会えない、出られない…コロナの生活の変化で「親が認知症に」

WEB女性自身 / 2020年9月3日 11時0分

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「静岡市内で父と暮らす80歳の母の様子が、突然おかしくなったのは、3月下旬ごろでした。小学校教師だった母は、自宅に近所の子どもたちを集めて、40年以上も個人塾を経営するなど、頭はしっかりしていたんですが……」

新型コロナウイルスが感染拡大するなか、元気だった母親が突然認知症になってしまったと語る50歳の女性。元気な母親に一体何が起きたのか。

「もともと母はリウマチの持病があり、コロナに感染すると重症化する恐れがあったため、3月中旬に個人塾を閉じました。私や姉の家族も実家を訪れることを控えるようになり、このころから人と会う機会が激減。電話で連絡を取ると、何度も同じ話を繰り返すことが増えました」

女性の父親によると、母親は日に日に物忘れがひどくなり、“昨日、Aさんが来たときに……”と、実際には訪れていない近所の友人の話をすることもあったという。

「6月中旬、母は散歩中に転倒し、救急車で病院に運ばれ入院しました。転倒は、高熱によってふらついたことが原因でした。ただ本人は自分に熱があることすら気づいていなかったようです。1週間入院し、退院後は自分で布団から起き上がることができず、自力でトイレにも行けないほど、急激に体力が衰えてしまい……。後日、病院でMRI検査をしたら脳の萎縮が認められ、母は認知症であると診断されました」

コロナ禍で認知症を発症する人もいれば、長期化する自粛生活で、認知症を悪化させるケースもある。東京の介護事務所で働くベテランのケアマネジャーはこう話す。

「週2回デイサービスに通っていた要介護1の83歳の男性が、新型コロナの感染拡大で、デイサービスの利用を中断しました。2カ月後にお会いしたら、驚くほど様子が変わっていて……」

ケアマネによると、その男性はもともと肺に疾患があったため、本人から“感染すると怖いので当分休む”と連絡があったそうだ。

「緊急事態宣言が解除された後、6月上旬に久しぶりにデイに来られたのですが、背中が前のめりに曲がった状態でよたよたと歩く姿を見てがくぜんとしました。2カ月前までは、背筋も伸びて、しっかりと自立歩行をしていたのに……。お声がけしても言葉にも覇気がなく、受け答えもはっきりしないようになってしまったんです」

コロナ禍での生活の変化で、認知症の人の約4割が何らかの悪影響を受けていることが、8月に発表された広島大学と日本老年医学会の調査で明らかになった。

調査は6〜7月にかけて、全国の介護施設や医療施設など945施設と、介護支援専門員(ケアマネジャー)751人を対象に、オンラインで実施された。その結果、医療・介護施設の38.5%、在宅で介護支援にあたるケアマネの38.1%が、新型コロナの感染拡大によって「認知症の状態に影響が生じた」と回答。在宅の軽度・中等度認知症者の2人に1人が「認知機能の低下」があったと答えている。

調査を行った老年医学・認知症の専門医である、広島大学大学院の石井伸弥特任教授(44)が語る。

「認知症の症状の悪化を防ぐために必要なことは、社会的な役割やつながりを持つこと。今回の新型コロナによって、感染予防のための外出自粛や、家族との面会制限などが行われ、認知症者たちの気持ちはどんどん弱り、不安が強くなって、症状が悪化してしまう大きな要因になっています」

「女性自身」2020年9月15日 掲載

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