寒いところにいると夜間尿が増える!? 2月に多い夜間頻尿の予防策はあるのか!
JIJICO / 2024年2月15日 7時30分
寒いところにいると夜間尿が増える!? 2月に多い夜間頻尿の予防策はあるのか!
■夜間尿とは?
夜、トイレに起きるようになるのは、何時頃からでしょうか。 50代後半から1回くらい起きるようになりますが、多くの人は、60歳代になってからのようです。年齢を重ねるごとに夜間尿は増える傾向にあります。敢えて数字にしてみると、
60歳代は1~2回 70歳代は2~3回 80歳代は3~4回 90歳代は4回以上
という感じでしょうか。 夜間時、排尿のために1回以上起きる症状を夜間頻尿といいます。夜間頻尿は、1)多尿・夜間多尿、2)膀胱容量の減少、3)睡眠障害に分類されます。 夜間頻尿の原因は様々言われていますが、はっきりわかっていません。寝る前に水を飲む、目が覚めるたびに水を飲む、ビールなどを飲み過ぎた等の時は、年齢に関係なく夜中に1~2回目覚めますので、1回夜間時排尿するために起きたくらいでは、夜間頻尿の認識を持たないと思います。3回くらい目が覚めると睡眠不足を感じると思いますが、それでも自分が病気だという感覚は持たないと思います。2週間以上毎日4~5回以上夜間尿がある人は、何か疾患が潜んでいるかもしれませんので、専門医を受診してみると良いのではないでしょうか。
■2月に夜間尿が多いのは日較差が原因? 日較差が10℃以上は要注意!
夜間頻尿は、年間を通じてある症状ですが、気温が低くなると回数が増える傾向にあります。立冬から立春までの冬期は気温が低いので、夜間尿は増加傾向にあります。2024年は2月4日に立春です。暦上の季節は春とはいうものの、まだまだ寒さを感じる時期ではありますが、その後徐々に最高気温は高くなっていきます。にもかかわらず、夜間尿は一番多い時期になっています。その原因ははっきりわかっていませんが、長年の臨床経験と東洋医学の視点で考えると、日較差(にちかくさ)が原因の一つではないかと考えます。 2月は最高気温が高くなるものの、最低気温はあまり高くなりません。そのため体温維持が困難になるとされる最高気温と最低気温の差が5℃を超える日が多くなります。10℃以上になると、服装だけでは賄えなくなるため、室温を高くすることや温かい物を食べる等の対策が必要になります。室温を18℃未満で生活している日本人は40%近くいます。寒い時期に冷たいビールや氷を入れた飲み物を飲み、暖かくなるような服装をしていないで生活していると、年齢に関係なく夜間尿は増加すると考えます。 日較差が5℃を超えたら、的確な対策が必要です。住環境や暖房器具の種類によって快適さに違いはありますが、冬に活動時19~21℃、食事時22~25℃、安静時26~28℃の室温で過ごす事が目安です。 詳しくは、JIJICO内にある下記コラムを参照戴きたく思います。
「18℃未満の室温で生活すると危険!?寒い部屋は死亡率が増加!!」
■寝室の温度が10℃以下だと夜間尿が増える? 寝室は18℃が理想的!?
寝室でお休みになる時は安静時になりますが、寝具をまとってお休みになる時26~28℃だと、暑すぎて寝苦しいと思います。外気温が氷点下になる寒冷地では家自体が冷やされますので、地域によっては高い温度設定が必要かもしれませんが、東京のように最低気温がマイナスになる冬日がほとんどない地域では、17℃から19℃程度が良いと考えます。住環境によりますので、温度設定を20℃以上にする必要性もあると思います。しかしながら、寝ている間に布団から抜け出ている、布団をはいでいるようだと、室温が高いと言えます。室温を見直すか、服装を考え直す必要があります。 WHOは、16℃未満の室温で生活すると呼吸器に影響が出ると言っています。健康な人は、就寝中の外気温や室温が何℃でも対応できると思いますが、40年に及ぶ臨床経験から考えると、体が弱っている人は、以下のように感じると考えます。
16℃~15℃ 呼吸が少し苦しい 14℃~13℃ 鼻から吸う空気を冷たく感じる 12℃~11℃ 鼻から吸う空気を痛く感じる 10℃~9℃ 鼻が詰まり始める 8℃~7℃ 鼻水が出始める 6℃~5℃ 呼吸がつらい 4℃以下 寒くて目が覚める
室温が低くなると何度も目が覚め、その度にトイレへ行く人は少なくないようです。特に室温が10℃以下になると、鼻が詰まり始めて呼吸が苦しくなるため、眼が覚め易くなります。午前3時から5時頃は、一番気温が低くなりますので、10℃以下の室温でお休みになっている人は、体温が低下しないように寝間着を多めにし、タイマーを利用して暖房器具を使用するなどの対策が必要です。エアコンだと空気が乾燥して喉が痛くなるという人は、オイルヒーターがお勧めです。また、部屋が乾燥している人には、スチーム型の加湿器が、室温と湿度維持に有効です。 寒い室温の寝室で何日も過ごしていると、寒さに対応していることにより体が疲労してきます。11月頃より寒くなりますので、3か月を超えた頃つまり2月頃より、首や背中が張る、腰を動かすと痛い・重だるさを感じる、頭痛がする、目が疲れやすい、食欲が少し落ちた、動かすと膝が痛い、集中力が落ちた、気力が少し落ちてきたなど、低体温症に似た症状が出てきます。 寝室の環境対策を知りたい人は、JIJICO内にある下記コラムを参照戴きたく思います。
「北向きの部屋にいると病気になりやすい?日当たりの確保が病気回復には大切!?」
■夜間尿の対策に「寝床内気候」は有効?最適な温度は33℃!
お布団に入っても、寝床が冷たいとなかなか眠れません。体熱がお布団に奪われると、その時点で尿意を催します。 一晩中目が覚めないで眠るためには、「寝床内気候(ねどこないきこう)」を整える必要があります。「寝床内気候」とは、布団の中の温度や湿度のことです。「寝床内気候」の最適値は、温度32~34℃、湿度50±10%と考えられています。33℃は、風呂上がりにかけると良いぬるま湯の温度でもあります。手にかけて、熱くもなく冷たくもない温度です。お布団の中も、33℃くらいが最適とされています。体温より少し低めなので、体から出る放射熱が布団に移り、眠りやすい状態になります。また、布団内の湿度は、50%前後が良いとされています。睡眠中は汗が出ます。布団内の湿気が多すぎると寝苦しくなりますので、汗をかいた状態や風呂上がり直後お布団に入ると、目が覚めやすくなります。 お布団は、定期的に日干しすることが理想的です。しかしながら、日照時間が短い冬の時期、雪の多い地域の人、布団を干すことが出来ない住環境の人は、布団乾燥機がお勧めです。また、湯たんぽを二つ用意して、寝る30分前にお布団の中の腰と足元に入れ、お休みになる時は腰の部分にある湯たんぽを足元に2つ50センチほど離しておくと、「寝床内気候」を整えることに役立ちます。 お子様の夜間尿にも有効な対策です。詳しく知りたい人は、JIJICO内にある下記コラムを参照戴きたく思います。
「日当たりの悪い寝室で寝ていると体調不良になる?理想的な寝室の環境とは!?」
■低体温になると夜間尿は増加する?
私は、内科疾患を伴っていると思われる人には、初診時に必ず一日にトイレへ行く回数を聞いています。長年の経験から、体温とトイレの回数は、関連性がある印象を持っています。敢えて数字にしてみると、以下のように考えます。
体温が36.6℃から37.0℃の人 日中5~6回/日 (3時間に1回程度が正常) 36.1℃から36.5℃の人 日中7~8回/日 35.6℃から36.0℃の人 日中9回以上/日 34.6℃から35.0℃の人 日中9回以上/日 + 夜間尿1~2回/日 34.1℃から34.5℃の人 日中9回以上/日 + 夜間尿3~4回/日 34.0℃以下の人 日中9回以上/日 + 夜間尿5回以上/日
上記のトイレへ行く回数は、あくまでも目安です。水分摂取をあまりしない人は、日中トイレへ行く回数が少なく、夜間だけ多いという人も見られます。日中の勤務地が、屋外か屋内かによっても異なります。冷蔵庫や冷凍庫で仕事をしている人や寒冷地で仕事をしている人も、また違った印象です。いずれにしても、体温が低い人は、何らかの不調を抱えていることが多いので、体温上昇に努める必要があります。 低体温症について詳しく知りたいという人は、JIJICO内にある下記コラムをご参照戴きたく思います。
「1月は低体温に注意!心筋梗塞を誘発する低体温症を防ぐにはどうしたら良いのか!?」
■夜間頻尿に鍼灸治療は有効な治療法です
夜間頻尿は睡眠の妨げになります。一晩に10回~15回という人も少なくありません。30分に1回というペースになりますので、まったく寝られないという日が続くのは深刻です。室温や「寝床内気候」の対策を講じ、服装に気を付け、薬物治療(内科治療)をしても症状が消失しない人は、お近くの鍼灸院または鍼灸師が勤務している医療機関にご相談ください。外科手術(外科治療)をして尿管に傷が付いて夜間頻尿になったという人にも有効です。10回以上の夜間頻尿が、鍼灸治療(内外科治療)をして2~3回程度に改善している症例は、数多くあります。体温が低い人には、特に灸治療が有効です。鍼灸治療は、身体の外側から内臓機能に働きかけることが可能な「内外科治療」です。 また、体温の維持・上昇に、ヨガ(YOGA)は最適です。運動法、呼吸法や瞑想法を学びたい人は、清野メディカルヨーガもしくはお近くのヨガ教室(YOGA School)にご相談戴きたく思います。
(清野 充典/鍼灸師)
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