南相馬の子供のため破産寸前の塾を経営する52歳女性

WEB女性自身 / 2013年12月29日 7時0分

福島県南相馬市の駅前通りに面したビルに、『番場ゼミナール』がある。番馬さち子さん(52)が主宰する学習塾だ。
 
幼稚園児から、小・中・高校生まで30人が、机に座ったり、座敷の長机で教科書を開く。壁際のパソコンに向かう子もいる。席は決まっていない。自由に選ぶ。
 
「好きな時間に来て、課題や宿題をやって、ここに好きなだけいていいんです。子供の居場所づくりができればと思っているんです」(番場さん・以下同)
 
番場先生の手作りの夕飯を一緒に食べ、お菓子を食べながら、年齢の違う子供たちがワイワイガヤガヤ勉強しながら過ごす。大きい子が小さい子の面倒をみて、小さい子は上下関係を学ぶ。
 
「うちは『人間形成塾』。鉛筆や箸の持ち方などのしつけから受験勉強まで教えます」
 
番場さんは生まれも育ちも南相馬市だ。離婚後、故郷に戻って、塾経営で子供2人を育てあげた。大手学習塾の傘下から独立し、人間形成塾の形にたどり着いたのは8年前。
 
「南相馬は共働きの夫婦が多く、子供にいろんな経験をさせる時間もゆとりもない。代わりに私が連れていってあげたい。私、おせっかいおばさんなんですよ」
 
午前中から塾を開け、子供だけでなく、子育てに悩むお母さんも相談に来る。まるで巨大な家庭の居間のような番場ゼミナールに生徒が100人集まるようになったころ、大震災に見舞われた。
 
4月に入っても、南相馬の学校は閉鎖したまま。番場さんは無料で教室を開放すると、屋内退避区域に指定されていた時期だったが、連日30人以上が通ってきた。
 
それでも子供たちは次々に南相馬を離れていき、経営的に続けることは困難だった。娘が住む東京への移住を考えたころ、仙台に避難していた当時高3だった上原孝太くんが、南相馬に帰ってきた。
 
「卒業まで、仲間と一緒に過ごしたいんだ。番場先生に大学にいれてもらいたいんだ」
 
5人の弁護士から自己破産を勧められていた番場さんは、「どうせなら貯金を使いきって」という思いで塾を再開。孝太くんを自宅に呼んで、センター試験対策を始め、見事合格させた。それがきっかけになった。
 
馬場さんは、昨年5月、新たに借りた現在の場所で塾を再開。彼女が目指す「子供の居場所」の必要性は、震災前よりずっと切実になっていた。

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