志村けんの訃報に愛煙家もショック。「改正健康増進法」の全面施行開始で、日本の受動喫煙防止対策は世界レベルに近づくか
JIJICO / 2020年4月13日 9時30分
志村けんの訃報に愛煙家もショック。「改正健康増進法」の全面施行開始で、日本の受動喫煙防止対策は世界レベルに近づくか
新型コロナウイルス感染症の感染者が、国内外で増え続けているなか、タレントの志村けんさんの訃報に、日本中がショックを受けました。所属事務所によると、志村さんは持病や基礎疾患はなく、数年前から禁煙していたと言いますが、もともと日常的に1日3箱ほども喫煙する愛煙家だったとのこと。長期に渡る喫煙が呼吸器疾患に少なからず影響を与えた可能性は否定できないようです。
折しも、4月1日から「改正健康増進法」が施行されたばかり。たばこの煙は本人だけでなく、その煙を吸い込んだ人の健康を害する危険性があることは、これまでも言われていましたが、受動喫煙の被害から人々を守るための対策が、さらに厳しいものになったようです。
延期が決まった東京オリンピック・パラリンピックが開催できれば、新型コロナウイルス禍を乗り越えた象徴として、日本は世界から注目されるはず。これまで以上に公衆衛生に敏感になりつつある社会で、今回の改正法を機に、日本の対策は世界レベルに近づくのでしょうか。臭気判定士の村井敏夫さんに聞きました。
WHOとIOCの求める「例外なき禁煙」には未だ届かず。「マナーではなくルール」と謳うなら、例外だらけではない対策を徹底すべき
Q:これまでの受動喫煙に対する取り組みは、どのようなものですか? -------- 喫煙による健康影響を防ぐための日本の受動喫煙防止対策は、2002年の「健康増進法」から始まっています。つまり、公共交通機関やオフィスなど様々な場所で受動喫煙対策が〝努力義務〟として盛り込まれ、原則屋外禁煙の条例が各地で始まりました。 店舗や施設では、それぞれ禁煙や分煙の取り組みがされましたが、対策はまちまちで、受動喫煙にさらされる機会が依然としてある状況が続いていました。
2016 年厚生労働省が出した「受動喫煙防止対策の強化について」によると、原則建物内禁煙(喫煙室設置可)としましたが、小規模のバー、スナック等は、喫煙禁止場所としないうえ、旅館・ホテルの客室、老人福祉施設の個室については制度の対象外としました。
他国では、屋内の喫煙についてはそれぞれ規制があるものの、屋外は基本的に喫煙可能です。 日本は、当初、屋外禁煙にしたために、屋内の喫煙については、なかなか全面禁煙に踏み切れなかったことは否めません。
Q:受動喫煙を防止する対策が、マナーからルールになると謳っています。「改正健康増進法」で、何が変わるのですか? -------- 「改正健康増進法」の大きな目的が受動喫煙の防止で、これまでより厳格なルールとなります。
多数の利用者がいる施設や旅客運送事業、船舶・鉄道、飲食店などの施設が屋内で原則禁煙になります。 学校・病院・児童福祉施設・行政機関などは、屋外を含めた施設全体が禁煙に。 また、屋内での喫煙には、喫煙室の設置と、標識掲示が必要になります。 20歳未満なら、来店客だけでなく従業員も、喫煙エリアへの立ち入りが全面禁止に。
ただ、「改正健康増進法」で例外とされる小規模飲食店の基準を、国は、「客席面積100平方メートル以下の店」としていて、東京都は、「従業員のいない個人経営の店」となっています。
Q:喫煙者や禁煙の規制対象の店舗などが、この法令に違反すると、どのような罰則がありますか? -------- 禁煙エリアに灰皿などを設置した施設管理者に50万円以下、禁煙エリアで喫煙した人に30万円以下の罰則もあり、都道府県知事らの指導や勧告、命令に従わない場合に適用されます。また、店頭の見えやすい場所に標識を掲示しなかったり、紛らわしい標識の掲示、汚損などは指導の後にすぐ罰則の適用となることもあります。
Q:これまで分煙などの対策を講じてきた飲食店などに、どのような影響がありますか? -------- 小規模店舗などは、喫煙ルームを設置するスペースや経済的な余裕もないため、結果的に全面禁煙となります。またその場合の届け出などの必要はありません。 その点、規模の大きな、例えば全国チェーンのカフェや飲食店なら、喫煙ルームを設置することも可能で、喫煙者は当然そうした店舗に流れてしまうでしょう。 既に小規模店舗の来客数に影響が見られていましたが、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下にある現時点では、それどころではないかもしれません。
今般の営業自粛要請でもそうですが、こうした取り決めの際に、どこまでが対象になり、例外はどこまでなのかがわかりにくく、その結果どうしても小規模店舗にしわ寄せがくるということが、何より問題ではないでしょうか。
Q:東京オリンピック・パラリンピックが予定通り来年開催できれば、コロナ後の世界平和の象徴として、全世界から注目されることになります。今回の改正で日本の受動喫煙防止対策は世界の基準に近づくのでしょうか? -------- 世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)は、オリンピック憲章で「たばこのないオリンピック」を共同で推進することを掲げています。 しかもIOCが求めているのは、オリンピックを契機に、開催期間中だけではなく、それ以降の社会基盤として残すことです。
日本を除く近年の競技大会開催地及び開催予定地は、公共の施設や職場について、罰則を伴う受動喫煙防止対策を行っています。過去開催都市のロンドン、リオデジャネイロにおいては、会場のみならず、関係施設・ホテル宿泊施設等については建物内全館禁煙としてきました。喫煙大国の中国でさえ、北京オリンピックの際には、大規模な啓発活動と法規制を行いました。
WHOとIOCが日本に要望する「例外なき禁煙」からは、今回の改正をもってしても、ほど遠いと言えるでしょう。 今回の改正で、国が「マナーではなくルールに」と言うなら、例外だらけではない有効な受動喫煙防止対策を徹底すべきだと思います。
(村井 敏夫/臭気判定士)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
自転車“ながらスマホ”で懲役刑 「酒気帯び運転」、提供者も罰則対象に 弁護士が教える道交法“改正”のポイント
オトナンサー / 2024年11月10日 7時10分
-
【阪神】秋季キャンプ全面禁煙へ 球界の愛煙家はどうするのか
東スポWEB / 2024年11月5日 15時4分
-
【会社公式飲み会での望まない受動喫煙】非喫煙者の従業員52.4%が、「喫煙可のお店での飲み会」を「不快」と回答!「我慢して参加する」非喫煙者が65.3%の実態
PR TIMES / 2024年11月5日 13時45分
-
藤川阪神「禁煙ルール導入」の波紋…自身は禁煙成功も、岡田前監督“タバコミュニケーション”とは真逆
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月31日 11時32分
-
【ホテル清掃での望まない受動喫煙とは】非喫煙者清掃員の70.7%が、「喫煙ルーム清掃」の担当経験あり 受動喫煙での体調不良、「咳が生じた」「頭痛」などの影響あり
PR TIMES / 2024年10月29日 11時0分
ランキング
-
1「70万円あまりを11月4日に支払った」 斎藤兵庫県知事代理人が内訳も明かす 知事選の選挙活動めぐり公選法違反の可能性との指摘を受け対応 近く「請求書を公開する」とも
ABCニュース / 2024年11月25日 14時43分
-
2和歌山知事が国民民主党を批判 年収の壁巡り「無責任」
共同通信 / 2024年11月25日 16時28分
-
3大阪メトロの座席で尻にやけど…原因は「アルカリ性洗浄剤」 警察は液体が座席に付着した経緯を捜査
MBSニュース / 2024年11月25日 18時0分
-
4兵庫・斎藤知事、違法性改めて否定 PR会社へ金銭支払い
日テレNEWS NNN / 2024年11月25日 16時13分
-
5池袋暴走事故の飯塚幸三受刑者(93)が死亡 松永拓也さん「後悔や経験の言葉を託された。死を無駄にしたくない」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月25日 11時38分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください