健康法、がんばり過ぎは逆効果?医師が語った「やらなくてもいいこと」 

女子SPA! / 2019年2月23日 8時45分

「健康志向反対です」。ページをめくると衝撃的なひとことが飛び出しました。

『健康マニア、何が楽しい:体にいいことばかりやってて疲れない?』の著者は、医学博士の新見正則氏。医者自ら健康法に疑問を? という私の動揺をかき消すように「だって、人間はどうせいつか死ぬんですよ?」と問いかけるではないですか。さらに「体に悪いことというのは大概、気持ちいいものです」と、悪に誘い込むようにたたみかける。かえって興味がわいてきませんか。

◆人間ドック、心配性な人は要注意?

 食品添加物を毛嫌いしてオーガニック食材しか食べられなくなった人、体重計の数字に一喜一憂する人。健康にとってもこだわるタイプの人は私の周囲にもいますが、こだわりすぎてしまうとストレスがたまり、本末転倒な気もしてしまいます。本書では「人生は楽しんだ人が勝者。長生きした人ではない」としたうえで、「体に悪いといわれているものだって、うまけりゃ食えばいい」と言います。確かに友人との楽しいランチや飲み会は、いくら食事制限中でもなくしたくありません。

 本書では「心配性な人は人間ドックを受けないほうがいい」とも。なぜなら「人間ドックの担当医は基本的に、ケチをつけるのが仕事」だからです。判定する基準がもともと辛(から)めに設定されているというのです。とはいえ、健康状態は気になる、という方は「正しく説明してくれる、フェアな主治医の先生を持つようにすればいい」そうです。

 人間ドックに意味がないというわけでは決してありません。ただ、やみくもに受けるだけ受けて一喜一憂というのはどうなの? 何のために受けるの? と立ち止まってみることも大切だということでしょう。

◆数字ばかり気にしすぎない方がいい

 超高齢化社会の日本、血圧やコレステロールを下げろというCMや特集番組をよく見かけますよね。ところが本書によると「血圧は正常値とされる基準がどんどん低くなっています」とのこと。

 血圧って、高いのは悪い、という漠然と思っていたのですがどうやらそうでもないようです。「年を取れば老化による動脈硬化などによって身体中の血管が硬く細くなる人が多く、血液を全身に行き届けるためには、どうしても血圧が上がる」と本書。そして「血管がボロになっていきている人の適正血圧のデータはまだない」のです。高血圧になるのは、あたりまえの老化現象なわけですね。極端に高すぎるのは問題ですが、微妙な数値で一喜一憂するものではないと。

 血圧同様「コレステロール値も少し高い方が元気」と言います。コレステロール値は無視していい、と前置きした後で本書は「LDL(悪玉コレステロール)がHDL(善玉コレステロール)の3倍まではオーケー」と説明。例えとして「LDL(悪玉コレステロール)はゴミでHDL(善玉コレステロール)は掃除機。性能のいい掃除機だから、自分の3倍までのゴミは難なく吸収できる」とのこと。悪玉、と聞いただけで、減らさなきゃダメ、と私は躍起(やっき)になっていましたが、体の中に掃除機が備わっていると思えば、気分も楽になります。

◆「和式トイレ」を見つけたらラッキー?

 適度な運動も、健康には欠かせません。ここ数年、世間でやたらと話題になっていた「スクワット」。私が通っているヨガ教室でも、身体を温める準備として取り入れています。場所を選ばずに実践できて、効果もありそう。そんないいことづくしのスクワットですが、「わざわざスクワットをやらなくても、毎日和式トイレを使えばいい」と本書。私も駅などで止むを得ず和式トイレを使用する時がありますが、自然とお腹に力が入るし、足腰も疲れるんですよね。

 そういえば以前テレビで「便秘に効くストレッチ」として、和式トイレで用を足すようなポーズをオススメしていた記憶があります。足腰に力が入りますし、適度に腹圧がかかるのが、便意をもよおすのかもしれません。

 和式トイレが激減している昨今、毎日使うのは無理があるかもしれませんが、運よく(?)見つけることができたら、本書いわく「足腰の状態を確認できる」いい機会。ぜひとも使用してみてはいかがでしょうか。

◆口から入るものは、自分で考えて決めよう

 毎年、さまざまな健康法が流行り、新しいサプリメントが開発されています。美容にいいと聞けば私も即座に買ってしまいますが、「口から入るものは何だって体に悪いと思って、『××が体にいい』なんて情報は、安易に信じないようにしてください」と警鐘(けいしょう)を鳴らす本書に、うならずにはいられません。もちろんすべてとは言いませんが、「体にいい」と言われる情報の中には当然、その商材や食材を売る会社の宣伝も含まれますよね。

 ここまであらゆることにNGを出す健康本(?)もめずらしいですが、医者の言うことならと、自分の健康法を見直す良いきっかけになりました。本書を読むと、健康って心の持ちようが第一なのかな、と思わずにはいられません。昔から言われる「病は気から」というヤツです。

 タバコやアルコール、糖質や脂質たっぷりのスイーツなどの嗜好品は、私達の生活を彩ってくれるもの。「体に悪いことは間違いありません。リスクがわかっていて、それ以上の楽しみがあるならいい」とは本書の意見。

 食品添加物に過剰反応するよりは、自分の本当に好きなものを食べ過ぎない程度においしくいただくのが一番いいのかな、というのは私の結論です。あふれる情報に踊らされ、世間で言うところの“健康”にむりやり自分をはめ込むよりも、自分なりの健康法を見つける方が意外と長生きできるかもしれません。

―小説家・森美樹のブックレビュー―

<文/森美樹>

【森美樹】

1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)を上梓

Twitter:@morimikixxx

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