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精神疾患の患者が増加、カウンセリング費用は保険適用?医療費控除の対象になる?

JIJICO / 2020年12月22日 7時30分

精神疾患の患者が増加、カウンセリング費用は保険適用?医療費控除の対象になる?

精神疾患の患者が増加、カウンセリング費用は保険適用?医療費控除の対象になる?

厚生労働省によると、精神疾患で医療機関にかかっている患者数は、2017年に419万3000人と、年々増加しています。特に、うつ病などの「気分障害」の増加が顕著で、2014年の71万1000人から、2017年には127万6000人と、約1.8倍となっています。一般的に、精神疾患は短期間で完治するものではなく、時間をかけて治療に向き合うことが大切です。

治療法の一つにカウンセリングがありますが、治療期間に伴う金銭的な負担も、治療のハードルとなります。カウンセリングは一般的に保険適用外ですが、一部適用されるケースもあります。どのような場合なのでしょうか?また、医療費控除の対象になるのでしょうか?税理士の光廣昌史さんに聞きました。

医師による診断で、治療として認められたカウンセリングが保険適用となり、医療費控除の対象に。公認心理師単独でのカウンセリングは適用外

Q:一般的に、カウンセリングの費用が保険適用されないのは、なぜですか。 ------- カウンセリングの主な目的は、患者の心理的ストレスの軽減です。治療効果を測定することは難しく、診療報酬の基準をきちんと数値化しにくいと言えます。

精神疾患を扱う医療機関には、精神科や心療内科があり、医療費には健康保険が適用されます。ただ、診療内容にカウンセリングが含まれるケースは少ないようです。私設のカウンセリングルームなどでカウンセリングを受けても、保険適用はされません。

Q:保険適用となるカウンセリングとは、どのようなケースですか? -------- 厚生労働省によると、医療機関で病気と診断された上で、医師が治療に必要と認めた、次のようなカウンセリングが保険適用となります。

①気分障害、不安障害に対する認知行動療法・精神分析療法としてのカウンセリング うつ病などの「気分障害」、強迫性障害、社交不安障害、パニック障害または心的外傷後ストレス障害(PTSD)の「不安障害」に対する治療です。1回につき30分以上行うことが要件で、医師による場合だけでなく、医師と看護師が共同して行う場合も含まれます。

②特定の精神疾患に対する通院・在宅精神療法としてのカウンセリング 適用される精神疾患は、統合失調症、躁うつ病、神経症(不安障害)、中毒性精神障害(アルコール依存症など)、パーソナリティ障害などです。通院は、精神科の医師によるものが適用となり、心療内科では適用されません。

③標準型精神分析療法としてのカウンセリング 1回につき45分を越えた場合に適用されます。

④小児特定疾患に対するカウンセリング 2020年の改訂で、発達障害など児童思春期の精神疾患に対する、公認心理師によるカウンセリングが保険適用となりました。ただし、「初回のカウンセリングは医師」「医師の指示のもと20分以上」「3カ月に1回は医師が行う」と3つの要件に当てはまる場合のみです。

※参考資料:厚生労働省「保険診療の理解のために(医科)」(令和2年度)、同省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件(告示) 精神科専門療法」(令和2年厚生労働省告示第57号)、同省「令和2年度診療報酬改定の概要(精神医療)」(令和2年3月5日版)

Q:医師以外によるカウンセリングを保険適用で受けられるケースはありますか? -------- 前述④のように、精神科の医師と共同で公認心理師が精神療法を行う場合は、保険適用が受けられます。医療機関併設のカウンセリングルームであっても、公認心理師が単独で行うカウンセリングには保険は適用されません。

公認心理師は、2017年に制度がスタートした国家資格で、従来の「臨床心理技術者(臨床心理士)」から統一されましたが、2019年3月末まで保険医療機関で従事していた臨床心理技術者は、公認心理師とみなされるそうです。

Q:カウンセリングは医療費控除の対象となるのでしょうか? -------- 医療費控除の対象かどうかは、保険が適用されているかどうかが判断基準となります。つまり、前述したような、精神科の医師によるカウンセリングは、医療費控除の対象となります。一方、臨床心理士や、公認心理師単独でのカウンセリングは対象となりません。

一般的に、医療費控除の対象は、医師または歯科医師による診療または治療の費用、出産費用、医療器具・医薬品の購入費、通院のための交通費も含まれます。医薬品は、市販の風邪薬なども含まれます。

Q:医療費控除を受けるには、どのような手続きが必要ですか? -------- 1月1日から12月31日までの1年間で、本人または家族が支払った医療費の合計が10万円を超える場合は、医療費の控除が受けられ、税金の一部が戻ってきます。ただし、所得額が200万円未満の場合は、所得額の5%を超えると控除が受けられます。

控除額の計算式は下記です。 控除額=年間の医療費-保険金で補てんされた金額-10万円(または所得金額の5%のいずれか少ない方)

会社員の人も、自分で確定申告をする必要があります。確定申告書に、医療費控除の明細書および領収書を添付して提出します。通院交通費はメモで構いませんが、医薬品の購入などはすべて領収書が必要です。

2020年分の申告期限は、2021年3月15日までです。申告手続きは居住地の税務署でできますが、今回は、新型コロナ感染リスクを軽減するため、スマートフォンやインターネットからの手続きがおすすめです。

(光廣 昌史/税理士)

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