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男性のセクハラ被害・被害者がとりうる措置や会社が取り組むべき防止策は?

JIJICO / 2018年2月4日 7時30分

男性のセクハラ被害・被害者がとりうる措置や会社が取り組むべき防止策は?

男性のセクハラ被害・被害者がとりうる措置や会社が取り組むべき防止策は?

男性に対するセクハラも問題となってきている

「ハラスメント」とは英語で「苦しめること」、「悩ませること」、「迷惑」といった意味を持つ言葉ですが、最近は色々なところで見かけるようになりました。職場におけるものとしては、「セクハラ」(セクシャルハラスメント、以下「セクハラ」といいます。)が代表的ですが、最近ではパワハラ(パワーハラスメント)やマタハラ(マタニティーハラスメント)も問題として取り上げられるようになってきました。

このうちセクハラについては、もともとは男性から女性への性的な嫌がらせを指すことが多かったと思いますが、男性から男性、女性から男性へのセクハラについてもしばしば話題になります。

このタイプのセクハラについては、これまで問題視されてきた女性に対するセクハラに比べると、問題点への理解や対応策の議論があまり進んでいないように思われます。

先日、インターネットで男性の新人社員が上司から性的な嫌がらせを受けたという被害を話す記事が取り上げられていました。今回はこういった職場における男性から男性、あるいは女性から男性に対するセクハラ被害について、その問題点と対応策をみていきたいと思います。

どういった場合が男性に対するセクハラにあたるでしょうか?

セクハラは法律上は男性が被害者になる場合も含まれる

セクハラに関する定めをしている、男女雇用機会均等法(以下、「均等法」といいます。)
では、女性だけではなく、男性が被害者になる場合も含まれるとしています。ですから、上記のような男性が男性・あるいは女性から被害を受ける場合についても均等法ではセクハラにあたると定められているのです。

セクハラには、職場で行われた従業員の意に反する性的な言動に対して従業員が示す対応によって、解雇や降格など労働条件に不利益を与える場合と職場でのセクハラ放置により職場環境が不快なものになり職務を行うのに重大な悪影響が生じるという場合があります。

セクハラにあたる可能性があるのは性的な事実関係の確認や冗談、からかいなど

どういった場合が性的な言動にあたるかについては、性的な事実関係を尋ねたり、性的な内容の情報を流す、性的な冗談、からかいなども含むとされています。具体的には、通常それを見聞きしたり体験することで不快に感じる性的な言動かどうかを検討していくことになりますが、その言動をした相手の地位や受け止める被害者側の事情などをケースバイケースで判断していくことになります。

先のインターネット記事でも世代間での捉え方の違いからくるギャップもまた被害を訴えた方に辛い気持ちを与えたといった話が出ていましたが、こういった世代間での価値観の違い、個人差がある事柄ですので、なかなか一概に判断できないところがあります。

ただ、相手の言動が問題になりうるか判断するにあたっては、やはりそれを受け止める方がどういうふうに捉えているか・主観を重視すべきであると思われます。

ですから、たとえば上司が部下の希望していない風俗サービスの利用を強要し、それを部下が嫌がっていた場合には、セクハラにあたりうるといえるでしょう。

実際にこういった被害を受けた場合に被害者がとりうる措置は?

均等法では、こういったセクハラによる被害を防ぐために、会社に対して必要な措置を取るように義務付けています。今では、セクハラ防止規定が整備されたり、相談できる窓口が設けられていることが多いと思います。

ただ、実際には窓口があっても相談にくるのが女性であることを前提にしているということもありえます。そうなると、男性にとっては被害を受けていると自分では思っていても、相談しづらいこともあると思います。そういった場合には、労働局の雇用均等室というところや、会社の労働組合に相談するという方法も考えられます。

また、被害があまりにもひどく、たとえば精神的な病気にかかったりして仕事をすることができなくなったといった場合には、労災保険の利用が考えられます。

さらに会社をやめざるを得なくなったといった場合には、さらにセクハラを行った相手や会社に対して慰謝料や働けなくなったことによる損害、あるいは会社がきちんとセクハラに対する予防や迅速な対応などをしなかったことへの賠償請求を求めるということができるケースもあると思います。

ただ、セクハラ行為は、直接誰か別の従業員が目撃するか体験するかしないと被害があったことを示す証拠は通常存在しません。性的発言であれば録音もありえますが、急なことだと録音自体、なかなか難しいこともあります。

被害を受けた人が自分で相手の言動を記録(メール等の記載や第三者に話した内容やその際の様子等)しておいたり、性的言動を見聞きした方の証言などが証拠として考えられるところです。

セクハラを行ったとされる相手や会社がそういった性的言動の存在を争う場合には、こういった証拠の存在が重要になってきます。

逆にこのような被害を防ぐにあたって会社がすべき対策とは?

男性から女性に対するセクハラの場合も同様ですが、セクハラとされる言動をしている人の意識が低いというのが残念ながら現状というところもあります。

ですから、会社としては従業員に対して、どういった言動がセクハラにあたりうるかについて、具体的な事例も交えた継続的な研修を行ったり、従業員に対してアンケートを実施するなりして、周知させる取り組みが必要になってきます。

被害にあっている人はそう感じながらも、周りの人間関係に影響を与えたり、あるいは被害として取り上げてもらえないのではと思って、拒否もできず相談もできないということが割とあるのではないかと思います。

会社としては、被害にあったと考える人が相談できる環境づくりをするとともに、そういった被害が生じない取り組みをすることの両方が重要ではないかと考えます。

(片島 由賀/弁護士)

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