国税庁発表「民間給与実態統計調査」を見て感じた絶望感と起業の好機
JIJICO / 2021年10月19日 12時30分
国税庁発表「民間給与実態統計調査」を見て感じた絶望感と起業の好機
先日、国税庁から『民間給与実態統計調査』※というものが発表されました。その結果を見て感じたのは、このままでは明るい未来はないということ。では、満足できる生活のために、どのようにしていけばよいのでしょうか。
正社員でも安心できない給与の実態
『民間給与実態統計調査』が発表されたのは、2021年9月29日。その結果は切ないものでした。給与所得者の平均給与は433万円。平成最後の年に441万円だったものが、2年連続で下がっていました。令和3年も新型コロナに苦しめられたわけですから、3年連続になる可能性は大きいでしょう。平均賞与は65万円。リーマンショック以来の大幅減少となっていて、この衝撃は大きい。正規社員に関しては、基本給は横ばい、賞与は大幅減という散々な結果でした。無理によかった点を探すなら、正規と非正規の平均給与の差が縮まったことでしょう。しかし、非正規の平均給与が上がったから縮まったわけではなく、正規の給与が下がったから差が縮小したという悲しい結果です。
新型コロナの影響が和らいでも先行きも明るいとは言えない
さらに切ないのは、この状況が新型コロナの影響を受けたからと言うだけではない点。実は日本の給与は30年もの間ほとんど変わっておらず、世界から取り残されているのです。1990年の実質賃金を100として、2019年までにどれぐらい収入が増えたかを調べてみると、スウェーデンは161、イギリスは148、アメリカは142と、世界各国は軒並み増加しています。しかし、日本は106。新型コロナ前、インバウンドが「日本で買い物をすると安い」などと言っているニュースを見た方も多かったでしょう。その真意は、決して日本が安くなったわけではなく、世界の給与が上がっていたというわけです。悲しい現実です。気になるのは、これからの企業側の動き。世界と戦う企業は、存続をかけて何かの方策をたてようと必死です。その結果、人件費負担が大きいことに気づき、これを何とかしたいと考えるようになりました。日本の給与は上がっていませんが、それでも大きな負担になっているわけですね。そして具体的に行動をはじめたのが、副業を認めるということと、週休3日制を導入するという動き。今のところ、従業員自らが選択するとなっていますが、これからは正社員であっても不安定な働き方になることは間違いがなさそうです。
これから先、賢く生きるには自分で稼ぐ力がものを言う
この現状を嘆いていても、前には進めません。世界は目まぐるしく変わっていて、その流れに乗り遅れてしまった日本は、今しばらく苦戦が続きそうです。では、どうすればよいのか?これから先、賢く生きるには、自分で稼ぐ力が重要となります。社会全体で見れば給料が上がらなくても、自分の力で稼ぐとなれば話は別。どんなに不景気でも稼ぐ人はいるし、その多くは自分で稼ぎを生み出している人たちです。自分で稼ぐとは、つまり起業ということ。もちろん、いきなり起業するのは不安があるかもしれません。それなら、まずは副業でニーズを確かめ、準備万端となってから本格的にスタートすればよいでしょう。企業側が副業を認めているわけですから。今は起業の環境が整っています。このまま浮上しない日本と一緒に地味な人生を送るか、やりがいのある仕事と稼ぎを自分で作り出すか。それを決めるのは本人しだいです。
※『民間給与実態統計調査』 https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/001.pdf
(新井 一/起業コンサルタント)
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