「あと一歩で不倫してた」妻を思いとどまらせた、不器用な夫のひと言とは

女子SPA! / 2019年3月18日 8時47分

「夫婦は長年一緒にいると、『いて当たり前の存在』になる。日常生活の中で、改めて相手のいいところを探そうという気にはならないだろう。それは馴れ合いのよさでもあるのだが、人間というのは慣れると相手のあら探しをしたくなるものらしい」と語るのは、男女関係や不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さん。

 夫への不満から他の男性に目が向いてしまったある女性の話を、亀山さんがレポートします。(以下、亀山さんの寄稿)

◆夫よりも、職場の上司に惹かれはじめて

「うちは高校時代の同級生なんですよ。くっついたり離れたりしながら28歳のときに、周りから『もういいかげんにしろ』と言われて結婚したんです。子どもがふたり生まれて、私は正社員の仕事をやめて、そのまま同じ職場でパートに。夫はろくに家事もしない、私たちの親世代を受け継いだ典型的な“日本の夫婦”ですね」

 メグミさん(42歳)はそう語る。そんな彼女が、ふとときめいたのは1年ほど前。パート先に赴任してきた7歳年上の上司だった。

「私はもともと社員だったし職歴も長いので、その上司に仕事のことなどをよく聞かれたんですよ。話をしながら一緒に仕事をしていく中で、だんだん親しくなっていって。一度、飲みに行こうという話はしていましたが、子どもがいるから夜はむずかしくて」

 そんなとき、夫の飲み会が続いて、思わず「いいなあ、飲み会。私はいつだって断っているのに」と言ったら、夫は罪悪感を覚えたのか「今度、行っておいでよ。あらかじめわかったらオレが早く帰ってくるから」と言い出した。

「それなら、と上司に話して飲みにいく計画をたてました。夫はおそらく部署の飲み会だと思ったでしょうけど、本当はふたりきり。まあ、そのくらいの嘘はいいよねと思って」

◆夫以外の男性から、想いを伝えられて舞い上がる

 急に実現した、上司とのデート。落ち着いた小料理屋でおいしいものを食べ、仕事の話から昔好きだった映画の話などで盛り上がった。店を出て近くのバーでもう1杯。

「すっかり酔って店を出たところで足をとられて。彼がすっと抱きとめてくれました。本当にこの人が好きだと思った瞬間、彼の温かい唇が近づいてきて。足が震えましたね。夢のような時間だった」

 それ以降、彼女は彼に心を奪われた。もちろん、それ以上の関係には進んでいない。だが、彼からは「僕はあなたのことが本当に好きです」というメッセージも届き、彼の気持ちも確認できたことで、彼女は舞い上がってしまった。

 毎日、彼の顔を見るだけで幸せだった。いつか機会があったら、またふたりきりの時間を過ごそうと彼とも話した。

◆ある日のリビングで夫から意外なひと言

「飲みに行ってから2ヶ月くらいたったころでしたかね。夜中にリビングで彼とのメッセージのやりとりをしていたら、ごとんと音がして夫が起きてきた。何をしているのと聞かれたから、子どもたちのスケジュールの確認と答えて。夫はトイレに行き、戻ってきてから私の隣に座ったんです」

 どうしたのと聞くと、夫は「うん」とだけ言って黙り込んだ。私も寝るよと言うと、夫は突然、彼女の手を握った。

「オレさ、ずっと言おうと思ってたんだけど、メグミと結婚して本当によかったと思ってる」

 メグミさんは思わず夫を二度見した。高校時代からつきあって20数年、夫は甘い言葉をささやくようなことは一度もなかったからだ。

「どうしたの、と思わず言ってしまいました。すると夫は、『仕事でもそうだけど、自分が思っていることをきちんと相手に伝えないと、きっと後悔すると思ってさ』と照れ笑いしたんです。

◆「オレの人生にとっていちばん大事なのは……」

 何かあったのと尋ねたら、いちばん信頼して期待もしていた部下がライバル会社に黙って転職していった、と。その人はウチにも来たことがあるので、私も知っているんです。夫がどれだけ彼を信用していたかもわかってた。だから夫はショックだったんでしょうね」

 メグミさんは思わず夫を抱きしめた。すると夫は言った。

「大事な人に大事だと伝えなかったオレにも責任があるように思うんだ。ただ、彼にとっても仕事をしていく上で、もっといい環境に行きたいと思ったんだろうけど。それで考えた。オレの人生にとっていちばん大事なのは何だろうって。メグミだった。そのことに気づいたんだ」

 落ち込むようなことがあったからこそ、初めて出てきた夫の本心なのだろう。あるいは、もしかしたら家にいても、どこか心ここにあらずという状態が続いていたメグミさんの心の揺れを、夫は感じていたのかもしれない。

「あのままだったら、私はきっと遠くない日に上司と関係をもっていた。私、不器用だから家庭と恋愛を両立させることができなくて、とんでもないことになっていた危険性もあったと思うんです。夫の告白が偶然なのか意図的なものなのかはわからないけど、少なくとも私は心打たれました」

◆「いて当たり前」だった夫婦関係に変化が

 長年つきあってきた人だ。この先、子どもたちが巣立っていっても寄り添って生きよう。メグミさんはそう決意したという。

「不思議なものですよね。翌日会社に行って上司の顔を見ても、前の日のようなドキドキ感はなくなっていた。彼でなければいけないというわけじゃなく、私は恋する自分を楽しんでいただけなんでしょうね」

 夫がそれから急にやさしくなったりこまめになったりしたわけではない。ただ、月に1、2回、ふたりで深夜にワインを開けたり、日曜日のスーパーの買い物についてきたりするようになった。

「前より会話は増えましたね。今までしなかった仕事の話もするようになった。夫も中間管理職になって、いろいろつらいこともあるんでしょう。お互いに職場の愚痴を言ったり励まし合ったりすることは多くなりました」

 いて当然の関係を、以前よりポジティブにとらえることができるようになったとメグミさんは言う。

―夫婦再生物語 Vol.3―

<文/亀山早苗>

【亀山早苗】
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数

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