住宅ローン選択のポイント!変動金利と固定金利どちらがおすすめ?
JIJICO / 2023年4月12日 7時30分
住宅ローン選択のポイント!変動金利と固定金利どちらがおすすめ?
マイホームの取得といえば、ご家庭の大きなイベント。一般的に、人生でこれほどの大きな買い物はないと言えるのがマイホームの取得です。簡単にキャッシュで支払うということはほぼ不可能ですし、ローンを組むとしても返済期間が長期であるがゆえ、入学・進学の教育資金確保や、リタイア時期に完済もしくは安心して返済ができる資金計画が必要です。
購入を検討する時は、頭金割合や借入総額、返済期間などに目がいってしまいがちですが、完済できてこそのマイホームとなります。一生に一度という例えがあるマイホームには、他の買い物とは準備金額の桁が違うことで、どうしても追加費用に関しても気が大きくなりがちです。「資金計画=完済計画」だということを肝に銘じて、今後のライフイベントにも対応できる、無理のない購入計画をしたいところです。いまの家計では貯蓄が存分にできても、お子さんの成長に合わせて10年後15年後の家計支出を視野に入れながら考えましょう。住宅ローンの種類や注意点をしっかり抑え、我が家にあうローン選択が理想です。
「固定金利と変動金利」金利種類の大きな違いもさることながら、ライフプランに合わせたローン選択と、注意したい細かいポイントについてもご説明します。固定金利か?変動金利か?いくら借りるか?返済期間は何年か?そういったお悩みがスッキリ解決できたらと思っています。
■「固定金利か、変動金利か?」そもそも違いは何?
住宅ローンを組む際、固定金利か、変動金利か?で迷ってしまうことも多いのではないでしょうか。
「変動金利の説明は聞いた」 「変動金利のチラシをもらった。」 「金利も低いので、変動金利にしようと思っている。」
そういった声をよく耳にします。 「固定金利と変動金利はどっちがいいでしょう?」というご相談は、必ずといってもよいくらいで、どう違うのか気になるところでしょう。少しでも損したくない、不利な内容を避けたいと考えるのは至極当然のことです。まずは、金利の違いをマスターし、完済まで安心できるローン選択をしたいものですね。
金利の種類は大きく3つあります。
① 【全期間固定金利型】 ・完済まで一定の利率のもの。(なかには、11年後に返済額が上がるステップ型の段階金利型もあります) ・返済一覧表は、残高がゼロになるまで明記されています。 ・返済額が固定になるため、返済計画が立てやすくなります。
<注意点・特徴> ・比較的に低金利時に、選択するとその利率が完済まで固定されます。 ・高金利時に、選択した場合は高い利率が完済まで固定されてしまいます。
② 【固定金利期間選択型】 ・「固定金利」という文言があるが、あくまで期間限定なのでいわゆる変動金利のグループ。 ・金利固定される期間「2年、3年、5年、10年・・・25年など」で商品によって様々。 ・期間終了後、その時点の金利であらためて、固定期間選択型や変動金利型を選択。
<注意点・特徴> ・契約当初において、再選択時に採用される「金利引き下げ優遇幅」の取り決めがあるが、 市場金利が高くなっていれば、実質の適用金利そのものが上がってしまうため今後の返済計画に不安を感じることもあります。 ・変動金利よりも期間固定タイプを希望とか、全期間固定に比べると金利がお安い。などの理由で選択される場面が多い。 ・10年間は支出がかさむが、その後は余裕があるという家庭が10年固定を選択する場合もあります。
③ 【変動金利】 ・半年ごとに利率更改 低い金利に魅力を感じて契約しても、その6か月間後には利率更改されます。 1991年(H3年)あたりには、変動金利が8.5%をマークしました。
・返済金額は、5年ルール 返済額はおおむね5年間一定で変わらない、となっているタイプが多いです。 5年間、毎月返済額は一定です。(例:毎月ローン10万 →返済額5年間一定)
・利率によって返済額の内訳「返済元本と支払利息」のシェアが変わります。 6か月間ごとの利率更改によって、 返済額(「返済元本+支払利息」)が変わります。 次回の利率が上昇した場合は、返済元本へ充当される額が少なくなります。 そして、支払利息への充当額のシェアが多くなり、その結果、元本が減らず、より多く利息返済へまわることになります。
・返済金額の変動幅は、1.25倍ルール 返済額は5年毎に見直し。従前の返済額の1.25倍までしか変動しません。 金利上昇していくと返済額見直しにより返済がアップしますが、1.25倍といった上限を設定しています。(上限がないローンもあります)
・返済しているつもりでも「未払利息」が発生する可能性も 金利上昇局面には、5年毎の毎月返済額が見直しされます。(例:従前 毎月返済10万→12.5万へ変更)
12.5万を返済しているつもりであっても、さらに金利上昇していった場合、利息割合が増え、元金返済が進まなくなり、12.5万の返済額内訳がすべて利息返済に充当されてしまい、未払利息の発生となることもあります。 未払利息は、各金融機関が取り決める方法で返済することになります。
<注意点・特徴> ・順調に返済できているかどうかは、6か月毎の金利次第。 ・長期ローンであっても、6か月後の利率には、確約がありません。 ・金利下降すると、元本返済に充当されるのが多くなりますが、金利上昇局面では利息返済に充当される額が多くなり、元本返済が思うように進まないことに。 ・返済額が仮に12.5万に見直しされた後(当初10万→見直し後12.5万)、さらに金利高騰した場合、未払利息発生の可能性もあります。 ・金利変動、返済額見直しに対する家計のゆとりが必要。 ・家計にゆとりがあれば、金利高騰時に預貯金で対応できます。(繰り上げ返済や完済) ・高金利時や金利下降局面であれば、メリットを享受しやすい。 ・半年ごとの利率更改時、金利下降局面であればいち早く適用されることになり利息支払の充当額軽減へ反映されます。 ・10年15年程度の短い期間や、少額借入であれば、対応しやすくなります。
もちろん、低金利が続き、当初の金利で返済が続くこともありますが、完済までは長い道のりです。
■「元金均等返済と元利均等返済」支払総額の比較と返済期間をどうするか?
① 【元金均等返済】 ・「毎月一定の元金+残元金に対する利息」を支払う方法。 ・当初は毎月の返済額が大きいが、返済が進むと「残元金に対する利息」額が少なくなるので返済金額が軽くなります。 ・当初から、元金支払いへ多く充当されるため、結果として元利合計支払額が少なくなります。
<注意点・特徴> ・当初の返済額が大きいため、返済できるゆとりが必要。 ・元利均等返済に比べて、借入可能額が小さくなります(返済のための余力を必要とするため)
②【元利均等返済】 ・「元金+利息」毎月一定を支払う方法。 ・当初は、利息返済へ多く充当されます。 ・一定額なので、毎月の返済計画が立てやすい。
<注意点・特徴> ・当初の返済額が抑えられます。 ・元金均等返済に比べて、借入可能額が多い。 ・元金均等返済に比べて、元利合計支払額(総額)が多くなります。
まとめてみると、 「元金均等返済」 当初の返済額大きく、その後下がっていき負担感が軽くなりました。 「元本均等返済」 一定返済なので、取り組みやすい・借入可能額高めでした。
➂【元金均等返済と元利均等返済の支払総額を比較】
トータルの支払総額を安くしたいのか? より多く借入できたほうがいいのか? 一定返済の方がいいのか?
そこで、妥協点を検証します。 同じ借入期間であれば支払総額は、元本均等返済 < 元利均等返済 です。 総額負担を重視したい方もあると思いますが、当初の返済額負担が大きいですね。
元利均等返済30年で計算すると、支払利息 約992万、支払総額 約3992万 毎月返済額 110,886円です。 したがって、元利均等返済30年にした方が、支払総額を抑えることができました。 元金均等返済よりも返済額が下がり、5年短く(30年)することができました。 元利均等返済30年 < 元金均等返済35年 < 元利均等返済35年
住宅取得の借入額は相対的に多額であることから、返済期間が長いか短いか? 支払総額への影響度がわかります。
■まとめ
固定金利か?変動金利か?金利種類によるメリット・デメリット。デメリットと捉えがちな点について、ある人にとっては最大のメリットともなります。元金均等返済や元利均等返済の比較。借入金額や返済期間の決定。返済期間が30年、35年であればあるほど、市場金利が低い時もあれば、急騰することがあるかもしれません。長い年月、ライフイベントとも重ね合わせた返済計画が求められます。
金利変動という外的要因だけでなく、ご家庭内でのライフプランの変化にも注目してください。もっと進学したい、留学したいなど、予定より長めに資金確保が必要かもしれません。住宅資金計画だけではなく、教育資金やリタイア後の生活資金についてもシュミレーションし、我が家にあうローンを選択することが大切です。
(枝川 陽子/ファイナンシャルプランナー)
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