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脱臼した時に関節を自分で戻すのは危険 もし骨折を伴っていたらどうなる?

JIJICO / 2020年12月18日 12時30分

脱臼した時に関節を自分で戻すのは危険 もし骨折を伴っていたらどうなる?

脱臼した時に関節を自分で戻すのは危険 もし骨折を伴っていたらどうなる?

筋力の低下は脱臼を招きやすい 睡眠不足による集中力低下は要注意

関節を構成する骨が関節包から飛び出ることを脱臼と言います。関節包とは関節を包み込む包装紙の様なもので、弾力性に富み、通常の力では突き破ることが出来ません。関節は多彩な動きをしますが、この関節包と周囲を取り囲む靭帯によって滅多なことでは関節の位置は変わらないように出来ています。しかし、直接関節に強い力が加わって関節包が破れ、靭帯が切れると骨が飛び出てしまいます。これを脱臼と言います。関節包内に留まっているものを捻挫と言います。解りやすく言うと、大きくずれると脱臼で、軽くずれたものが捻挫です。ヒトの骨は約200個余りあり、関節は260個を少し上回ります。骨の数により関節の数は異なりますが、全ての関節が脱臼するわけではありません。脱臼を生じやすい代表的な関節は肩関節です。可動域が広いため外力を受けやすいことが要因です。他には肘・膝・手首・足首など、四肢の関節全てで発生しやすい関節と言えます。特に、手や足の指は、脱臼が頻発する関節です。不用意に指を引っ掛け脱臼すること例が数多くあります。日常何気ない動作をしているにもかかわらず、手を何かにぶつける、足を敷居に引っ掛け転んでしまう等の行為は、集中力が低下している証拠です。過剰労働や寝不足が、背景にあると思われます。また、運動不足による筋力低下は、関節可動域の限界点を超えた際、元の位置に戻る力が低下しているため、関節内に外力が伝わりやすく、関節包や靭帯の損傷を引き起こすことが考えられます。回旋力や打撃が直接加わると、容易に脱臼する傾向にあります。最近は、自転車同士による衝突事故で脱臼する人が増えて来ました。自宅での勤務が増え、体力が低下している人は、脱臼を起こす確率が高くなっています。

脱臼をしたら最初にするべきことは関節の保護 不用意に引っ張ると二次的被害を招く

脱臼は、関節が大きく変形しますので、一目見れば自分で判断出来ます。脱臼した直後は、痛みが発生しません。本人は、変形した自分の関節を見て、ただただ驚くだけです。一瞬パニックに陥った後、変形した関節を何とかしようと思います。痛みは数分経過した後に出てきますので、自分で引っ張って元に戻そうという気持ちが働きます。この気持ちが要注意です。脱臼している時は、おおむね靭帯を損傷しています。骨を包んでいる関節包が破れ、骨折を併発している確率が低くはありません。引っ張る方向が分からないにも関わらず、むやみに関節を元に戻そうとする行為は、靭帯の損傷範囲や骨折している部位の離開を拡大する(折れた骨の本体と骨のかけらが更に離れる)ことが考えられます。最悪、神経を傷付け、麻痺を生じる場合があります。いわゆる二次被害です。手や足の指を脱臼した場合、簡単に直せると思い、自分で整復する人が数多くいます。痛みが止まらず来院した人の多くは、骨折や靭帯の断裂を伴っています。脱臼だと思ったら、ずれた関節が動かないように工夫をし、あまり痛みが強くならないうちに専門医の元へ行くことが肝要です。肩関節は習慣性脱臼を起こしやすい場所です。経験のある人は、自分で元に戻す人が多く見られます。元の位置に戻ったか、一度専門医に確認してもらった方が、後遺症の心配をせずに済みます。

脱臼した関節の冷やしすぎは厳禁 痛みが出ない程度の冷却に留めましょう

専門医の所へ行く間、緩やかに痛みが強くなるようなら、脱臼単独の状態と言えます。1時間位なら、冷やすことをせず、そのまま専門医の所へ行くことを勧めます。じっとしている時は左程痛みがなく、体を動かす度に強い痛みを感じるようなら、関節を支持する靭帯の断裂が考えられます。数分後には腫れて熱を伴い始めます。患部に触れることが嫌になりますので、バンダナのような物で関節をくるむように固定すると、一時的に痛みをしのげます。急激に痛みが強くなるようなら、骨折を伴っていることが考えられます。その時は、4℃程度の水をタオルに染み込ませて患部に当て、関節部が動かないように、何かで固定する処置が望ましいと思われます。脱臼に伴う骨折の場合、重傷例は稀ですが、交通事故や高い所からの落下等の場合、上腕骨が折れて肩関節が脱臼する状態になります。脱臼と骨折を伴うと、痛みが強く動けなくなることが多く見られますので、すぐ救急車を呼び病院へ行くことが得策です。

脱臼を確認したら6時間以内の徒手整復(非観血療法による外科手術)が理想的です

脱臼は、繊維性強直(せんいせいきょうちょく)(関節内の癒着)が起きていないうちに徒手整復術を行うと、容易に復元可能です。1時間以内であれば患者さんの苦痛は殆どなく元通りになります。6時間以内がすんなり良くなる目安と考えてください。それ以上の時間を経過すると、関節を取り巻く筋肉がどんどん硬くなり、整復する際に痛みを伴います。氷で冷やしすぎると、その状態を助長します。脱臼部位は、出来るだけ常温の状態を保ち、少なくとも24時間以内に整復することを勧めます。しかし、どうしても医療機関を受診することが出来ず、数日経過してしまうこともあると思います。その際、関節内の筋肉の硬直を生じ、徒手整復術(非観血療法)での治療は、困難となる場合があります。肘関節は特にその確率が高く、メス(観血療法による外科手術)を入れないと関節を元の位置に戻せなくなることが少なくありません。そのため、早い段階での治療が困難な時は、緊急的な処置として、危険性を伴わない範囲で、元の位置に近づけておくことは必要です。肘関節を自分で整復することは困難だと思いますが、肩関節は、骨折していないようなら、ある程度自分で元の状態に戻すことが功を奏する関節です。身動き取れない状態にあるときは、通話アプリ等を利用して、専門医に診察していただき、映像を見ていただきながら整復動作をすることも、選択肢として考えられます。緊急を要するときは、相談が可能な整形外科医や柔道整復師にご相談いただきたく思います。数日以上経過した脱臼に対し、鍼治療をして関節を支持する筋肉を緩めてから整復すると元に戻る確率は高くなりますが、経験上1週間を経過すると、どこの関節でも難しいと認識しています。徒手整復術(非観血療法)による治療が可能かは、お近くの整骨院・接骨院にいる柔道整復師にご相談ください。

(清野 充典/鍼灸師)

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