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補聴器がウェアラブル端末として進化していく可能性

JIJICO / 2017年11月18日 11時30分

補聴器がウェアラブル端末として進化していく可能性

補聴器がウェアラブル端末として進化していく可能性

補聴器の現状

補聴器に関してどの様なイメージをお持ちですか。一般的なイメージとして高齢や老いを想像してしまう為、装用することはなるべく避けたいのではないのでしょうか。

昔から補聴器をすることはネガティブなことと捉えられてきました。その状況も補聴器の小型化や現代的なデザイン、音質の向上によって少しずつ変化していると感じます。高級ヘッドフォンやイヤホンは音楽を聴くツールとしてだけでは無く、ファッションアイテムとしても浸透しています。これから耳に端末に着けることが普通になる未来が来るのかもしれません。

平均寿命が延びる事によってご高齢の方でも仕事を継続し、ボランティア活動を積極的に行う活動的な方も増えていくでしょう。コミュニケーション手段として会話する事は欠かせない為、聞き間違いの防止やスムーズな意思疎通を行う為に、軽度難聴の方でも補聴器を装用する方も増えていくと思われます。使用する方が増えることによって、眼鏡のように市民権を得られて、恥ずかしいと思う人も少なくなるのではないのでしょうか。

ヘルスケアとコミュニケーションツールとしての補聴器の進化

実は、補聴器にはスマートフォンの技術が数多く応用されています。

たとえば補聴器に搭載されているチップのほとんどがスマートフォンのチップの応用です。音声の検出機能も進化して、スマートフォンで聞き取った音声を文字化するアプリケーションも実用化されています。同時通訳の技術も進歩して、海外旅行やビジネスでの活用も実現しています。

これからの補聴器の進化を想像すると、スマートフォンや時計型端末(Apple Watch®)、眼鏡型端末との連携や融合が考えられます。iphone®との直接の連携はMade for iphone®として一部機種で実現していますが、メールの着信音や通話音声を直接補聴器に届けることが可能です。音楽などのコンテンツ聞いたり、大まかな音量や音質の調整、プログラム切替などをiphone®で行う事が可能です。

時計型端末では、歩数や移動距離、消費カロリーなどの運動量を計測できます。補聴器では使用する音の環境や使用時間などを計測することが可能です。これらのデータを分析する事で生活習慣の改善や健康管理に役立てる事が出来るでしょう。

眼鏡型端末と連携する事でメガネのスクリーン上に通話相手の顔を映したり、同時に話している言葉を文字化して表示する事で、コミュニケーションの補助が可能になるでしょう。

将来、血圧や体温、脈拍などのバイタルサインをリアルタイムでモニタリングする事により、離れて暮らしている高齢者の健康状態や安否確認が可能になり、GPS機能により所在地の確認を行ない、通話機能によって補聴器のみでも通話が可能になるかもしれません。

IoTと補聴器の活用について

これから本格的に展開していく技術にIoTがあります。インターネットと補聴器が直接繋がることにより、エアコンの操作、テレビの音量やチャンネル切替などを音声で操作でき、インターフォンが押された時や、自宅のセキュリティシステムが作動した時には補聴器に音声で知らせることなどができます。

あらかじめアプリで登録しておくことにより、朝、補聴器の電源を入れる事で室内の照明を自動的に点灯させ、コーヒーメーカーやトースターなどを自動的に作動させることなども可能です。

薬を常時服用しなければならない人に対しては、インターネットに接続された専用の薬箱と連携し、薬の種類や服用時間のお知らせをする事によって、服薬管理に役立てることができるかもしれません。

これまで補聴器は難聴の方の聞こえをサポートする機器でしたが、これからは補聴器本来の聞こえの質の向上と共に、生活をより豊かに便利にするコミュニケーションツールとしても進化していくことでしょう。

(古川 実成/補聴器専門店主)

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