「別れさせ屋」に適法判決 工作を頼む前に考えておくべきこと
JIJICO / 2018年9月26日 7時30分
「別れさせ屋」に適法判決 工作を頼む前に考えておくべきこと
想う相手を振り向かせるためにはどこまでやってもよいのか?
世の中には「別れさせ屋」という仕事(と呼んでいいのかは非常に微妙ですが、その役務に対して報酬を請求しています)があります。
想う相手が誰かに奪われた場合、あなたはどうしますか?自分に振り向いてくれない相手に対して、あなたはどうしますか?「鳴くまで待とうホトトギス」なのか、諦めるのか?
なかには無理クリ「鳴かせてみようホトトギス」のタイプもいらっしゃると思います。そういう人の依頼を受けて協力してくれるのが、この別れさせ屋です。「想う相手があなたの事を好きになってくれる」こんなキャッチコピーが本当なら、世の中相思相愛だらけになるかもしれません。
「別れさせ屋」裁判で別れさせ行為は違法ではないという判決を考える
最近、ある裁判で、別れさせ屋に依頼したA男さんが、未払い部分の料金を払わず、別れさせ屋から訴えられ、敗訴しました。普通は高額な料金を払ったにも関わらず、成功しなかったが、こういう所に依頼した事が恥ずかしくって、クレームどころか泣き寝入りというケースがほとんどです。
先の訴えの内容はA男さんは別れたB子さんと寄りを戻したくて、今付き合っているいるB子さんの交際相手を別れさせてほしいという依頼を受けた別れさせ屋が、仕事を滞りなく行ったにも関わらず、残った成功報酬をA男さんは支払わなかったので未払い料金A男さんは支払えという判決でした。
これは珍しいケースです。普通は別れさせ屋に依頼して、期待するほどの結果が出なかったから、返金して欲しいという訴えはよく聞きますが、今回の裁判は、探偵側からの未払い請求ですから、異例です。普通は高額な料金を払ったにも関わらず、成功しなかったが、こういう所に依頼した事が恥ずかしくって、クレームどころか泣き寝入りというケースが殆どで依頼者側の資質を問われたレアな判決だと思います。
解り易く言えば、別れさせ屋は仕事をしたのに、依頼者から踏み倒されたが、じゃ何故踏み倒したか?という事です。
このA男さんとB子さんは夫婦ではなく、交際相手でしたが、C男さんと別れさせたにも関わらず、A男さんの元にB子さんは戻ってこなかったのでしょう。つまり、依頼した代金も支払わないA男さんですから、B子さんが離れて行ったのは新たな彼氏の出現とは関係が無かったと言えます。それを八つ当たり的に別れさせ屋に料金を踏み倒そうとしたというズルイ話です。
別れさせても相手が自分を選んでくれるとは限らない
いくらお金を払っても、すべての人の気持ちが動かせるものではありません。今回の判決は別れさせ屋を是か非かという話ではなく、どうなるか解らない事に人を使って、そこに賭けたという事ですから、ギャンブルです。
そもそも別れさせ屋の仕事とは、交際中の人達を引き離すという作業ですから色んな工作や、ハニートラップを仕掛けて、恋人やパートナーを奪還することを目標としますが、そもそもがさまざまな技法も含めて「嘘」を手法としている探偵が、一縷の望みですがる依頼者に誠実に応えてくれると考えるのもいかがなものかとも思います。
別れさせ屋という仕事は、探偵業だけでは足りず、お客様単価を上げるための仕事と言っても過言ではありません。
別れさせ工作はトラブルの危険もあり日本調査業協会も根絶を打ち出している
実は、別れさせ工作は、昔から色々形を変えてはあった仕事なのです。以前は、「復縁屋」とか「工作屋」と呼び、これも壊れた夫婦やカップルに、パートナーの気持ちを取り戻すという作業をしてくれる仕事でした。
今は「接触屋」なるものがあり、夫の浮気相手に近づいて、浮気相手の情報を掴み、掴んだところでフェイドアウトするのですが、探偵の尾行とは違い、本当に友達になってしまうのです。これはちょっと変形ですが、これも別れさせ屋と根っこは同じです。
何年か前に、仕掛けた側の別れさせ屋の探偵が、対象を好きになってしまい、トラブルになり殺人事件にまでなった事件がありました。別れさせ屋という仕事自体、決して褒められた仕事ではありませんし、人間のする事ですから、不確実な泥くさいものです。そこに依頼をするという事は共犯だというぐらいに考えるべきです。実際、一般社団法人の日本調査業協会も、別れさせ屋等の根絶を方針として打ち出しておりこういった依頼はしないよう呼びかけているくらいです。
別れさせるという行為にはその卑怯さにうしろめたさが付きまとう
人が人を好きになると言う事は、色々な縁に感じ恋になります。縁をえにしと読みたいくらい偶然性なども、良い風に勘違いをします。片思いも切ないもので、無力に打ちひしがれます。
恋も失恋も、自然の摂理ですから、何か人工的な手段を講じたところで、本物ではないことには違いないし、その後ろめたさは、自分自身をいじめることになりませんか。時には、アクションが必要ではありますが、卑怯なことはいけないと思います。
(村越 真里子/夫婦問題カウンセラー)
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