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若年性認知症に備えて覚えておきたい社会保障制度

JIJICO / 2015年8月14日 16時0分

若年性認知症に備えて覚えておきたい社会保障制度

若年性認知症に備えて覚えておきたい社会保障制度

若年性認知症、働き盛りの現役世代に発症するケースが増加

朝日新聞の報道によれば、65歳未満で発症する若年性認知症の生活調査で、就労経験のある人の約8割が、自主退職や解雇で仕事を辞めていたことが分かりました。「若年性認知症」は男性の発症割合が高く、働き盛りの現役世代に発症するケースが増加しています。

そのため、休職や失業による収入減が生活に大きな不安を与え、介護する家族の負担も相当なものになります。国の社会保障制度やサービスの内容を知っていれば、そのような不安もなくなり、家族の負担も軽減されます。具体的には、次のような社会保障制度があります。

傷病手当金で、最長1年6ヶ月、休業前賃金の約3分の2を受給

病気などで長期間の休業を余儀なくされる場合、まずは在籍する会社に休職制度があるか確認しておくことが大切です。休職とは、会社を退職することなく一定期間の休暇を与え、その期間の労働義務を免除する社内制度のことを言います。

休職者が健康保険の被保険者である場合、「傷病手当金」という休業補償を受けられる可能性があります。「傷病手当金」は、病気休業中に被保険者と、その家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。医師により労務不能の診断を受ければ、最長で1年6ヶ月の期間、休業前賃金の約3分の2が受給できます。

退職となり仕事に就けない場合は「障害年金」の受給も

休職期間が満了しても、仕事に復帰することができずに退職となった場合、雇用保険の「失業給付金」が受けられる可能性がありますが、失業給付は、働く意思と能力があることが前提となりますので、病気等によりすぐに職業に就くことができない場合は、「失業給付金」を受けることができません。

一方、公的年金制度では、今までのように働けなかったり、日常生活に支障を来すような状況に陥った場合、次の要件を満たせば「障害年金」を受けることができます。

①国民年金や厚生年金等の公的年金制度に加入していること
②年金保険料を一定期間納付していること
③公的年金制度に加入していた期間中に、その障害の原因となった病気やケガの初診日があること

「障害年金」は、受け取れるのにもかかわらず、制度を知らなかったり、書類の煩雑さから途中であきらめてしまったりと申請をしていない人が多い公的年金制度です。冒頭の報道によれば、障害・老齢年金を受給している人は4割に届かず、経済的な困窮状態が明らかになっています。

例え世帯主が「若年性認知症」になっても、以上のような社会保障制度を理解し、上手に活用することが、家族の負担軽減につながり、安心して発症者を支えることができます。

(田中 靖浩/社会保険労務士)

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