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いじめの原因は親や家庭環境?いじめをしてしまう本質を考える

JIJICO / 2017年11月12日 7時30分

いじめの原因は親や家庭環境?いじめをしてしまう本質を考える

いじめの原因は親や家庭環境?いじめをしてしまう本質を考える

「いじめ」が起こる原因は一つではない

あるテレビ番組内の司会者の発言「子どものいじめの原因は親が悪い」というコメントが話題になっているようようです。私の見解では、「誰が悪い」ということではなく、「やっている行為」と「人」とを切り離して考える必要があります。

「いじめ」が起こる原因は一つではありません。無意識の中でも「いじめ」をしなくてはいられない精神状態に追い込まれてしまうんだとも思います。皆さんの過去の経験を振り返ってみると、昔から「いじめ」とまでいかなくても、仲間はずれや心が傷つく言葉を投げられたことって、一度や二度は無かったでしょうか?現在はその「傷つける」質がひどくなり、死にまでも至ってしまう。その背景には、時代の流れの中でSNSを始め、残酷なゲームなどの影響も大きいのではないでしょうか。

確かに様々な原因が考えられる中で、「いじめ」をする側の家庭環境は大きく影響するかと思います。かなり昔になるかも知れませんが、「あの子は一人親だから…(荒れている)」「親が水商売だから…(荒れている)」そんな声を聴いた時代もありました。現在ではどうでしょう?それらのフレーズは、死語に近いかもしれません。メディアを騒がす事件などでは両親が揃い、地位や経済的にも恵まれている家庭内での事件もよく耳にします。

「なぜ『いじめ』をしないといられないのか」という本質を考える

学校で「いじめをなくそう!なくそう!」とスローガンのように掲げている学校もあります。しかし、一向に「いじめ」はなくなりません。なくなるわけがないのです。それは、本質の部分を見てないからです。なぜいじめをするのか?言い換えるなら(乱暴な言い方ですが)、「なぜ『いじめ』をしないといられないのか」ということを考えるべきではないでしょうか。

人は大人も子どもも安全・安心を求めて生きています。いじめる側の子どもたちは、見方を変えると「いじめ」をすることで自分の安全・安心の場を確保しているのだと思いますもちろん「いじめ」をしている行為そのものは許されることではありません。

先程の家庭環境に話を戻して、イメージしてみて下さい。仮に、両親が揃っていて、経済的にも恵まれ誰からも羨ましがられる家庭に育った子供がいるとします。両親は子どもたちに親が思う「いい教育」を与えようと、物心ついた頃から子供とのコミュニケーションの内容は教育のことばかり。両親の一方的な考えや価値観だけで、子ども本人の存在を無視されていたらどうでしょうか。子どもの心はどうなってるでしょうか。

成長過程で親が思っているように成績が伸びなくなったり、下に兄弟が生まれたり、上の兄弟や親戚の子供と比較されたり、「個としての自分自身という存在」を見てもらえないとしたらどうでしょう。

そのような親からの愛情に対して、成績を上げたり親の期待に沿っているときは良いでしょう。でも、それがなくなった時、自分に親からの目を向けたい、愛して欲しいという気持ちは、ときとしてそれがたとえいけない事をしてでも自分を見て欲しいという思いに至ってしまうでしょう。先生から親が呼びだされる、怒られる、そんな構図がわかっていてもその時間は親と自分とだけの時間だと感じ、無意識の中でも親とのつながりを求めて行う行為だとも私は考えます。

親は本気で子どもと向き合い「個」を大事にすることが重要

「褒め方、叱り方がわからない」という親がとても多いです。そんなときは、その話をしている親自身が、自分がどのように親から育てられていたかというところまで掘り下げるケースも多いです。

私が重要だと考えるところは、「親がいかに本気で子どもと関わっているか」ということです。個を大事にしているかです。日々相談を受けている中で、自分と子どもを切り離して個として見ていない親が非常に多いです。自分と子どもとを同一化してしまい、「うちの子は○○だから」「きっとこうだから」と決めつけてしまいます。物を与えているからいいのではなく、与える前にその必要性、そして与えられない家庭でも、その理由と向き合う親子との時間が大切なのです。

最近の親は、忙しく自分自身にも余裕が無く子どもと向き合っていないように感じられます。「話しています、うちは会話している方です」という方もいますが、それは実は親が話をしたい時で、子どもが話をしたい時なのではないでしょうか。ベクトルが子供でなく親自身に向いている、そんな親子関係が増えてきているように見受けられます。

「いじめ」を減らす方法としては、対症療法的でなく根幹の問題を見ていく必要があると私は考えています。原因は一つではないのです。

(大崎 清美/心理カウンセラー)

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