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そろそろ年賀状の準備 喪中の場合はいつまでに送ればいいのか?

JIJICO / 2017年11月24日 11時50分

そろそろ年賀状の準備 喪中の場合はいつまでに送ればいいのか?

そろそろ年賀状の準備 喪中の場合はいつまでに送ればいいのか?

正しい知識と自分なりの考えを持つことが大切

現在の日本では年間に約100万人の子どもが生まれ、約130万人が亡くなっています。「少子多死社会」を迎えているわけで、身近で葬儀を経験する機会も増えてきました。

しかし、古くからある慣習やマナーは、学校で学習しないまま社会人になるので解らないことが多く、意味を理解せずに形だけを見様・見真似することになりがちです。

さらに自信がなければ人のことも気になります。正しい知識を身に付けるとともに、自分なりの考えを持つことが大切だと考えます。

非常にあいまいになっている「忌中」と「喪中」の捉え方

昔は死者が持っている穢れは、亡くなってからしばらくの間は、その身内や周囲の人に移ると考えられていたので、一定期間遺族は他の人との交際を断つ必要がありました。平安時代に編纂された律令によると、その期間は49日と定められています。これがいわゆる「忌中」です。

これに対して、死後49日を過ぎると「喪中」になり、「故人をしのぶために”主体的に”行動を慎む」ようになります。喪に服さないからと言って人から後ろ指をさされることもないでしょう。

このように、忌中は数字で示されますが、喪中は特に不明確です。死者との縁故関係にもより、どれくらいの期間喪に服するのか、どのようなことに制限を与えるのかについても決まりはありません。宗派、地方の習慣、故人の生前の付き合いの幅にも左右されます。

お祝いごとを慎む期間として、大まかな目安は、死後49日を経過しているかどうか?がポイントになります。つまり身内の死後49日以内であれば結婚祝い等も控えますが、49日を過ぎれば結婚祝い等はするということです。ただし地域の風習や個人の捉え方もあるので臨機応変にしてください。

喪中葉書の知識と捉え方

毎年この時期になると頂いても喜べない通知が来ます。「喪中葉書」です。

喪中葉書は毎年予告なしで突然送られてくるもので、「年賀欠礼の挨拶状」の意味が濃厚です。「欠礼」とは礼を欠くことで、「しなければいけない挨拶をしないこと」です。つまり「身内に不幸があり只今喪中なので、新年の挨拶を欠く」ことを知らせる旨の挨拶状です。

さらに付け加えると、毎年年賀状で新年の挨拶を取り交わしている人に、今年は身内に不幸があったことを伝え、「今年はお祝いごとができないため年賀状は出しませんが、決してあなたに出すことを忘れてはいませんよ!」と事前に通知するための葉書のことです。

今では一般的になっていますが、恐らく郵便制度が発達した明治以降に、一般庶民とは縁のないごく限られた階級の人たちで行われていた習慣ではないでしょうか。

喪中葉書を出す、出さないは人それぞれ

マナーは法律ではないので、「このようにしなければいけません」というような、ルールとしての明確な正解はありません。まして「喪中葉書」の捉え方は個人の宗教観や考え方によりそれぞれでしょう。加えて喪中葉書を作成するにあたり、自分とどのような関係に当たる人が亡くなったら喪中にするのか?期間はいつまでか?どんな制限を与えるかはいろいろな面で異なります。

年賀状は夫婦の連名で出すが喪中葉書はどうするのか?あるいは親族や友人や取引先まで出すのか?非常にややこしい問題が浮上します。マナー教本にもいろいろ掲載されていますが、なるほどという内容は少ないように感じます。

明治初期、当時の「太政官布告」により、故人との続き柄により、喪中期間が決められていたようですが、はるか遠い昔の話です。

大切なことは、喪に服し、自主的に自粛するという気持ちで、社会が決めることではなく、自分の考えで行動することではないでしょうか。

喪中葉書を出すときの注意

前述のとおり、喪中葉書を出す・出さないは自由で、絶対的なものではありません。また年賀状のようにマナーの根拠も明確ではありません。

しかし、世間の多くの人が「喪中は年賀状を出さない」と捉えているのであれば、それに従うのもありだと思います。現にほとんどのマナーの書物を見ても喪中に年賀状を出さないのは常識となっているようです。いずれにせよ、忌中と喪中の関係を正しく理解したうえで、故人との関係、亡くなられての期間などを考慮して自分なりに判断してください。

では、出すとしたらいつ出せばよいのか?

これは、相手の準備状況を考えなければなりません。一概には言えませんが、相手が準備する年賀状の枚数にも影響がありますから、概ね11月中旬から遅くとも12月の初めには出しましょう。

文面は、時候の挨拶、喪中のために年賀状は失礼すること、来年もよろしくお願いしますという内容がお勧めです。くれぐれも故人との続き柄をお忘れなく。

また上記のタイミングを逃してしまった場合は、「松の内」開けの1月8日から立春の間に「寒中見舞い」として出す手もあります。

日頃から宗教に関心を持っことも大切

もともと喪中葉書は、宗教の考え方が根底にあった上での慣習です。

日本では神道や仏教人口が多いにも関わらず、キリストの誕生日のイベントは盛大に催し、お釈迦様の誕生日は知られてもいなかったり、盆や正月よりもハロウィーンのほうに関心が集まっているなど、宗教的に見れば自己矛盾が多いという実情があります。それでいて「喪中葉書」だけはきちんとする、というのもおかしな話だと思います。

日頃から自国の文化や作法の意味や背景に対する関心を持ち、死に対してもいろいろな意味できちんと向かいあいたいものです。

またマナーは相手に不快感を与えないで、好感を及ぼすために存在します。年末近くに喪中葉書で人の死を知らされれば、役に立つ場合もありますが、その人が自分とは直接関係なくとも、暗い気持ちになります。むやみやたらに出せばいいものではないと考えます。

(平松 幹夫/マナー講師)

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