注目の高まる「働き方改革」 他国の働き方は参考になるか?
JIJICO / 2017年11月3日 7時30分
注目の高まる「働き方改革」 他国の働き方は参考になるか?
そもそも働き方改革とは?
最近注目されている「働き方改革」とは、働く人の視点に立って労働制度の抜本改革を行い、企業文化や風土も含めて変えようとするものです。
具体的には、日本経済再生に向けて、長時間労働や正規・非正規の格差の是正、多様な働き方の実現などを図ることで生産性を向上させ、その成果を働く人に分配することで更なる成長を図っていく「成長と分配の好循環」の構築を目指しています。
この働き方改革のキーワードとも言える「労働時間と生産性」において、日本より労働時間が短く、生産性が高い働き方を実現している国がドイツです。
ドイツの働き方の特徴とは?
ドイツの働き方の特徴として、まず「労働時間の短さ」があります。ドイツでは、1日10時間を超える労働が法律で禁止されており、役所による抜き打ち検査や、違反していた場合の罰金もあります。しかも、罰金の支払いを命じられた場合、企業は会社のお金ではなく、長時間労働をさせていた部署の管理職に自腹で罰金を払わせることもあり、管理職は必然的に、どんなに忙しい時期でも部下が10時間を超えて仕事をしないよう、細心の注意を払うことになります。
また、「休暇制度の充実」もドイツの働き方の特徴です。ドイツでは、法律によって最低24日間の有給休暇を与えることが企業に義務づけられていますが、大半の企業は法律よりも多い30日間の有給休暇を認めており、さらに、所定の労働時間を超えて勤務した残業時間を貯蓄しておき、有給休暇に振り替えられる企業も増えている様です。
他国の働き方は参考になるか?
こうしたドイツの働き方を日本も参考にすべきではないか、という声も出ています。
特に、ドイツの「労働時間は短いのに労働生産性は日本を大幅に上回っている」という点はとても魅力的です。また、ドイツの働き方を参考にすることは、長時間労働の是正にも繋がり、働く人の視点に立った企業文化や風土を変えるきっかけになるかもしれません。
一方で、労働生産性を高めることができないまま労働時間だけを短くすることは、単に成果を減らしてしまう可能性もある、という点は注意しておく必要があります。
ドイツに限らず、日本が他国の働き方を参考にしながら働き方改革を実現していくためには、「数値上で労働時間が短く生産性が高いから」というだけの理由ではなく、「なぜ労働時間が短いのに生産性が高いのか?」という労働時間と生産性の関連性や現在の働き方に至ったその国の背景、日本との文化の違いなど、もう一歩踏み込んだところまで検討した上で参考にしていく必要があるのではないでしょうか。
(岸本 貴史/人事労務コンサルタント、社会保険労務士)
この記事に関連するニュース
-
離れて暮らす母の「認知症」が進行し、迷子で「警察」に迎えに行くことも! 会社の有休も使い切り今は「欠勤扱い」だけど、どうすればいい? 3万円以上の減収で介護との両立が難しいです…
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月28日 4時40分
-
バクラク勤怠、“月額50円/ID~”の特別キャンペーンを実施。リモート・フレックス制度で働く企業をサポート
PR TIMES / 2024年12月25日 13時45分
-
ドイツでは「残業がほぼない」って本当ですか?「年間休日数」はどのくらいなのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月21日 5時30分
-
「日本人は疲れてから休み、世界の一流は疲れる前に休む」休むために働くという欧米パワーエリートたちの休日の過ごし方とは
集英社オンライン / 2024年12月14日 11時0分
-
働き方改革の成果は? 社労士が目撃した「日本の労務環境の変化」
PHPオンライン衆知 / 2024年12月10日 17時0分
ランキング
-
12025年の景気は「緩やかな回復が持続」…経済評論家・塚崎公義氏が予想
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月2日 9時15分
-
22025年 日銀「次の利上げ」はいつ? 「市場との対話」の改善は
日テレNEWS NNN / 2025年1月2日 15時0分
-
3ビットコインの命運握る「アメリカの戦略備蓄案」 1月20日のトランプ大統領就任で構想が動き出す?
東洋経済オンライン / 2025年1月3日 7時50分
-
4SKY-HIが「上司には無邪気さが必要」と語る真意 若手部下とのコミュニケーションの極意とは
東洋経済オンライン / 2025年1月2日 8時0分
-
5丸ノ内線の旧型車両が「ひっそりと完全引退」していた!? 実は“一時的に復活”も36年の活躍に幕
乗りものニュース / 2025年1月3日 7時42分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください