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「文化財防火デー」に考える、災害から文化財を守る取り組みとは

JIJICO / 2018年1月26日 7時30分

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「文化財防火デー」に考える、災害から文化財を守る取り組みとは

法隆寺の金堂壁画の焼損が由来の「文化財防火デー」

「文化財防火デー」をご存じですか?昭和24年1月26日、法隆寺の金堂壁画が焼損しました。法隆寺と言えば、現存する世界最古の木造建築物です。この火災は、国内外に大きな衝撃を与えました。この事件を機に、昭和30年、文化庁と消防庁の共唱により、1月26日を「文化財防火デー」と定めました。現在では、文化財を火災、震災その他の災害から守るため、文化財防火運動が全国的に展開されています。

所有者、管理者、地域住民それぞれの立場で取り組むことがある

文化財は全国各地に数多く存在し、文化財保護法により国から指定を受けている重要文化財だけでも、13,110件(国宝1,101件含む)も存在します(平成29年1月1日現在)。
これらの文化財は、国民共有の貴重な財産であることは言うまでもありません。当然、管理するのも大変です。特に我が国の文化財は木造の建造物が多いこともあり、通常の防火対策だけでは十分な対応とは言えません。行政の取り組みは言うまでもありませんが、私たち一人ひとりがそれぞれの立場で、文化財を災害から守る必要があるのです。それでは、具体的に取り組むべきことがらを以下に挙げてみます。

文化財所有者、管理者の方は、地域との協力関係を強化する必要があります。そのためには、地域行事の開催や文化財の公開等を行い、文化財を身近な存在として地域の方々に感じてもらう必要があるでしょう。例えば、建造物の倒壊防止のために構造補強を行ったり、美術工芸品が損傷しないよう転倒・転落防止設備を設けたりすることも重要です。
また、初期消火が可能なように各種消火設備、延焼防止のための延焼防止設備の整備は欠かせません。

そして、地域住民においても、災害時には文化財を含めて地域を守るよう行動する必要があるでしょう。例えば、搬出した文化財については、盗難を防止し、安全に保全できる場所を予め確保しておきましょう。また、文化財である寺や神社等では観光客等が多く訪れるため、地域住民に加えて観光客等を考慮した避難経路、避難場所を確保することも忘れてはいけません。その際には、外国人観光客も想定し、多言語対応のメガホンの活用も一考に価するでしょう。

日頃から万が一の場合を想定して防災訓練を行おう

これらの対策ができていても、万全とは言えません。日頃から万が一の場合を想定して、消火活動・文化遺産の搬出・保全を目的とした訓練、観光客等の避難・誘導等を迅速・的確に行うための訓練を行いましょう。これらの活動に関するマニュアルをそれぞれ整備し、災害時に文化遺産の所有者・管理者、地域住民、行政がそれぞれ迅速・的確に行動できることが喫緊の課題となります。

文化財は、そこに住む人々の精神の拠りどころです。災害から守り、後世にその精神を伝えていきましょう。

(仙波 誉子/防災士)

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