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元号変更や消費税アップでシステム改修の現場は悲鳴?実態は

JIJICO / 2018年7月27日 7時30分

元号変更や消費税アップでシステム改修の現場は悲鳴?実態は

元号変更や消費税アップでシステム改修の現場は悲鳴?実態は

平成31年の5月から新元号が使用される

ITが生活に欠かせない時代となり、私たちの身の回りの情報は個人情報や預金情報を含め、ほとんどがシステムによって管理、運用されています。周知の通り、来年平成31年5月1日より新天皇即位に伴い新元号が使用されることになりますが、その公表時期が1か月前になるとの発表がありました。元号が変わるとまた元年からスタートする和暦は日本の伝統としては身近なものですが、システムで扱うのは少し大変です。

ITシステムの日付、世界のスタンダードは西暦だが日本は元号もあり独特

あらゆるシステムにおいて、日付の計算はとても重要です。現在世界中のほとんどのシステムは西暦をベースにその日付を定義、計算していますが、日本国内においては官公庁や金融機関など、伝統的に和暦を使用しているところもあります。役所や銀行などで書類を書く際に西暦で記載する場合と和暦で記載する場合があるのはそのためです。

前回の改元である昭和から平成への変更の際もそれなりに困難がたくさんあったことと思いますが、ITという言葉もインターネットもまだなかった30年前に比べて、コンピュータに頼る業務が格段と増えている今日、その対応の難易度は非常に高いものと想像されます。

システムトラブルなどが起きれば巨額の損失が出る可能性もある

特に改元における修正が必要なシステムはほとんどが業務システムと呼ばれるもので、まさにさまざまな業務に使われるものです。業務用であるということは顧客や利用者があり、業務時間中は連続して運用されるものなので、不具合やシステムトラブルによる休止などが発生すれば、多くの人の業務や予定が止まってしまうばかりか、それだけで数億円規模の損失が生じる場合もあります。

新元号の発表から施行まで1ヶ月しかないのでシステム改修の時間がタイト

システム改修の際にはまずテスト環境で新元号を使用してもトラブルがないかどうかの試験を繰り返したあとに本番環境に切り替えて運用します。このような時はトラブルが生じないように相当な期間と人員をかけてテストを行うのが普通であり、今回のような元号の変更など大がかりな改修の場合は実際の修正作業よりもテスト期間の方が長いぐらいです。

さまざまな状況下でテストを行ってから通常の環境に移設するので、想定通りに完了した場合は利用者も快適に利用できるのですが、今回は新元号が発表されてから実際に施行されるまでの猶予が1か月しかないので、現場からは悲鳴と心配の声が上がっているのです。

もちろん、今からでも架空の元号を用いてテストをすることは可能ですから、対応が必要なシステムに関しては既に準備を進めていることでしょう。ですが、同年の10月には消費税率が10%に引き上げられることも予定されています。金額の処理も伴う業務システムにおいては日付の扱いとともにお金の計算もとても大事なことですから、こちらへの対応も同時期に行う必要があります。

東京オリンピックイヤー2020年の祝日移動もシステム改修が必要な見込み

これだけ多忙なシステム改修に追い打ちをかけると言われているのが、さらに翌年2020年に開催される東京オリンピックです。それに伴って祝日が移動することになっており、システムによってはイレギュラーな対応に伴う改修や変更も必要になるでしょう。これから約2年にわたり、このような日付や金額の変更を伴うイベントが目白押しです。

この先2年間の業務システム管理者・設計者は大変になりそう

元号変更や祝日移動に関する業務システム改修の難易度はシステムの種類や役割によって変わってきますが、改修後も止まらずに通常業務が遂行できることが何より大事です。

事前の周到な準備やシミュレーション、万一不具合が生じた際に改修前のシステムに戻すなどのあらゆる事態を想定したマニュアルや体制が絶対必要となります。今後約2年にわたり、このような重責を背負うことになる業務システムの管理者や設計者は気が抜けない日々が続きそうです。

(目代 純平/ITコンサルティング、ITコンシェルジュ)

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