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終活―――生前整理をする時に気をつけるべきこと

JIJICO / 2021年8月5日 7時30分

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終活―――生前整理をする時に気をつけるべきこと

外出が躊躇われる状況になって以来、身の回りのモノの片付けに手をつける方が多くなっています。家に居る時間が増え、思いがけず溜まった服や趣味のコレクションなどに向き合うよい機会となったようです。身の回りの片付けは終活面でも重要視され、親を見送る世代の人たちが「終活でやっておいてほしいこと」の上位にランクされています。そこで、終活の一環として身の回りを整理する時の注意点を四つご紹介しますので、是非参考にしてください。

必ずしも断捨離でなくてもよい

断捨離、ミニマリストなどの言葉が流行した影響なのか、極限までモノを減らすことを良しとする方が少なくありません。断捨離とは、ひと言でいうならモノへの執着を無くすことを言い、ミニマリストとは、必要最小限のモノしか持たない人のことを言います。前に、「趣味のものは何歳くらいに捨てればよいか」と相談されたことがありました。「おいくつになっても、お好きなもの全てを捨てる必要はありません」とお答えしました。今のご自分の好きなモノ、楽しめるモノをすべて捨ててしまったら、明日からの楽しみが減ってしまうのではありませんか。終活をしたとて、明日からもまだまだ生きていくのです。たとえば、海外に行くたびにお皿を買ってきて、コレクションする人がいました。部屋の中でそれらがふと視界に入ると、異国の光景や風の匂いまで蘇って、懐かしむことができるのだそうです。そのようなコレクションを全て取り除いてしまったら、彩りのない、無機質な空間になりはしないでしょうか。何かの修行のように身の回りを無に近い状態にするのではなく、増え続けてしまい、生活導線の邪魔になりつまずいたり、モノが探せなくなったりしているストレスの元を取り除いてみましょう。そのためには、この機会に所有しているモノを全部出して、「棚卸し」をしましょう。趣味のコレクションにしても、好きなCDにしても、人の「好き」は生きていれば変化していきます。今のご自分が不要と思うモノは処分して、今の本当の「好き」だけをすぐに見つけやすい状態に整理しましょう。棚卸しは一箇所ずつじっくりやってください。あちらもこちらも同時に手を付けてしまうと収拾がつかなくなります。

物を減らすだけでは充分ではない

終活とは、死の準備をするだけではなく、明日からの人生をもっと充実させたり、実らせたりすることができる活動です。その観点からも、モノを減らしたら、暮らしがよりよくなるように収納をし直してみましょう。では、暮らしがよりよくなるような収納とは、一体どのような収納なのでしょうか。第一に、適材適所であることです。つまり、使いたいとき使う場所に、取り出しやすいようにしておくということ。飾り物であれば、飾るのにふさわしい場所ということでしょう。空いているからといって、使う場所から遠い収納場所へ収納してしまったら、片付けるのが面倒なってしまったり、また、使用場所と収納場所の関連性が無さすぎると、どこにしまったか忘れてしまうかもしれません。

第二に、グループごとに収納するということ。同じ種類のモノをグループにしたり、同じシーンで使うモノをグループにしたりすることで、モノが見つかりやすくなります。その上で収納場所が理にかなっていれば、片付け忘れて出しっぱなしということが少なくなります。

第三に、収納部分にせよ、部屋全体にせよ、ある程度の規則性と統一性を持たせること。特に見せる収納やコレクションのディスプレイなどは、見え方に気を配り、多すぎず少なすぎず、飾り方に統一感を持たせます。色などもベース、アクセント、差し色と三色くらいに絞ると美しく見えることてきめんです。筆者の場合は、リビングとキッチンの部屋全体でこれを重視しており、メインとして床と壁紙、主な家具を白に、アクセントとして壁の一面とカーテンを落ち着いたブルーに、差し色として部屋の巾木の色・ダークブラウンを一部の家具や衝立に使用しています。片付けを機にお部屋の見栄えを良くしておくことは、その状態を維持しようというモチベーションに繋がりますので、おのずとモノが増えにくくなり、リバウンド防止に繋がります。

安全な再収納を心がける

終活は若い方にも是非おススメしたいのですが、実際はシニア世代になってから行うことが多いようです。そこで、シニア世代に気をつけていただきたい再収納時における注意点を取り上げておきます。第一に、重い物を上部に収納しない。どの世代の方にも言えることですが、シニア世代には特に危険ですので、重い物はしゃがんで取り出すような下部の収納場所に収納してください。

第二に、ワレモノのディスプレイは非常時の避難通路から遠いところに飾るのが好ましい。先ほどの例、海外旅行の記念に買った各国のお皿のディスプレイなどは、部屋の奥などにある飾り棚などがよいでしょう。廊下に作りつけた飾り棚等にワレモノは向きません。日本は地震の多い国です。落ちて割れるものが通るところにあったら、大けがの元になります。洋室であれば、常にスリッパを履く習慣をつけることも重要ですが、揺れの影響で転ぶことも考えられますので、やはり避難通路からは離しておきたいところです。

終活視点での片付け

まず、自分が生きる上では、楽しむために必要であるけれども、家族にはどうも必要なさそうだという、たとえば趣味のコレクションなどについてです。遺族の立場に立って言うと、故人がとても楽しんでいたものは、なかなか処分しにくいものですが、例えばそれを収納しているところやエンディングノートなどに「この棚のものは遠慮なく処分してください」等書いてあったらどうでしょう。少し手を付けやすくなるのではないでしょうか。また逆に、値打ちのある着物や宝石、万年筆、ゴルフクラブ、バッグなど「誰某に譲りたい」という気持ちが定まっているのであれば、これを機にその物にカードを添えておいたり、エンディングノートに書いておいたりするとよいと思います。故人が生前しっかり終活をしていたことが分かると、遺族は驚くと同時に、感謝、感嘆、敬服…様々な念を抱きますが、それらはプラスの感情ばかりです。

以上の四点をぜひ心に留めていただき、明日からの生活がよりよく、より安心できるような生前整理をしてみてください。 

  整理収納アドバイザー1級・終活カウンセラー1級  薩野 京子

(薩野 京子/終活カウンセラー)

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