくなっていけば、すなわちビジネスとして成り立たなくなれば、少しずつ減っていくだろうと私は考えます。
では、ショップで入手できないのならどこから入手したらよいのでしょう。
それは、商売を目的としていない優良なブリーダーさんを見つけるか、保護犬の里親になるという方法があります。
保護犬の里親になるのは難しい?
「保護犬は譲渡条件が厳しくて…」という声を聞いたりしまが、決して厳しいわけではなく、至極当然のことを条件にしているだけです。
たとえば、
・毎日長時間一人で留守番させる生活スタイルでないこと
・犬の事を理解する努力をし続けること
・最期まで幸せに生きられるように最善のケアをし続けること
これは私の考える最低限の譲渡条件ですが、本来ならばひとりひとりがそれぐらいの条件を自問自答して、迎える犬の一生を背負う覚悟をして迎えるべきです。
保護犬はペットショップよりも安心材料も多い
また、「保護犬は過去がわからないから不安」という声も聞きます。確かに保護した団体等でもある程度の事は把握できても、子犬の頃からの正確な過去は把握できないかもしれません。しかし、ショップで売られている子犬たちも、大手のショップは特にパピーミルという劣悪な環境の下で繁殖させられた親たちから産まれているので、ショップに来るまでにどんな環境に身を置いていたのかを知ることはできません。
むしろ、ショップで買った子にしろ保護犬にしろ大事なのは迎えてからの飼い主の接し方です。いくらショップから迎えても必要なパピートレーニングをしないで社会化不足にしてしまったり、豊かな環境で育てなければ問題を抱えるようにもなりますし、過去のわからない保護犬でも迎えてから愛情を持って正しい接し方をし、コミュニケーションをとれるようにすれば素晴らしいパートナーになります。
そして、保護犬を迎えることのメリットは、保護されてから最低限必要なトレーニングをした後に譲渡可能と判断された子が里親募集にかけられますから、ある程度性格を把握してから引き取ることができますし、大人の犬を引き取れば子犬のように手が掛かることもありません。もちろん新しい環境に馴染むまでには大変な時期もありますが、その子のペースで暖かく見守りながら暮らしていけば、そのうちに必ず心を開いてくれる瞬間が訪れ、その時の感動はとても言葉には言い表せません。
動物愛護先進国ドイツでは、ティアハイムという保護施設から犬を迎えるという事は、その施設の厳しい審査を通った飼い主ということで、ステイタスになるそうです。日本も「犬を迎えるならまず保護犬」、そんなことが当たり前になる国になる事を願います。
(洲崎 ゆかり/ドッグトレーナー)
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