日本の新卒・就活ルールが変わる・なくなる?学生・企業ともに時代に即した行動が求められる
JIJICO / 2018年9月18日 7時30分
日本の新卒・就活ルールが変わる・なくなる?学生・企業ともに時代に即した行動が求められる
2021年春の新卒学生から就活ルールが廃止されるかもしれない
就活ルールが変われば就職活動が変わる――また多くの学生が大きな影響を受けることになるかもしれない、そんな動きがあります。
就職活動に関する会社説明会や面接の解禁日などを定める、いわゆる「就活ルール」について、2021年春の新卒学生から廃止すべきとの考えを、9月3日、経団連トップの中西宏明会長が表明しました。
もし本当に就活ルールが廃止されれば、現在の大学2年生から就職活動が大きく変わることになります。
現在の「就活ルール」とは?変遷をあらためて確認
それでは、まず就活ルールとは何でしょうか。経団連が企業の採用活動について定めているルールのことです。これは、企業が自主的に守ることになっているため、仮に守らなかったとしても罰則はありません。毎年、企業説明会などの解禁日が話題になるのも、この就活ルールがあるからです。現在は、会社説明会などの広報活動の解禁日を3月1日、面接などの採用選考の解禁日を6月1日としています。しかし、ここ数年の就活ルールの変更には、目まぐるしいものがあります。
2015年春新卒 : 会社説明会12月・採用面接4月 解禁
2016年春新卒 : 会社説明会3月・採用面接8月 解禁
2017年春新卒 : 会社説明会3月・採用選考6月 解禁(現在)
2021年春新卒 : (就活ルールの廃止?)
学生にとって就職活動は卒業後の進路を決める大きな出来事です。就活ルールが変わるたびに学生は戸惑いながらも就職活動に取り組んできました。それでは、就職活動をするにあたり、なぜ就活ルールが存在するのでしょうか。
新卒一括採用を前提とした就活ルールが時代に合わなくなってきた
そもそも、なぜ就活ルールがあるかというと、日本の企業や組織では新卒一括採用が一般的になっているからです。就活ルールは、新卒一括採用を前提に、学生が学業など本来の学生生活ですべきことに専念できる配慮であり、いわば企業側の紳士協定といえます。
ただ、転職も一般的になり、働き方改革により働き方の多様化が進んでいる近年、一律の採用の仕組みは時代にそぐわないともいわれるようになりました。
それでも企業が新卒一括採用を続けているのは、企業側にしてみると優秀な学生を囲い込むことができるという大きなメリットがあるからです。また、通年にわたり採用活動をすることに比べて、採用活動の時期が決まっている方が効率的ということもあります。
こうした新卒一括採用が日本の企業や組織の根底にあることが、欧米に比べて日本では転職市場が活性化しない理由の一つです。
学生にしてもると、新卒一括採用により、実務能力ではなく将来のポテンシャルを期待されて採用になるため、現在の実務能力やスキルを問われないことはメリットといえます。ただ、短期間に将来を左右する就職先を決めなければならないため、大きなプレッシャーを抱えながら就職活動をすることもまた事実です。
日本的な雇用制度の在り方そのものを考え直す必要がある
就活ルールの廃止が検討されている背景には、人手不足が深刻になり、企業による学生の獲得競争が激化していることがあげられます。また、外資系の企業を含む経団連に非加盟の企業による、いわゆる「青田買い」の問題もあります。経団連に加盟していても就活ルールを守らない企業もあるため、就活ルールの形骸化も指摘されていました。
ただ、企業にとっても、学生にとっても、採用活動や就職活動に取り組むための目安となっていることも事実です。
就活ルールは新卒一括採用とセットになっているため、就活ルールの廃止だけではなく、新卒一括採用という日本的な雇用制度のあり方そのものを考えていく必要があります。就活ルールがなければ、優秀な学生をもっと早くに獲得して囲い込みたいと思う企業が出てくることは必然の流れです。そうなれば、学生にしてみると少なくとも現時点では卒業後にじっくり就職活動ができる就職環境ではないため、就職活動そのものが前倒しされ、長期化していくことが考えられます。
学生はルール変更に一喜一憂せずキャリアを考えることが大切
企業や組織にしてみても早く内定を出せば安泰ということではなく、就職活動そのものが長期化すれば、後から選考を行った企業に行きたい学生からの内定辞退というリスクも考えられます。
学生にしてみると、卒業時に進路を決めなくてはならない現在の状況では、必要以上に就職活動の時期を長引かせず、学業に専念できる環境を確保するために、スケジュール感をもって就職活動するには、やはり一定のルールがあった方が就職活動に取り組みやすい側面があります。このため、大学側にはルールは維持すべきだとの考えも根強く、経団連側と大学側との調整は難航する可能性があり、十分な議論が必要です。
企業や組織にとっては、働き方改革の進展や働き方の多様化に合わせて採用活動のあり方を見直し、時代に合った変化が求められる時期が来ているのかもせれません。学生にとっては、就活ルールの変更に一喜一憂することなく、学業はもちろん学生生活全般から多くのことを経験して自己理解を深め、将来のキャリアを考えられることが大切です。
(折山 旭/ライフキャリアカウンセラー)
この記事に関連するニュース
-
25卒学生に「内定を承諾した決め手」を調査 1位「社風がいいと感じた、社員の雰囲気がいい」(71.8%)
PR TIMES / 2024年11月19日 12時45分
-
崩れ始める、新卒一括採用 なぜ綻びが生じているのか?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月16日 9時0分
-
本選考までに働く目的を探しアピールしよう 就活生は採用面接で話せるよう今から対策を プロが指南 就活の極意
産経ニュース / 2024年11月14日 14時0分
-
星野リゾート、総スカン「大学1年でも内定」の意義 学生や採用担当者には不評だが隠された意図がある?
東洋経済オンライン / 2024年11月14日 9時20分
-
「配属ガチャ」に対応!新卒採用はここまで来た Z世代に多いタイプは「やりたいこと至上主義」
東洋経済オンライン / 2024年10月26日 8時0分
ランキング
-
1昨年上回る規模の経済対策、石破色は一体どこに?【播摩卓士の経済コラム】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月23日 14時0分
-
2農協へコネ入社の元プー太郎が高知山奥「道の駅」で年商5億…地元へのふるさと納税額を600万→8億にできた訳
プレジデントオンライン / 2024年11月23日 10時15分
-
3スシロー「パペットスンスン」コラボに言及「追加販売を検討」 発売当日に一部完売したグッズも
ORICON NEWS / 2024年11月22日 17時45分
-
4《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン / 2024年11月23日 16時15分
-
5ドーミーイン系4つ星ホテル「3300円朝食」に驚愕 コスパ最高、味も絶品!極上のモーニングがここに
東洋経済オンライン / 2024年11月23日 8時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください