外出自粛による休業要請や休校で広がる「#コロナ疲れ」 ストレスから心を守る方法は
JIJICO / 2020年4月15日 9時0分
![外出自粛による休業要請や休校で広がる「#コロナ疲れ」 ストレスから心を守る方法は](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/jijico/jijico_32106_0-small.png)
外出自粛による休業要請や休校で広がる「#コロナ疲れ」 ストレスから心を守る方法は
新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、緊急事態宣言が出された地域を中心に、さらなる外出の自粛や、在宅勤務、休校などが続いています。生活が大きく変わり先行きが見えない中、ツイッターで「#コロナ疲れ」のハッシュタグでの発信が多くみられるなど、心の不調を感じる人が増えています。
感染症への心配だけでなく、経済的な不安から気分が落ち込んだり、友だちや家族と会えないことで孤独を感じたり、多くの人がさまざまなストレスを抱え、「眠れなくなった」という声も。WHO(世界保健機構)では「不安をあおる報道を見たり聞いたりする時間を減らす」などのストレス対処法を発表。厚生労働省も「新型コロナウイルス感染症関連 SNS心の相談」を開設するなど、対策が進められています。心の健康を守るために、今できることは。心理カウンセラーの宮本章太郎さんに聞きました。
まずは「普段とは違う」ことを受け止めること。心が疲れているときは「情報と離れる時間」を作り、気持ちを共有することが大切。
Q:「コロナ疲れ」を招いている正体は何ですか? -------- 人間の心理として、先行きが見えず「これからどうなるかわからない」状態に、大きな不安やストレスを感じます。
今の時点で、新型コロナウイルスは未知のウイルスです。どんなウイルスなのか、感染を防ぐ方法があるのか、政府や自治体などが対処法を公表しているものの、「正解」は世界中の誰にもわかりません。
また、外出自粛により行動が制限され、自由がきかない生活を強いられています。さらに、休業や解雇による失業など、自分の生活基盤自体が揺らいでいる人も多く、大きな不安につながります。
Q:コロナ疲れをそのままにしていると、心や体にどのような症状が出てきますか? -------- 新型コロナウイルスに限らず、メンタルにストレスを感じていると身体にも不調が現れます。具体的には「食欲がなくなる」「寝付けなくなる」などの症状です。また、普段は気にならないような、ほかの人のささいな行動が気になり、イライラして攻撃的になったり、逆にやる気が出ず、いつも気分が落ち込むような、うつ状態に陥ったりする場合もあります。
Q:先行きが見通せない中、今の状況を肯定的にとらえるのは難しいようにも思えます。「心の持ちよう」を変えるために、意識できることはありますか? ------- まずは、今の状況が「普段とは違う」と受け止め、自覚することが大切です。「早く元通りになってほしい」と願うのは当然のことですが、収束したときに、これまでとまったく同じ生活が戻ってくるとは限りません。例えば、大災害後の復興でも、街がすっかり元通りになるわけではありません。今回を社会が変わるタイミングととらえ、ここから未来が進んでいくと考えましょう。
また、インターネットやテレビなどで情報があふれており、避けようとしてもネガティブな情報に触れてしまいます。起きている間は、つい新型コロナウイルス関連の情報ばかり調べてしまうという人もいるかもしれません。心が疲れているときには、自分から意識して「情報と離れる時間」を作りましょう。
自分一人で不安を抱えていると、どんどん不安が増長されます。「自分は疲れている」と気付いたときには、気持ちを吐き出すことが大切です。友人とチャットしたり、専門家に相談したり、誰かと気持ちを共有してください。
Q:臨時休校が延長されるなど、子どもの心を心配する声も聞かれます。親は子どもとどのように向き合えばいいのでしょうか? -------- 子どもにとって、親は、最も身近で頼れる存在です。子どもなりに不安や心配を抱えていても、親が普段どおりで平然としていれば安心できます。親の立場では、子どもの前で必要以上に不安がることなく、いつもどおりにしていましょう。
子どもが「不安から寝付けない」「これまでと比べてイライラするようになった」など心配な様子があるときに、親ができることは、話を聞き、子どもの気持ちを受け止めることです。
どのような場面であれ、子育てで大切なことは、親があれこれ手を尽くすことではありません。子どもは親に話すことで気持ちを整理し、自分で考えることができます。自分で心のコントロールをし、乗り越えていく力をつける学びの機会ととらえましょう。
Q:外出自粛などでストレス解消法が見つけにくい中、少しでも気持ちを明るくする方法は? ------- 一般的に、体を動かすことはうつ状態の改善に効果的です。ストレッチなど家でも気軽にできる運動のほか、掃除などの家事もいいですね。じっと横になっていると、気持ちも沈みがちですが、体を動かすと、理屈ではなく気持ちが前向きになります。
まとまった時間があるこの機会に、これまでしようと思っていたことにチャレンジするのもおすすめです。不要なものの処分や身の回りの整理、保険など契約関連の見直しなど、普段は忙しくて手をつけていないことが何かあるはずです。
今の期間をじっと耐えて過ごすよりも、この期間を「有意義に過ごせた」「やっておけた」と実感することができると、収束してからもスッキリした状態で次に進んでいくことができます。
また、いわゆる「三密(密閉・密集・密接)」や「正しい手洗い」など、新型コロナウイルスの感染対策についても、知っておくことはもちろん大切ですが、「〇〇しなければならない」ととらわれすぎて疲れない程度に実践しましょう。
社会全体が目に見えない脅威にさらされる中、新型コロナウイルスに便乗した悪質商法や詐欺なども横行しています。普段なら冷静に判断できることも、このような状況では不安をあおられトラブルにまきこまれてしまう可能性もあります。誰もが不安を感じていますので、焦らず、悲観せず、まずは「しんどい」「疲れた」と思っている自分の気持ちにきちんと向き合い心の状態を確認しましょう。
(宮本 章太郎/心理カウンセラー)
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